糖尿病・非糖尿病におけるHbA1cコントロールはどのくらいが良いか?(中国人口ベース前向きコホート研究; J Clin Endocrinol Metab. 2019)

Glycated Hemoglobin and All-cause and Cause-specific Mortality Among Adults With and Without Diabetes.

Li FR, et al.
J Clin Endocrinol Metab. 2019.
PMID: 30896760

背景

糖化ヘモグロビン(HbA1c)と死亡率の間の関連のパターンはまだ不明である。

【目的】

糖尿病の有無にかかわらず、どの範囲のHbA1cレベルが死亡リスクにどの程度関連しているかを調査すること。

試験デザイン・設定・試験参加者

本試験は全国規模かつ地域密着型の前向きコホート研究である。

The Health and Retirement Studyの参加者のうち利用可能なHbA1cデータを有し、かつ癌の既往歴がない15,869人(年齢中央値64歳)を組み入れた。

コックス比例ハザード回帰モデルを用いて、死亡率について95%信頼区間(95%CI)てハザード比(HR)を推定した。

【結果】

追跡期間5.8年(中央値)で合計2,133人の参加者が死亡した。糖尿病を患っている参加者では、HbA1cレベル6.5%の集団で全死亡リスクが最も低かった。

HbA1cレベルが5.6%より低いかまたは7.4%より高い場合、6.5%に比べて全死亡リスク増加が統計的に有意になった。

糖尿病に罹患していない試験参加者に関しては、HbA1cレベルが5.4%の参加者が全死亡リスクが最も低かった。 HbA1cレベルが5.0%より低いとき、HbA1cレベル5.4%と比較して、全死亡リスクは統計的に有意に増加した。しかしながら、本研究においてはHbA1cレベル5.4%を超えても全死亡リスクの統計的に有意な上昇は観察しなかった。

【結論】

全死亡率についてのU字型および逆J字型の関連が、糖尿病の有無にかかわらず試験参加者にみられた。

全生存期間の対応する最適範囲は、それぞれ5.6〜7.4%および5.0〜6.5%であると予測される。


【コメント】

アブストのみ。

効果推定値の違いはあるが、おおむね過去の報告と矛盾しない。

下げ過ぎても高過ぎても死亡リスク増加。治療目標は個々の患者に合わせて(生活背景も含めて)、柔軟に設定して良いのではなかろうか。

さて、健常者についてはHbA1c 5.0%より下がると死亡リスク増加が認められ、5.4%以上では特にリスクは認められなかったとのこと。少なくとも糖尿病発症後5年間ぐらいでは心血管イベントの増加はなさそう。これも過去の報告と矛盾しない。

糖尿病は、合併症や年齢だけでなく、罹患期間も重要(どの疾患にも言えそう)。

安定狭心症にPCIは不要?(RCT, FAME2, N Engl J Med. 2018)

Five-Year Outcomes with PCI Guided by Fractional Flow Reserve.

Xaplanteris P et al.

N Engl J Med. 2018 Jul 19;379(3):250-259.

doi: 10.1056/NEJMoa1803538. Epub 2018 May 22.

PMID: 29785878

ClinicalTrials.gov number: NCT01132495

Funded by St. Jude Medical and others

【研究の背景】

安定冠動脈疾患患者における初期治療としての医学療法よりもフラクショナルフローリザーブ(FFR)ガイド下経皮冠動脈インターベンション(PCI)が優れていると仮定した。

【方法】

血管造影で有意な狭窄を有する患者1,220人のうち、血行動態的に少なくとも狭窄が1つ有意であった患者(FFR ≦0.80)を、FFR誘導PCI+医学療法または医学療法単独にランダムに割り当てた。

全狭窄のFFRが0.80を超えていた患者は医学療法を受けた後に試験登録を受けた。

主要評価項目は、死亡、心筋梗塞、または緊急血行再建術の複合だった。

【結果】

合計888人の患者がランダム化を受けた(PCI群447人および内科療法群441人)。

試験開始後5年時点で、主要評価項目の割合はPCI群の方が薬物療法群よりも低かった(13.9% vs. 27.0%)。

ハザード比 =0.46, 95%信頼区間[CI] 0.34〜0.63, P <0.001)。

その差は緊急の血行再建術によるものであり、PCI群では6.3%、内科的治療群では21.1%だった。

ハザード比 =0.27, 95%CI 0.18〜0.41

死亡率(5.1% vs. 5.2%, ハザード比 =0.98, 95%CI 0.55〜1.75)または心筋梗塞(8.1% vs. 12.0%, HR =0.66, 95% CI 0.43〜1.00)については、PCI群と医学療法群との間に有意差はなかった。

PCI群と登録集団との間で主要評価項目の割合に有意差は認められなかった(それぞれ13.9% vs. 15.7%)。

HR =0.88, 95%CI 0.55〜1.39

狭心症からの緩和は、薬物療法後よりもPCI後の方がより顕著だった。

【結論】

安定した冠状動脈疾患の患者では、治療開始5年後における最初のFFRガイド下のPCI戦略は、医学的治療単独よりも主要複合アウトカム(死亡率、心筋梗塞、または緊急血管再建術)は有意に低かった。

