発作性心房細動のトリガーは何ですか?(Heart Rhysm 2019)

Patient-Reported Triggers of Paroxysmal Atrial Fibrillation

Heart Rhysm 2019
Published Online: February 14, 2019

試験背景

孤立性心房細動(AF)イベントのトリガーは充分に研究されておらず,完全には特徴付けられていない。

試験の目的

本研究では、AFの一般的なトリガーと患者の特性との関係について検討した。

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インフルエンザ検査の是非⑤【検査キットの感度・特異度・ベイズの定理】

背景

前回は尤度比について解説しました。

インフルエンザ検査の是非④【尤度比】

この “尤もらしさ” を活用するために必要となるのが検査キットの感度特異度,そして事前オッズです。

そして、これらの情報をもとに疾患の罹患確率を算出する方法論が “ベイズの定理” です。

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低ナトリウム塩代替により高血圧症、脳卒中、死亡率は低下しますか?(Heart. 2019)

Effect of low-sodium salt substitutes on blood pressure, detected hypertension, stroke and mortality.

Hernandez AV et al.

Heart. 2019

Jan 19. pii: heartjnl-2018-314036.

doi: 10.1136/heartjnl-2018-314036.

PMID: 30661034

試験の目的

系統的レビューおよびメタアナリシスを実施して、心血管系(CV)疾患を軽減するための潜在的な介入としての低ナトリウム塩代用品(LSSS)の有効性を評価した。

方法

5つの検索エンジンとClinicalTrials.govを運用開始から2018年5月まで検索した。

LSSSを受けている群における高血圧、収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、全死亡率、脳卒中および他のCV危険因子を、通常の塩を摂取している群と比較した成人高血圧または一般集団を登録したランダム化比較試験(RCT)が含められた。

効果はリスク比または平均差(MD)およびそれらの95%CIとして表された。エビデンスの質の評価はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)の方法論に従った。

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持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に迷走神経刺激は有効ですか?(J Neurol. 2018.)

Non-invasive vagus nerve stimulation significantly improves quality of life in patients with persistent postural-perceptual dizziness.

Randomized controlled trial

Eren OE, et al.
J Neurol. 2018.

PMID: 29785522

試験背景

持続性知覚性体位誘発めまい(PPPD)は、慢性前庭障害の最も一般的な原因の1つであり、罹患患者の大部分が標準治療(すなわち、薬物療法、行動心理療法)に対して有意な改善を示さない。

PPPD患者は、不安障害および鬱病との有意な併存症を有することが示されています。

さらに、これらの患者は自律神経系の活性化を示し、悪心、心拍数の上昇、および発汗などの症状をもたらす。

試験の目的

共存症と自律神経系の活性化に基づいて、非侵襲的迷走神経刺激(nVNS)がこれらの患者の治療法の選択肢になるかどうかという疑問に取り組みました。

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孤立性収縮期高血圧症を有す高齢者におけるブロプレス®️の効果はどのくらいですか?(SCOPE trial サブ解析; J Am Coll Cardiol. 2004.)

Stroke prevention with the angiotensin II type 1-receptor blocker candesartan in elderly patients with isolated systolic hypertension: the Study on Cognition and Prognosis in the Elderly (SCOPE).

Randomized controlled trial

Papademetriou V, et al.
J Am Coll Cardiol. 2004.
PMID: 15364316

研究の目的

本研究の目的は、アンジオテンシンII 1型受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタンが、孤立性収縮期高血圧症(isolated systolic hypertension, ISH)の高齢患者における脳卒中のリスクを軽減できるという仮説を検証することであった。

背景

孤立性収縮期高血圧症は高齢者の高血圧症の主な形態であり、さらに脳卒中は最も一般的な心血管系(CV)合併症です。

方法

高齢者の認知と予後に関する研究(the Study on Cognition and Prognosis in the Elderly, SCOPE)では、血液をコントロールするために必要に応じてオープンラベル降圧療法(主にチアジド系利尿薬)を加えた70〜89歳の4,964人の患者をランダムにカンデサルタンまたはプラセボに割り当てた。基本的には二重盲検で実施した。

4,964人の患者のうち、1,518人がISH(収縮期血圧> 160 mm Hgおよび拡張期血圧<90 mm Hg)を示した。

本研究は、ISH患者におけるサブグループ分析である。

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認知機能低下と心房細動との関連性は?(American Heart Journal 2019)

Association of Frailty and Cognitive Impairment with benefits of Oral anticoagulation in patients with atrial fibrillation

Madhavan M et al.

