リリカ®(プレガバリン)は脳卒中後の中枢性疼痛に効果がありますか?(Pain 2011)

Safety and efficacy of pregabalin in patients with central post-stroke pain.

Kim JS et al.

Pain. 2011 May;152(5):1018-23. doi: 10.1016/j.pain.2010.12.023.

PMID: 21316855

私的背景

脳卒中後に出現する “痛み” (脳卒中後の中枢性疼痛)で苦しんでいる方に時々お会いする。診療ガイドラインでは抗てんかん薬や三環系抗うつ薬が第一選択薬として推奨されているが、日本では適応がないためか、(私の周りで)実際に処方されているのは見たことがない。
そんなときに良く処方されるのが牛車腎気丸などの漢方薬、そして今回取り上げるリリカ®(プレガバリン)である。診療ガイドラインでは効果がないとの記載があるが、どの程度なのか検証してみた。

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ベタニス®(ミラベグロン)服用による心疾患への影響はどのくらいですか?(Int J Clin Pract. 2013: Free)

Mirabegron for the treatment of overactive bladder: a prespecified pooled efficacy analysis and pooled safety analysis of three randomised, double-blind, placebo-controlled, phase III studies.

Nitti VW et al.

Int J Clin Pract. 2013 Jul;67(7):619-32.

PMID: 23692526

利益相反の開示

→多いという印象。本文の disclosures 参照。

私的背景

前立腺癌および前立腺肥大症を合併する 85歳男性。カソデックス®(ビカルタミド)とハルナール®(タムスロシン)を服用中。最近、尿漏れ症状があるため家族の希望により薬剤追加。ベタニス®(ミラベグロン)が新規処方された。

 本患者は心房細動および心不全も合併していたため、下記の禁忌項目にある重篤な心疾患についてどの程度の有害事象が報告されているのか論文検索を行い検討した。Pubmed 検索にて上記の論文がみつかったため読んでみた。

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【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】高コレステロール血症および糖尿病性網膜症を有すハイリスク日本人ではコレステロールを下げた方が良いですか?(EMPATHY trial; Diabetes Care 2018)

Intensive Treat-to-Target Statin Therapy in High-Risk Japanese Patients With Hypercholesterolemia and Diabetic Retinopathy: Report of a Randomized Study

Itoh et al. (EMPATHY Investigators)

Diabetes Care 2018 Apr; dc172224.

PMID: 29626074

目的

糖尿病は心臓血管(CV)イベントの高リスクと関連している。特に脂質異常症および糖尿病性合併症を有する患者において顕著である。高コレステロール血症および糖尿病性網膜症を有し、かつ冠状動脈疾患の既往のない患者で、脂質低下療法における厳格治療と従来治療の比較(treat-to-target strategy)、および CVイベント発生率を検討した。

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ザイロリック®使用は高齢者の末梢動脈疾患リスクを減らせますか?(Rheumatology (Oxford). 2018)

Allopurinol and the risk of incident peripheral arterial disease in the elderly: a US Medicare claims data study.

Singh JA et al.

Rheumatology (Oxford). 2018 Mar 1;57(3):451-461.

PMID: 29106674

試験の目的

ザイロリック®️(アロプリノール)の使用が米国の高齢者における末梢動脈疾患(PAD)のリスクの低下と独立して関連しているかどうかを検討する。

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2型糖尿病患者の降圧療法においてアンギオテンシン-アルドステロン ブロッカーへの追加薬は何が良いですか?(CJASN 2018)

Add-On Antihypertensive Medications to Angiotensin-Aldosterone System Blockers in Diabetes. A Comparative Effectiveness Study

Schroeder EB et al.

The Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2018

PMID: 未

背景と目的

糖尿病患者の重大な腎臓イベントのリスクについて、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)またはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)への(他クラスの)降圧薬追加による有効性の比較は依然として不明である。

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Proton Pump Inhibitor(PPI)長期使用による生殖機能への影響はありますか?(Fetil Steril 2016;charge)

Are proton-pump inhibitors harmful for the semen quality of men in couples who are planning pregnancy?

Huijgen NA et al.

Fertil Steril. 2016 Dec;106(7):1666-1672.e2.

