なぜ冠動脈虚血のカットオフ値はFFR <0.75なのか?(N Engl J Med. 1996)

Measurement of fractional flow reserve to assess the functional severity of coronary-artery stenoses.

Pijls NH et al.

N Engl J Med. 1996 Jun 27;334(26):1703-8.

PMID: 8637515

【指摘背景】

冠動脈虚血に対し経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Coronary Intervention, PCI)の適応となる要因の一つにFFR <0.75という基準がある。

FFR(fractional flow reserve)とは、日本語でいう冠血流予備量比のことで、冠動脈狭窄病変の重症度を測る指標である。

算出方法は、冠動脈狭窄病変の近位部 (Pa) と遠位部 (Pd) の冠動脈内の圧を測定し、以下の式を用いる。
  FFR = Pd ÷ Pa

さて冒頭のFFR <0.75とは、通常の血管であった場合に得られる最大血流量の75%未満であることを意味している。なぜ75%をカットオフに設定しているのか?その根拠となった論文を紹介したい。

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インフルエンザ検査の是非②【感度・特異度】

背景

前回インフルエンザ検査についてシリーズものを組みました。↓こちらが前回の記事。

インフルエンザ検査の是非①【導入編】

今回は、検査キットへの理解を深めるために “感度・特異度” についてご紹介します。

感度・特異度って何?

検査キット全般に言えることですが、感度特異度という言葉があります。インフルエンザを例に説明すると、実際にインフルエンザに罹っているかどうか検査したときの検査キットそのものの指標です。精度(accuracy)と表現することが多いと思います。

少し詳しく説明すると 感度(sensitivity) とは、

インフルエンザ患者に対し、インフルエンザ検査で陽性判定が出たときに、本当にインフルエンザに罹っているであろう患者の割合

です。仮に100人のインフルエンザ患者がいたとして、検査で80人陽性ならば感度は80%ということになります。つまり20%は偽陰性(本当はインフルエンザに罹患しているのに見逃される危険性)ということになります。

感度は、しばしば文献で ‘True Positive Rate’ と表現されます。

ただし現実世界では、インフルエンザに罹っているか否かを検査するわけですので対象がインフルエンザに罹患しているのかは未知数のはずですよね。

次に 特異度(Specificity) についてですが、これは感度の真逆の定義です。

つまり、インフルエンザに罹っていない人に対し、インフルエンザ検査で陰性判定がでたときに、本当にインフルエンザに罹っていないであろう人の割合

です。したがって仮に100人の非インフルエンザ罹患者がいた場合、検査で80人陰性ならば特異度は80%であり、残りの20%は偽陽性(本当はインフルエンザに罹患していないのに、インフルエンザ患者とされてしまう危険性)ということになります。こちらは ‘True Negative Rate’ と表現されます。

先ほども触れましたが、インフルエンザに罹患しているのか否かは検査前では未知数ですので、有用な情報とは言えませんね。

ただ、検査キットの精度を理解する上でどちらも重要な言葉ですので一度説明しました。

まとめ

感度が高いということは、ある疾患の罹患者を陽性として判定しやすいということ。

つまり感度が高い検査キットで陰性と判定されれば、陰性である確率が高い。

特異度が高いということは、ある疾患に罹患していない人を陰性として判定しやすいということ。

つまり特異度が高い検査キットで陽性と判定されれば、陽性である確率が高い。

次回は、より現場で有用となる指標、陽性的中率・陰性的中率・尤度比についてご紹介します。