American Heart Journal 2019

PMID: 未

試験の背景

認知機能障害および虚弱さ(Frailty )の発生率は加齢とともに増加し、心房細動(AF)の治療と転帰の両方に影響を与える可能性がある。

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インフルエンザ検査の是非④【尤度比】

背景

前回、陽性的中率・陰性的中率について解説しました。今回は “尤度比” について解説します。

前回の記事はこちら↓

https://noirvan13.xsrv.jp/?p=1566

尤度比って何?

尤度比(Likelihood Ratio, LR)とは、

ある疾患のなりやすさや起こりやすさ、つまり 尤(もっと)もらしさを表す指標

の一つです。

ちなみに陽性尤度比が高いと 検査をする価値が高い つまり検査した方が良いことになります。詳細については次回以降に解説します。

尤度比にも陽性と陰性がある?

確率である尤度(なりやすさ、起こりやすさ)は、比率として0~1で表されることが多いです。 検査結果が陽性の場合を

陽性尤度比(Positive Likelihood Ratio, +LR)、

陰性の場合を

陰性尤度比(Negative Likelihood Ratio, -LR

と呼びます。

陽性尤度比は、 感度/(1-特異度)

陰性尤度比は、 1-感度)/特異度

で算出します。

つまり陽性尤度比は、”疾患ありの人が検査陽性となる確率” を “疾患のない人が検査陽性(偽陽性)となる確率” で割ったのものです。

一方、陰性尤度比は、”疾患ありの人が検査陰性(偽陰性)となる確率” を “疾患のない人が検査陰性となる確率” で割ったのものです。

それぞれの値を算出するために、前回同様に表1を使用します。

    疾患あり 疾患なし 合計
検査で陽性判定 105 45 150
検査で陰性判定 55 105 160
 合計 160 150 310

表1. ある検査で陽性あるいは陰性と判定された人数

陽性尤度比 =(105/160)/(1-105/150)=2.1875

陰性尤度比 = (1-105/160)/(105/150)=0.49107…

まとめ

尤度比は、感度・特異度から算出しているため、疾患の頻度や有病率とは関係しない値。

そして、より臨床現場に近い診断を行うため尤度比を活用するためには、事前オッズ・事後オッズが必要となります。

簡単に説明すると、今、目の前の患者が仮にインフルエンザである確率はどのくらいなのか?という見立てが事前オッズです。そして事前オッズに尤度比を乗じることで事後オッズが算出できます。

次回はいよいよインフルエンザ検査の曖昧さについて明らかにしていきます。

インフルエンザ検査の是非③【陽性的中率・陰性的中率】

背景

ここまで検査キットの精度(accuracy)について解説してきました。

今回は、より現場で役立つ “陽性的中率・陰性的中率” について解説していきます。

的中(適中)率って何?

読んで字の如く、疾患の陽性・陰性が当たる確率です。

前回の記事でご紹介した “感度・特異度” は、そもそも疾患を有している人、疾患のない人が対象となっています。

インフルエンザ検査の是非②【感度・特異度】

しかし実際の現場では、例えばインフルエンザなのか、風邪症候群なのか、はたまた別の疾患なのかわからない状況です。そこで的中率の登場というわけです。次のような表を書いてみると、より理解しやすいと思いますので、こちらの表1を使って解説していきます。

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高血圧患者が金銭的インセンティブを受けるとチアジド系利尿薬の処方が増えますか?(JAMA Netw Open. 2018)

Efficacy of Patient Activation Interventions With or Without Financial Incentives to Promote Prescribing of Thiazides and Hypertension Control: A Randomized Clinical Trial.

Kaboli PJ et al.

JAMA Netw Open. 2018

Dec 7;1(8):e185017. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2018.5017.

研究の重要性

根拠に基づくガイドラインでは、合併症のない高血圧症に対する第一選択療法としてチアジド系利尿薬を推奨している。しかし、チアジドは十分に使用されておらず、高血圧は依然として不十分に管理されている。

研究の目的

チアジド処方を促進するための金銭的インセンティブを用いた患者活性化介入の有効性を評価すること。

デザイン、設定、および参加者

利尿薬導入のための退役軍人プロジェクト(The Veterans Affairs Project to Implement Diuretics)、ランダム化臨床試験は、2006年8月1日~2008年7月31日まで、13ヶ所の退役軍人プライマリケアクリニックで行われた。

追跡期間は12ヶ月間。

チアジドを服用しておらず、血圧(BP)目標を達成していない2,853人の適格患者を特定するために、合計61,019人の患者をスクリーニングした。 598人が参加することに同意した。統計分析は、2017年12月1日~2018年9月12日まで行われた。

介入

試験参加者(n=598)をランダムに4群に分けた。

①コントロール群(n=196)