PMID: 27743698

背景

今日までに Proton Pump inhibitor(PPI)長期使用による “認知症”、”低 Mg血症”、”骨粗鬆症・骨折”、”ビタミン B12の欠乏”、”鉄の欠乏”、”間質性腎炎”、”市中肺炎”、”感染性腸炎” 等のリスク増加が報告されている。しかし生殖機能への影響は不明である。そこで、妊娠を計画しているカップルのうち proton pump inhibitor長期服用中の若い男性における精液パラメータへの影響を後向きに検討した。

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【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】コレステロールの低下は臨床的利益をもたらす?(Clin Ther. 2007)

Cholesterol reduction yields clinical benefits: meta-analysis including recent trials.

Gould AL et al.

Clin Ther. 2007 May;29(5):778-794.

PMID: 17697899

利益相反

著者全員が Merkの社員

資金提供

Merck/Schering Plough

私的背景

前回に引き続き、コレステロール低下により恩恵を受けるのは誰か、探っていきます。前回の記事はこちら↓

【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】SEAS trial(N Engl J Med. 2008)

今回の文献は少し古いのですが、解析すうが多いため読んでみました。

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【フォーミュラリー実践のために】高血圧患者における ACE阻害薬と ARBはどちらが優れてますか?(Eur J Prev Cardiol. 2017)

Angiotensin-converting enzyme inhibitors reduce mortality compared to angiotensin receptor blockers: Systematic review and meta-analysis.

Salvador GL et al.
Eur J Prev Cardiol. 2017 Dec;24(18):1914-1924.
PMID: 28862020

試験の背景

高血圧集団におけるアンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)またはアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)長期使用の結果を比較するレビューはほとんどありません。それは両方とも同様に血圧低下作用があるためです。
高血圧患者における AC-Iまたは ARBとプラセボ群とを比較した研究はなかった。なぜなら前述の比較デザインを検証した研究が殆どないからです。

方法

2000年1月1日〜2015年12月31日まで PUBMED、LILACS、SCIELO、ICTRP、Cochrane、EMBASEおよび ClinicalTrials.govを系統的に検索し、ACE-Iまたは ARB使用と心血管アウトカムとの関係について検討した前向き研究を選択した。
心血管アウトカムは次の通り:①心不全/入院、②脳卒中、③急性心筋梗塞、④全心臓血管死、⑤全死亡および⑥全アウトカム。
集団オッズ比(ORs)と 95%信頼区間(CIs)を固定効果モデルを用いて組み合わせた。

結果

17試験(n = 73,761)には ACE-I(n =12,170)の 5試験と ARB(n =24,697)の 12試験が含まれていた。
ACE-I使用は、全死亡(OR =0.85, 95%CI 0.78〜0.93)および心血管死(OR =0.77, 95%CI 0.69〜0.87)を有意に減少させた。
ARB使用は、全死亡(OR =1.02, 95%CI 0.96〜1.09)または心血管死(OR =0.95, 95%CI 0.86〜1.06)を減少させなかった。
急性心筋梗塞脳卒中心不全/入院については、両クラスともに有意な減少を示した。

結論

ACE-Iまたは ARBの使用は、急性心筋梗塞、脳卒中および心不全/入院に関する主要な心血管アウトカム予防において同様であった。しかし、ACE-Iの使用は、ARBよりも総死亡および心血管死を低減する上でより有効であった。

キーワードMeta-analysis; angiotensin II receptor blocker; angiotensin-converting enzyme inhibitor; hypertension; outcomes


コメント

アブストのみ。網羅的に論文検索を行っていることがわかる。またアウトカムはほぼハード。統合された論文数は 17と多い。
本結果は過去の報告と矛盾しない。ARBよりも ACE-Iの方が優れていそう。
コストも踏まえれば、まずは ACE-Iで充分ではないでしょうか。
大体のことに言えるかもしれませんが、「新しかろう, 良かろう」からは、そろそろ決別したほうが良いと思う。

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ピロリ菌除菌で胃がんを防げますか?②(N Engl J Med. 2018)

Helicobacter pylori Therapy for the Prevention of Metachronous Gastric Cancer.

Choi IJ et al.

N Engl J Med. 2018 Mar 22;378(12):1085-1095.

PMID: 29562147

ClinicalTrials.gov number, NCT02407119.