血行動態的に有意な狭窄のない患者では、医学療法単独で好ましい長期転帰を示した。

【コメント】

アブストのみ。

複合アウトカムかつオープンラベルで実施。ほぼソフトエンドポイントだけに差が認められているため試験デザインとして問題があると考えられます。

さて、プライマリーアウトカムの内訳としては死亡リスクには群間差がなく、心筋梗塞リスクはやや低下傾向、緊急血行再建術リスクは有意に低かった。

本試験のみで安定狭心症にPCIが不要とまでは言えないと考えられます。

続報を待ちたい。

なぜ冠動脈虚血のカットオフ値はFFR <0.75なのか?(N Engl J Med. 1996)

Measurement of fractional flow reserve to assess the functional severity of coronary-artery stenoses.

Pijls NH et al.

N Engl J Med. 1996 Jun 27;334(26):1703-8.

PMID: 8637515

【指摘背景】

冠動脈虚血に対し経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Coronary Intervention, PCI)の適応となる要因の一つにFFR <0.75という基準がある。

FFR(fractional flow reserve)とは、日本語でいう冠血流予備量比のことで、冠動脈狭窄病変の重症度を測る指標である。

算出方法は、冠動脈狭窄病変の近位部 (Pa) と遠位部 (Pd) の冠動脈内の圧を測定し、以下の式を用いる。
  FFR = Pd ÷ Pa

さて冒頭のFFR <0.75とは、通常の血管であった場合に得られる最大血流量の75%未満であることを意味している。なぜ75%をカットオフに設定しているのか?その根拠となった論文を紹介したい。

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新薬タリージェ®️による糖尿病性神経障害への効果はどのくらいですか?(DB-RCT, J Diabetes Investig. 2019)

Mirogabalin for the treatment of diabetic peripheral neuropathic pain: A randomized, double-blind, placebo-controlled phase III study in Asian patients.

Baba M, et al.
J Diabetes Investig. 2019.
PMID: 30672128

Clinicalgav.Trials number: NCT02318706

【目的/序論】

糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)に対するミロガバリン(電位依存性Ca 2+チャネルのα2δサブユニットの新規の強力な選択的リガンド)の有効性および安全性を評価した。

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耳鳴りに対するメリスロン®️の効果はどのくらいですか?(SR&MA; Cochrane Database Syst Rev. 2018)

Betahistine for tinnitus.

Review article

Wegner I, et al.
Cochrane Database Syst Rev. 2018.
PMID: 30908589

【背景】

耳鳴りは、外部音源がない場合の音の知覚として定義される症状である。イギリスだけでも、主な訴えが耳鳴りであると推定されている毎年75万件の一般診療相談があり、これは医療サービスに大きな負担をかけることに相当する。

臨床管理戦略には、教育および助言、リラクゼーション療法、耳鳴り再訓練療法、認知行動療法、耳鳴音発生器または補聴器を使用した音質向上、睡眠障害、不安やうつなどの併存症状を管理するための薬物療法が含まれる。

今のところ、規制機関による耳鳴りの薬は承認されていない。それにもかかわらず、メリスロン®️(ベタヒスチン)のための10万人以上の処方が毎月イギリスで満たされていて、一般開業医の10%近くが耳鳴りのためにベタヒスチンを処方している。

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Xa因子阻害薬による出血への中和抗体Andexanet alfaの効果はどのくらいですか?(Open-label; ANNEXA-4; N Engl J Med. 2019)

Full Study Report of Andexanet Alfa for Bleeding Associated with Factor Xa Inhibitors.

Connolly SJ, et al.
N Engl J Med. 2019.
PMID: 30730782

ClinicalTrials.gov number: NCT02329327

Funding: Portola Pharmaceuticals

【研究の背景】

Andexanetアルファ(アンデキサネット)は第Xa因子阻害剤の作用に対する拮抗(逆転)薬として開発された修飾組換え不活性型のヒト第Xa因子である。

【方法】

第Xa因子阻害薬の投与後18時間以内に急性大出血を来した352人の患者を評価した。試験参加者は、まずアンデキサネットのボーラス投与を受け、続いて2時間の持続注入を受けた。

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非虚血性心不全患者に対する植込み型除細動器ICDの効果はどのくらいですか?(RCT; DANISH試験; NEJM 2016)

Defibrillator Implantation in Patients with Nonischemic Systolic Heart Failure.

Randomized controlled trial

Køber L, et al.
N Engl J Med. 2016.
PMID: 27571011

ClinicalTrials.gov number: NCT00542945

Funded by Medtronic and others

【背景】

冠状動脈疾患によって引き起こされる症候性の収縮期心不全の患者における植込み型除細動器(ICD)の利点はよく論文化されている。

ただし、冠状動脈疾患によるものではない収縮期心不全患者における予防的ICDの利点の証拠は、主にサブグループ分析に基づいている。

ランドマーク試験であるICD試験の発表以降、心不全の管理は改善されており、多くの患者が心臓再同期療法(CRT*)を受けている。

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フェブリク®️使用による心血管イベントへの影響はどのくらいですか?(SR&MA; Int J Rheumatol. 2019)

Febuxostat and Cardiovascular Events: A Systematic Review and Meta-Analysis.

