インフルエンザワクチンの効果は年齢で異なりますか?(Vaccine. 2018; Charge)

Influenza vaccine effectiveness in older adults compared with younger adults over five seasons.

Russell K et al.

Vaccine. 2018 Feb 28;36(10):1272-1278.

PMID: 29402578

背景

米国における若年成人と比較し、高齢者(65歳以上)でのインフルエンザウイルスに対するワクチン有効性(vaccine effective: VE)の低下に関しては、有効であるとする報告と、有効性が低いとする報告とが混在しており、一貫性はない。これら観測の一貫性を評価するには、複数の季節にわたる VEの直接比較が必要である。

 

方法

米国の Flu VE Networkに体系的に登録された 18歳以上の成人の VEについて、5シーズンにわたって分析した。急性呼吸器疾患を有する外来患者(登録前 7日以内に発病した咳)に対し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(rt-PCR)を用いてインフルエンザ罹患を判定した。シーズンワクチン接種ステータスにより層別化し、インフルエンザタイプとサブタイプにより高齢成人(65-74、≧75、および 65歳以下)と 18〜49歳の成人における VEとワクチン失敗の差異を統計的に評価した。

 

結果

解析には、2011-12年~2015-16年のインフルエンザシーズン中に登録された 18歳以上の成人 20,022人が組み入れられた。その内 4,785人(24%)がインフルエンザ陽性と判定された。

65歳以上の患者の VEは、年齢およびワクチン接種の有意な相互作用の無いいずれのサブタイプに対しても 18〜49歳の患者の VEと差が認められなかった

インフルエンザウイルスA型(H3N2)に対する VEは、65歳以上の成人では14%(95%信頼区間[CI] -14%~36%)であり、18〜49歳の成人では 21%(95%CI 9~32%)であった。

インフルエンザウイルスA型(H1N1)pdm09に対する VEは、65歳以上の成人では 49%(95%CI 22~66%)、18〜49歳の成人では48%(95%CI 41〜54%)であった。

インフルエンザウイルスBに対する VEは、65歳以上の成人では62%(95%CI 44~74%)、18〜49歳の成人では 55%(95%CI 45〜63%)がであった。

年齢および以前のワクチン接種ステータスの有意な相互作用はなかった。

結論

インフルエンザワクチン接種は、A型インフルエンザ(H3N2)に対する防御レベルが低い全ての年齢層において、高齢者および若年成人に(5シーズンを通して)同様の効果をもたらした。

 

 

 

コメント

アブストのみ。高齢者では獲得免疫を得ること自体が困難であると認識していた。しかし今回の結果においては、若年成人と高齢者との間に差は認められなかった。

インフルエンザワクチンは、インフルエンザ罹患を防げないから接種の意義は無いと豪語する方もいらっしゃいますが、そもそもの目的は、症状の重症化を防ぐこと、高齢者や小児、糖尿病等のハイリスク患者での症状悪化を防ぐことであはないでしょうか。

つまり特定集団でのアウトブレイクを防ぐことが目的であると考えられます。

 

 

 

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【新薬の効果はどのくらい?】バロキサビル(ゾフルーザ®️)

1回飲むだけのインフル新薬、5月発売へ

2月2日の朝日新聞DIGITALで新薬について採り上げられていました。早速、効果を検証してみようと臨床試験の結果を検索したところ以下の文献が見つかりました。残念ながら Abstractのみです。

 

“【新薬の効果はどのくらい?】バロキサビル(ゾフルーザ®️)” の続きを読む

検査キットがインフルエンザを診断する?いいえ、医師が診断します(厚生労働省ホームページより)

⌘ 背景・疑問

インフルエンザの季節になると、患者さんは必ずと言っていいほど、「インフルエンザの検査をして欲しい」と言います。

なかには「検査してもらえなかったのに薬だけだされた」と、オセルタミビル(タミフル®︎)とアセトアミノフェン(カロナール®︎)が処方され『???』となっている方がいます。

インフルエンザの診断に検査キットは必須なのでしょうか?

 

 

⌘ 結論

本ブログのタイトルの通りです。診断は医師が行います。決して検査キットが決めるのではありません。

 

 

⌘ 根拠

理由は大きく分けて2つありますが今回は、そのうちの1つをご紹介します。

 

▶️厚生労働省のホームページ「政策について」の項にインフルエンザの記載があります。

これによると、医師及び獣医師はインフルエンザ患者と診断した場合、『法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない』とされています。

そして届出の基準として以下の記載があります。

 

▶️症状や所見からインフルエンザが疑われ、かつ、表.1のすべてを満たすか、表.1のすべてを満たさなくても表.2を満たすことにより、インフルエンザ患者と診断。

 

表.1:届出のために必要な臨床症状(4つすべてを満たすもの)

突然の発熱
高熱
上気道炎症状
全身倦怠感等の全身症状

 

表.2:届出のために必要な検査所見

検査方法: 迅速診断キットによる病原体の抗原の検出
検査材料:  鼻腔吸引液、鼻腔拭い液、咽頭拭い液

 

▶️つまり、検査キットは必須ではありません。また上記の4徴候が認められなくとも今後、症状が悪化しインフルエンザの兆候を示しそうな場合、医師はインフルエンザと診断します。

 

▶️いかがでしょうか。少なくとも検査キットが必須でないことは国が示しています。ただ私個人としては「〇〇が言っているから、そのようにしましょう」というのは、あまり好きではありません。もう一つの理由については、今後ブログで紹介していきます。

 

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