SGLT2 阻害薬は2型糖尿病患者における腎不全を予防できますか?(SR&MA; Lancet Diabetes Endocrinol. 2019)

SGLT2 inhibitors for the prevention of kidney failure in patients with type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis.

Neuen BL, et al.

Lancet Diabetes Endocrinol. 2019.

Funding: 無し

PMID: 31495651

【背景と目的】

腎不全に対するナトリウム-グルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害剤の効果、特に腎疾患による透析または移植、死亡に対する本薬剤の必要性は不明である。

さらに、異なるレベルの推定糸球体濾過率(eGFR)およびアルブミン尿による腎アウトカムへの影響の不均一性を堅牢に評価するための以前の研究は不十分だった。

2型糖尿病患者の主な腎転帰に対するSGLT2阻害剤の効果を評価し、試験およびeGFRとアルブミン尿のさまざまなレベルで効果サイズの一貫性を判断するために、系統的レビューとメタ分析を行うことを目的とした。

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駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者におけるフォシーガ®️の効果はどのくらいですか?(RCT; DAPA-HF; NEJM 2019)

Dapagliflozin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction

  • McMurray JJV et al.

New Eng J Med 2019

September 19, 2019
DOI: 10.1056/NEJMoa1911303

Funded by AstraZeneca; DAPA-HF

ClinicalTrials.gov number, NCT03036124. opens in new tab.)

PMID: 未

【背景】

2型糖尿病の患者では、ナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤により、おそらくグルコース非依存性メカニズムにより、心不全の最初の入のリスクが低下する。

2型糖尿病の有無に関係なく、心不全が確定し駆出率が低下した患者におけるSGLT2阻害剤の効果に関して、より多くのデータが必要である。

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腎障害を有する2型糖尿病患者におけるカナグル®️の効果はどのくらいですか?(DB-RCT, CREDENCE; NEJM 2019)

Canagliflozin and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes and Nephropathy

April 14, 2019
DOI: 10.1056/NEJMoa1811744

N Eng J Med. 2019.

PMID: 30990260

Funded by Janssen Research and Development

ClinicalTrials.gov number, NCT02065791

【背景】

2型糖尿病は、世界中で腎不全の主な原因である。しかし有効な長期治療法はほとんどありません。ナトリウム – グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤を用いた心血管試験において探索的な結果では、SGLT2阻害薬使用により2型糖尿病患者の腎アウトカム改善の可能性が示唆された。

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CKD合併の2型糖尿病におけるSGLT2阻害薬の効果はどのくらいですか?(SR&MA: Diabetes Obes Metab. 2019.)

Effect of SGLT2 inhibitors on cardiovascular, renal and safety outcomes in patients with type 2 diabetes mellitus and chronic kidney disease: A systematic review and meta-analysis.

Toyama T, et al.
Diabetes Obes Metab. 2019.
PMID: 30697905

目的

2型糖尿病(T2DM)および慢性腎臓病(CKD)患者におけるナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤の使用は、主に血糖降下作用(薬剤の有効性)が腎機能に依存するために制限されてきた。

T2DMおよびCKD患者(推定糸球体濾過量(eGFR)<60 mL / min / 1.73 m2と定義)におけるSGLT2阻害剤の有効性および安全性を評価するために系統的レビューおよびメタアナリシスを行った。

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ジャディアンス®️使用による壊疽性筋膜炎(フルニエ壊疽)Case Report(Diabet Med. 2017)

Fournier’s gangrene in a man on empagliflozin for treatment of Type 2 diabetes.

Kumar S, et al.
Diabet Med. 2017.
PMID: 28887847

背景

ナトリウムグルコース共輸送体2(SLGT2)阻害薬の使用は、尿中への糖排泄増加による二次性の生殖器感染症リスク増加と関連している。

症例報告

エンパグリフロジンとメトホルミンで治療していた41歳の2型糖尿病患者(男性)。陰嚢腫脹を呈した。

彼は先行エピソードとして、性器カンジダ症のため、店頭で購入した抗真菌治療を使用したことを明かした。診察時、彼は発熱がなく、血行動態的に安定していた。

会陰の検査では、両側の鼠径リンパ節症を伴う大きな腫脹により陰嚢の腫脹が誘発されていたことが明らかになった。

検査の結果、炎症マーカーが上昇し、HbA1cは99 mmol / mol(11.2%)だった。コンピューター断層撮影(CT)からフルニエ壊疽と一致する特徴が明らかとなった。

彼は麻酔下で診査および創面切除を受け、その後のさらなる診査のために、処置部の洗い流しおよび真空ドレッシングの適用のために手術室に戻った。彼はその後、会陰の割れ目に皮膚移植を受けた。

彼は2週間の静脈注射による抗生物質治療を必要とし、退院後も自宅での経口抗生物質による治療を行った。

入院時、エンパグリフロジンは中止され、血糖コントロールのために基礎ボーラスインスリン療法を開始した。

結論

SGLT2阻害薬に関連した生殖器感染症の臨床スペクトルは広く、そのほとんどが一般的に軽度で治療が容易である。しかしながら、糖尿病、肥満、免疫抑制状態、喫煙、アルコール乱用および末期腎不全または肝不全のような危険因子は、フルニエ壊疽のような潜在的により深刻な感染症への罹患リスクを増大させるかもしれない。