Cuenca JA, et al.
Int J Rheumatol. 2019.

PMID: 30863448

Conflicts of Interest

Michael H. Pillinger serves and/or has served as a consultant for AstraZeneca, Crealta, Horizon, Ironwood, Pfizer, and SOBI and has been an investigative site for the CARES trial, sponsored by Takeda.

【背景】

フェブキソスタットは、痛風患者における高尿酸血症の治療薬として米国で承認されている。2017年11月に、FDAはフェブキソスタットと心血管疾患(CVD)の関連の可能性に関する警告アラートを1件の臨床試験で発表した。

【目的】

系統的レビューおよびメタアナリシスを実施し、対照群と比較してフェブキソスタット投与患者における主要有害心血管イベント(MACE)のリスクを評価すること。

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甲状腺機能正常の橋本病患者における甲状腺摘出 vs. 経過観察(RCT; Ann Intern Med. 2019)

Thyroidectomy Versus Medical Management for Euthyroid Patients With Hashimoto Disease and Persisting Symptoms: A Randomized Trial.

Guldvog I, et al.
Ann Intern Med. 2019.

Primary Funding Source: Telemark Hospital.

PMID30856652

ClinicalTrials.gov:NCT02319538

【背景】

橋本病は慢性の自己免疫性甲状腺炎である。ホルモンの適切な代用にもかかわらず、持続的な症状を呈す患者もいる。これは免疫学的病態生理の結果である可能性が考えられる。

【目的】

内科的治療を受け、甲状腺機能が正常であるにもかかわらず、症状が持続している橋本甲状腺炎患者において甲状腺摘出術が症状を改善するかどうかを決定すること。

【デザイン】

ランダム化試験

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NSAIDs誘発胃潰瘍に対するムコスタ®️とサイトテック®️の効果はどのくらいですか?(RCT; STORM STUDY; J Clin Biochem Nutr. 2007)

Comparison of Prevention of NSAID-Induced Gastrointestinal Complications by Rebamipide and Misoprostol: A Randomized, Multicenter, Controlled Trial-STORM STUDY.

J Clin Biochem Nutr. 2007

Mar;40(2):148-55. doi: 10.3164/jcbn.40.148.

PMID: 18188417

【背景】

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)には、消化不良、消化性潰瘍、出血、穿孔などの胃腸の副作用がある。ミソプロストールとプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、NSAIDによる胃・十二指腸損傷を予防するために使用されてきた。ムコスタ®️(レバミピド)は胃粘液を増加させ、内因性プロスタグランジン産生を刺激するが、NSAID誘発性胃腸合併症に対するレバミピドの予防効果は不明である。

【研究の目的】

本研究の目的は、レバミピド治療群とサイトテック®️(ミソプロストール)治療群でのNSAID誘発性胃腸合併症を比較することである。

【研究の方法】

患者をランダムに2群に割り付け、従来のNSAIDとレバミピドまたはミソプロストールを12週間服用させた。スクリーニング時および試験終了時に、胃粘膜損傷を内視鏡検査によって評価した。

【結果】

・活動性胃潰瘍の有病率は、レバミピド群で7/176(3.9%)、ミソプロストール群で3/156(1.9%)だった。

ミソプロストールの NNT =50 (vs. レバミピド)

・消化性潰瘍の有病率は、レバミピド群で8/176(4.5%)、ミソプロストール群で7/156(4.4%)だった。

ミソプロストールの NNT =1,000 (vs. レバミピド)

・高リスクサブグループにおける消化性潰瘍の累積発生率は、レバミピド群で6/151(4.0%)、ミソプロストール群で6/154(3.9%)だった。

ミソプロストールの NNT =1,000 (vs. レバミピド)

【結論】

レバミピドは長期NSAID治療を受けている患者においてミソプロストールと同じくらい効果的にNSAID誘発消化性潰瘍を予防した。レバミピドは、その治療効果および安全性のために、NSAID誘発性胃腸潰瘍の予防のための有用な治療選択肢であり得る。


【コメント】

ミソプロストール(サイトテック®️)はプロスタグランジン誘導体であるため妊産婦に使いにくい。というか禁忌。1日4回(適宜増減の記載あり)というのもアドヒアランス低下しやすい。

また両薬剤共にNSAIDs頓服への効果は不明、あくまで長期服用している患者への効果がありそう、というところ。活動期の胃潰瘍には、妊婦でなければミソプロストールを使用した方が良さそうですね。ただ、症状が寛解してきたらレバミピドの方がコスパ良さそう。

ちなみにNSAIDs使用時のレバミピド併用は、急性あるいは慢性胃炎の傷病名が必要。