安定狭心症にPCIは不要?(RCT, FAME2, N Engl J Med. 2018)

Five-Year Outcomes with PCI Guided by Fractional Flow Reserve.

Xaplanteris P et al.

N Engl J Med. 2018 Jul 19;379(3):250-259.

doi: 10.1056/NEJMoa1803538. Epub 2018 May 22.

PMID: 29785878

ClinicalTrials.gov number: NCT01132495

Funded by St. Jude Medical and others

【研究の背景】

安定冠動脈疾患患者における初期治療としての医学療法よりもフラクショナルフローリザーブ(FFR)ガイド下経皮冠動脈インターベンション(PCI)が優れていると仮定した。

【方法】

血管造影で有意な狭窄を有する患者1,220人のうち、血行動態的に少なくとも狭窄が1つ有意であった患者(FFR ≦0.80)を、FFR誘導PCI+医学療法または医学療法単独にランダムに割り当てた。

全狭窄のFFRが0.80を超えていた患者は医学療法を受けた後に試験登録を受けた。

主要評価項目は、死亡、心筋梗塞、または緊急血行再建術の複合だった。

【結果】

合計888人の患者がランダム化を受けた(PCI群447人および内科療法群441人)。

試験開始後5年時点で、主要評価項目の割合はPCI群の方が薬物療法群よりも低かった(13.9% vs. 27.0%)。

ハザード比 =0.46, 95%信頼区間[CI] 0.34〜0.63, P <0.001)。

その差は緊急の血行再建術によるものであり、PCI群では6.3%、内科的治療群では21.1%だった。

ハザード比 =0.27, 95%CI 0.18〜0.41

死亡率(5.1% vs. 5.2%, ハザード比 =0.98, 95%CI 0.55〜1.75)または心筋梗塞(8.1% vs. 12.0%, HR =0.66, 95% CI 0.43〜1.00)については、PCI群と医学療法群との間に有意差はなかった。

PCI群と登録集団との間で主要評価項目の割合に有意差は認められなかった(それぞれ13.9% vs. 15.7%)。

HR =0.88, 95%CI 0.55〜1.39

狭心症からの緩和は、薬物療法後よりもPCI後の方がより顕著だった。

【結論】

安定した冠状動脈疾患の患者では、治療開始5年後における最初のFFRガイド下のPCI戦略は、医学的治療単独よりも主要複合アウトカム(死亡率、心筋梗塞、または緊急血管再建術)は有意に低かった。

血行動態的に有意な狭窄のない患者では、医学療法単独で好ましい長期転帰を示した。

【コメント】

アブストのみ。

複合アウトカムかつオープンラベルで実施。ほぼソフトエンドポイントだけに差が認められているため試験デザインとして問題があると考えられます。

さて、プライマリーアウトカムの内訳としては死亡リスクには群間差がなく、心筋梗塞リスクはやや低下傾向、緊急血行再建術リスクは有意に低かった。

本試験のみで安定狭心症にPCIが不要とまでは言えないと考えられます。

続報を待ちたい。

なぜ冠動脈虚血のカットオフ値はFFR <0.75なのか?(N Engl J Med. 1996)

Measurement of fractional flow reserve to assess the functional severity of coronary-artery stenoses.

Pijls NH et al.

N Engl J Med. 1996 Jun 27;334(26):1703-8.

PMID: 8637515

【指摘背景】

冠動脈虚血に対し経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Coronary Intervention, PCI)の適応となる要因の一つにFFR <0.75という基準がある。

FFR(fractional flow reserve)とは、日本語でいう冠血流予備量比のことで、冠動脈狭窄病変の重症度を測る指標である。

算出方法は、冠動脈狭窄病変の近位部 (Pa) と遠位部 (Pd) の冠動脈内の圧を測定し、以下の式を用いる。
  FFR = Pd ÷ Pa

さて冒頭のFFR <0.75とは、通常の血管であった場合に得られる最大血流量の75%未満であることを意味している。なぜ75%をカットオフに設定しているのか?その根拠となった論文を紹介したい。

“なぜ冠動脈虚血のカットオフ値はFFR <0.75なのか?(N Engl J Med. 1996)” の続きを読む