②グループA(n=143):チアジド処方に関する手紙を受け取る群

③グループB(n=128):手紙および金銭的インセンティブを受け取る群

④グループC(n=131):手紙、金銭的インセンティブ、プライマリケア医と話すよう患者に促す電話を受ける群

プライマリーアウトカムと測定

主要アウトカムは、チアジド処方と血圧コントロール。二次的なプロセス測定は、チアジドに関する患者とプライマリケア臨床医間の議論でした。

結果

598人の参加者(男性588人および女性10人)のうち、複合介入群の平均(SD)年齢(n = 402)は62.9(8.8)歳、平均ベースラインBPは148.1 / 83.8 mm Hgであった。

対照群(n = 196)の平均(SD)年齢は64.1(9.2)歳であり、平均ベースライン血圧は151.0 / 83.4 mm Hgであった。

初診時のチアジド処方の未調整率は、

コントロール群で9.7%(196人中19人)、

グループAで24.5%(143人中35人)、

グループBで25.8%(128人中33人)、

グループCで32.8%(131人中43人)だった。(P <0.001)。

調整後分析では、インデックス訪問と6ヶ月時点の訪問で処方するチアジドへの介入効果を示したが、12ヶ月時点での訪問で減少した。

血圧コントロールにおいて、グループCでの12ヵ月時点の追跡調査で有意な介入効果があった(調整オッズ比 =1.73, 95%CI 1.06〜2.83; P =0.04)。

介入群はチアジドについての議論率が用量反応的(介入項目が多くなるほど)に改善した。

グループA:44.1%(143人中63人)

グループB:56.3%(128人中72人)

グループC:68.7%(131人中90)

(P =0.004)

結論と関連性

高血圧症に対するチアジドに関する患者活性化介入により、患者の3分の2が担当医と話し合いを行い、約3分の1の患者でチアジド処方を開始した。

手紙に加え金銭的インセンティブと電話をかけることで、両アウトカム(プライマリー・セカンダリー)が徐々に改善された。

介入後12ヶ月までに、血圧コントロールが改善することも明らかになった。

低コスト、低強度の介入は、患者と臨床医との高頻度の議論およびその後のチアジド処方をもたらした。これにより根拠に基づくガイドラインを促進し臨床的慣性を克服するために使用され得る。

Trial Registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00265538.


コメント

アブストのみ。

退役軍人の集団であるため男性の割合が高い(男性98.3%)。またチアジド処方率については、介入を受けた3群間で差はなかった。手紙だけで良さそうですな。金銭的インセンティブよりは安いはず。

将来的にはエビデンスベースな手紙を薬局から患者さんに送るのも面白そうだけど、恣意的すぎますね。

そうそうインセンティブについては、署名はがきを受け取った患者に20ドルが支払われたようです。

自己負担がある患者(70.4%[598人中421人])の場合、手紙には、ポストカードを受け取ってチアジドが処方されたことを確認できると、6ヶ月間のチアジド処方にかかる48ドルが払い戻されるとも伝えられたようです。

以下、原文:

Group B received the same patient education letter as well as a financial incentive to initiate a discussion with their primary care clinician. The incentive was a $20 payment that patients would be mailed on receipt of their signed postcard. For patients with a prescription copayment (70.4% of patients [421 of 598]), the letter also told them that their thiazide copayments for 6 months ($48) would be reimbursed on receipt of the postcard and confirmation that a thiazide was prescribed.

AF5Sスコアは脳卒中後の心房細動検出に有効ですか?(Neurology. 2019)

Development and validation of a score to detect paroxysmal atrial fibrillation after stroke.

Uphaus T, et al.

Neurology. 2019.

PMID: 30530796

目的

虚血性脳卒中後の発作性心房細動(paroxysmal atrial fibrillation, pAF)を検出するためには、長期間のモニタリング時間(72時間)が推奨されますが、これはまだ臨床的慣習ではありません。それ故、長期の心電図(Electrocardiogram, ECG)モニタリングを実施した方が良い患者の選定は、資源節約的な方法でpAFの診断収率を高めるかもしれない。

方法

洞リズムを有する患者において長期のホルターECGモニタリング(少なくとも72時間)およびTIAまたは脳卒中後の集中データ評価を行う3つの前向き研究(n =1,556)から個々の患者データを使用した。

Transparent Reporting of a Multivariable Prediction Model for Individual Prognosis or Diagnosis(TRIPOD:個々の予後または診断のための多変量予測モデルの透明な報告)ガイドラインに基づいて、臨床スコアは1つのコホートで開発され、内部的ブートストラップによって検証され、外部の2つの研究で検証された。

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