複数の危険因子を有す患者におけるSGLT2阻害剤の適時の中止は、より重症の生殖器感染症への進行を予防するのに役立ち得る。


コメント

アブストのみ。

今回の症例報告によると、エンパグリフロジン使用でフルニエ壊疽が認められたとのこと。

他の報告もみてみると同クラスの別の薬剤でも報告があった。したがって今のところはSGLT2 阻害薬全般に認められる稀だが重大な副作用であると考えられる。

壊疽性筋膜炎とかフルニエ壊疽とか初めて聞いた。

カナグル®️使用はGLP-1アナログと比べて骨折リスクを増加させますか?(Ann Intern Med. 2019)

Fracture Risk After Initiation of Use of Canagliflozin: A Cohort Study.

Fralick M, et al.
Ann Intern Med. 2019.

PMID: 30597484

試験の背景

ナトリウムグルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害薬は、尿中への糖排泄を促進するだけでなく、カルシウム、リン酸、およびビタミンD恒常性に影響を与える可能性がある。過去の報告において、カナグル®️(カナグリフロジン)使用により、骨密度の低下および骨折リスク増大の可能性が示唆された。

目的

グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アゴニストと比較した、カナグリフロジンの新規使用者における非脊椎骨折リスクを評価すること。

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エンパグリフロジンは2型糖尿病患者の心血管イベントを抑制できますか?実はオープンラベルですか?(EMPA-REG OUTCOME: NEJM.2015 Free)

Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes.

Zinman B et al.; EMPA-REG OUTCOME Investigators.

N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2117-28.

PMID: 26378978

ClinicalTrials.gov No.: NCT01131676

【資金提供】

ベーリンガー・インゲルハイムBoehringer Ingelheim

イーライ・リリーEli Lilly

 

【利益相反COI or 開示disclosure】

めっちゃある(本文参照)。個人的には “The trial was designed and overseen by a steering committee that included academic investigators and employees of Boehringer Ingelheim.” という部分がかなり気になる。

私的背景

EBM勉強会に参加し本論文を読んだ。その中で気になった点がいくつかあったので再度、批判的吟味しつつ考えをまとめてみる。

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カナグリフロジンは 2型糖尿病患者の心血管・腎イベント発生を抑制できますか?(CANVAS program; NEJM 2017; Free→charge)

Canagliflozin and Cardiovascular and Renal Events in Type 2 Diabetes.

N Eng J Med. 2017 Jun 12. doi: 10.1056/NEJMoa1611925. [Epub ahead of print]

Neal B et al.

PMID: 28605608

ClinicalTrials.gov No.: NCT01032629(CANVAS), NCT01989754(CANVAS-R)

 

【資金提供】

Janssen Research and Development

 

【利益相反COI or 開示disclosure】

http://www.nejm.org/doi/suppl/10.1056/NEJMoa1611925/suppl_file/nejmoa1611925_disclosures.pdf

【統合解析方法のペーパー】

Optimizing the analysis strategy for the CANVAS Program: A prespecified plan for the integrated analyses of the CANVAS and CANVAS-R trials. – PubMed – NCBI

PMID: 28244644

試験背景

カナグリフロジン(商品名:カナグル)は、糖尿病患者の血糖値、体重、およびアルブミン尿を減少させるナトリウム – グルコース共輸送体2(SGLT-2)阻害剤である。
心血管、腎臓、および安全性アウトカムに対するカナグリフロジン治療の効果を報告する。本論文は、CANVASおよび CANVAS-Rという 2試験の統合結果である。 “カナグリフロジンは 2型糖尿病患者の心血管・腎イベント発生を抑制できますか?(CANVAS program; NEJM 2017; Free→charge)” の続きを読む

SGLT2阻害薬は 2型糖尿病患者の全死亡リスクを低下できますか?〜Systematic Review & Meta Analysis〜(Acta Diabetol 2017; Charge)

Effects of SGLT-2 inhibitors on mortality and cardiovascular events: a comprehensive meta-analysis of randomized controlled trials.

Monami M et al.

Acta Diabetol. 2017 Jan;54(1):19-36. doi: 10.1007/s00592-016-0892-7. Epub 2016 Aug 4.

PMID: 27488726

プロトコール文献

以下のサイトを参照:

http://www.crd.york.ac.uk/PROSPERO/display_record.asp?ID=CRD42015029573.

私的背景

2017年7月23日に開催された EBM-Tokyoに参加し、上記の Systematic Review & Meta Analysis論文を読んだ。その際、RevMan5という Meta-Analysisの実施および作図を行えるソフトを使用し、本論文を吟味している先生に出逢い、触発され、自身でも試したくなった。再度、批判的吟味しつつ結果をまとめたい。

結論

本論文の結果は 2015年 NEJMに掲載された EMPA-REG OUTCOMEの結果に引っ張られているため新規性は無く有用性も低い。SGLT-2阻害薬の有効性については依然として controversial。


PICOT

P: 2型糖尿病

I : Sodium-Glucose coTransporter 2 inhibitor (SGLT-2阻害薬)の使用

C: プラセボあるいは SGLT-2阻害薬以外の薬剤

O: principal    — 全死亡、心血管死

  secondary — 心筋梗塞、脳卒中

T: 予防・治療、ランダム化比較試験のシステマティックレビュー&メタ解析


批判的吟味

使用した文献データベースは何か?