研究資金

the National Cancer Center, South Korea(0310050, 0410450, 0610080, 0910100, 1210230, 1310280, and 1610180)

COI

無し(らしい)


試験背景

胃粘膜または粘膜下組織に限局した初期の胃癌患者は、通常、粘膜腺組織の進行性喪失(腺萎縮)を有し、新規胃がんの発生およびその後(異時性)の病態進行リスクが高い。

組織学的改善および異時性胃癌の予防に対するヘリコバクターピロリ(以下、ピロリ)除菌治療の長期的な効果は依然として不明である。

方法

前向き二重盲検プラセボ対照ランダム化試験には、早期胃癌または高悪性度腺腫の内視鏡的切除を受けた 470人の患者が組み入れられた。参加者はプラセボまたは抗生物質によるピロリ除菌療法を受けた。

プライマリーアウトカムは、①3年間の追跡期間中における、胃体部(底部)小弯の腺萎縮のグレードにおけるベースラインからの改善累積および② 1年間のフォローアップまたはそれ以降に行われた内視鏡検査で検出された異時性胃がんの発生率であった。

結果

計 396人の患者が、mITT集団(治療群194人、プラセボ群 202人)に含まれていた。

追跡期間は 5.9年(中央値)で、ピロリ除菌群では 14例(7.2%)、プラセボ群では 27例(13.4%)で異時性胃がんが発生した。

  ハザード比 =0.50, 95%CI 0.26~0.94(P =0.03)

組織学的分析を受けたサブグループ 327人の患者のうち、胃底部の小弯における萎縮グレードのベースラインからの改善は、ピロリ除菌群 48.4%、プラセボ群 15.0%において観察された(P < 0.001)。

重大な有害事象はなかったが、軽度の有害事象は治療群でより一般的に認められた(42.0% vs. 10.2%, P <0.001)。

結論

ピロリ除菌治療を受けた早期胃癌患者は、プラセボ群と比べ、胃底部委縮グレードにおけるベースラインからの改善程度が大きかった。また異時性胃がんの発生率が低かった。 


コメント

アブストのみ(NEJMの文献はブログに書きづらくて困ります)。NEJMに 2018年の 3月 22日(日本時間)に掲載されました。

ピロリ菌除菌と異時性胃がん(1年以上経てから新たに初発部位とは別の場所に発生した胃癌)発生率について検討したダブルブラインドのランダム化比較試験。貴重な報告だと思います。しかし、健常人は含まれていません。ここ注意。

まず試験の解析は Full Analysis Setでしょうか。試験解析には 396名、組み入れ時から 74名が除外されています。 

ピロリ除菌により異時性胃がんが減少したとのこと。他のがんの発生率についてはアブストからは不明です。また重大な有害事象はなかったものの、軽度の有害事象は 4倍。

今回の論文を通して、胃がんの発生部位と胃がん発生率についても学べた。噴門部は 20%、胃体部は 30%、幽門部は 40%とのこと(あと 10%はどこ?) 。さらに大弯より小弯の方が胃がん発生率は高いようです。

また胃がんは Epstein-Barr(EB)ウイルスによっても発生するようです。EBウイルスは幽門部、H.ピロリは胃体部に住み着いているようです。

本文献では胃体部の小弯における胃がん発生について内視鏡下で検討しています。発生部位についてはよく検討されていると感じました。また組織学的分析のデータ数も過去の報告に比べると多い方だと思います。全文読みたいところ。

 

 

 

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【フォーミュラリー実践のために】ACE阻害薬による咳嗽と血管浮腫はどのくらいですか?(Ann Intern Med. 1992)

Cough and angioneurotic edema associated with angiotensin-converting enzyme inhibitor therapy. A review of the literature and pathophysiology.

Israili ZH et al.

Ann Intern Med. 1992 Aug 1;117(3):234-42.

PMID: 1616218

私的背景

古くから使用されているアンギオテンシン変換酵素阻害薬(angiotensin-converting enzyme inhibitor:ACE-I)、そして比較的新しいアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin Ⅱ receptor blocker:ARB)。ここの違いについて改めて検証していく。まずは ACE-I使用で懸念される咳嗽と血管浮腫について調べてみた。

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