MEDLINE(Pubmed)、Food and Drug Administration(FDA)、European Medicines Agency(EMA)、www.clinicaltrials.gov Web site(clinicaltrials.gov)

検索語は?

SGLT-2 inhibitor(dapagliflozin, empagliflozin, canagliflozin, ipragliflozin, ertugliflozin, luseogliflozin)

研究の種類は?

Randamized Clinical Trial(RCT)

参考文献まで調べたか?

不明(それっぽい記載はあるが明確な記載無し)

個々の研究者に連絡を取ったか?

本文に記載はないが、恐らく取っていない(論文 Fig.1参照)

出版されていない研究も探したか?

探した(FDA、EMA、clinicaltrials.gov)

同じ研究が複数報告されているか?

本文中に記載はないが、論文 Fig.1より排除されていると判断した

英語以外で書かれた論文も探したか?

英語のみ(プロトコール論文参照)

研究は網羅的に集められたか?(出版バイアスは無いか?)

概ね集められていると判断した(本文ファンネルプロットを参照)

集められた研究の評価はどのように行われたか?(各研究の評価は妥当か?)

2人の研究者が独立して行い、意見が分かれたときは3人目が判断した

評価基準は明確か?(Risk of Biasの評価基準は?)

明確(Cochrane Collaboration’s toolを使用)

研究の異質性は検討されたか?

I2 統計量を用い検討されているが表現が古い。P値が 0.1より小さい(つまり異質性が低い)か否かで表現されている。近年では I2=50%のように表現されることが多い

最終的に残った研究数は?

71件、うち統合されたのは 32件(zero event studyを除外)

結果は統合されたか?

統合された。基本的には Rondam-effect modelを使用

Funding sources/sponsors

None

Conflict of interest

Matteo Monami has received speaking fees from Bristol Myers Squibb, Eli-Lilly, Merck, Novonordisk, Merck, and Takeda; and research grants from Bristol Myers Squibb.

Ilaria Dicembrini has no conflicts of interest.

Edoardo Mannucci has received consultancy fees from Merck and Novartis; speaking fees from Astra Zeneca, Bristol Myers Squibb, Merck, and Novartis; and research grants from Merck, Novartis, and Takeda.


結果は?

・全死亡 MH-OR =0.70 [95%信頼区間 0.59〜0.83], p < 0.001

・心血管死 MH-OR =0.43 [0.36〜0.53], p < 0.001

・心筋梗塞 MH-OR =0.77 [0.63〜0.94], p < 0.01

・脳卒中 MH-OR =1.09 [0.86〜1.38], p = 0.50

 

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Fig.1  全死亡のフォレストプロット(RevMan 5 | Cochrane Community を使用し作成:計 32件の RCTを統合)

 

 

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Fig.2  統合された 32件の RCTを用いたファンネルプロット(論文中には 71件の RCTの結果が記載されている)

 


コメント

Fig.1をみてみると Weight、つまり統合された結果に対する各研究の重み付けは Zinman (1が 77.1%と一番多い。この研究が EMPA-REG OUTCOMEである。つまり本論文の結果は、1つの大規模な RCTに引っ張られているだけであり、新規性は乏しい。

 

そして EMPA-REG OUTCOMEを取り除いた結果が以下である。

 

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Fig.3  EMPA-REG OUTCOMEを取り除いた全死亡の統合結果(計 31件)

 

EMPA-REG OUTCOMEを統合してもしなくても異質性は 0%だが、取り除いたことでオッズ比が 1をまたいでしまった(OR =0.79, 95%CI 0.56〜1.11)。

 

1件の RCTの結果のみ(今回の場合は EMPA-REG OUTCOME trial)では薬剤効果を判定するのは難しいと考えられる。つまり現時点では SGLT-2阻害薬使用により全死亡のリスクは、オッズ比で 0.56〜1.11であったということ(SGLT-2阻害薬は使わないようにしましょう!とは言っていません。誰に使うかは非常に悩ましいところ)。そしてオッズ比を使用しているところが肝だと感じる文献です。リスク比やハザード比と異なり、オッズ比はリスクの直接的な判断ができません。オッズ比からリスク比に換算する必要があると考えられます(→準備中です)。

 

また本論文の作成過程が “正確に” 行われたのかについては非常に疑問です。引用先の参考文献の番号が異なっていたり、参考文献には記載のない著者名が本文中に記されていたり、principal outcome以外の異質性が記されていなかったり、集めてきた研究の Risk of Bias評価が誤っていたり等々、てんこ盛りです。本論文の筆頭著者は、糖尿病研究ではかなり有名な人物のようですが、非常に残念でなりません。Fundingは無いようですが COIには注意したい。

 

 

-Evidence never tells you what to do-