メトグルコ®️による乳酸アシドーシス発生頻度は腎機能に左右される?(コミュニティベースコホート研究; JAMA Intern Med. 2018)

Association of Metformin Use With Risk of Lactic Acidosis Across the Range of Kidney Function: A Community-Based Cohort Study.

Lazarus B, et al.
JAMA Intern Med. 2018.

PMID: 29868840

【研究の重要性】

2型糖尿病および軽度から中等度の腎臓疾患を有する米国の約100万人の患者は、メトホルミンによるガイドラインに基づく治療を受けていない。 これは、慢性腎臓病患者のアシドーシスのリスクに関する不確実性を反映している可能性がある。

【目的】

メトホルミン使用とアシドーシスによる入院との関連性を推定された糸球体濾過率(eGFR)の範囲にわたって定量化し、経時的なeGFR段階の変化を定量化する。

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重症低血糖は心血管アウトカムや死亡にどのくらい影響しますか?(RCT後付け解析; VADT; Diabetes Care 2019)

Effects of Severe Hypoglycemia on Cardiovascular Outcomes and Death in the Veterans Affairs Diabetes Trial.

Randomized controlled trial

Davis SN, et al.
Diabetes Care. 2019.
PMID: 30455335

【目的】

退役軍人糖尿病試験(VADT)における重症低血糖症の危険因子、および重症低血糖症と重症心血管有害事象や心血管死亡率、そして全死因死亡率との関連性を決定すること。

【研究デザインおよび方法】

VADTデータの事後分析には、既知の心血管疾患やその他の心血管系危険因子の有無にかかわらず、11.5±7.5歳の罹病期間を有する、最適にコントロールされていない2型糖尿病(HbA1c 9.4±2.0%)の退役軍人(年齢60.5±9.0歳)1,791人が含まれた。

参加者は厳格治療群(HbA1c <7.0%)あるいは標準治療群(HbA1c <8.5%)にランダム化された。

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【世界禁煙デー2019】喫煙はインフルエンザ罹患やインフルエンザによる死亡リスクを増加させますか?(観察研究のSR&MA; Epidemiology 2019)

Smoking and Influenza-associated Morbidity and Mortality: A Systematic Review and Meta-analysis.

Han L, et al.
Epidemiology. 2019.
PMID: 30789425

【背景】

喫煙は多くの呼吸器疾患の危険因子として認識されてるが、インフルエンザ関連の罹患率と死亡率の影響は物議を醸している。

インフルエンザ関連の入院、集中治療室(ICU)の入院、および死亡に対する喫煙の影響を評価するために、系統的レビューおよびメタアナリシスを実施した。

【方法】

2000年1月1日から2017年11月30日までの間に発表されたすべての観察研究について、PubMed、CINAHL、EMBASE、およびChina National Knowledge Infrastructureのデータベースを検索した。 死亡についてランダム効果モデルを使用してデータをプールした。

【結果】

・最初の検索で7,495件の論文が検索され、そのうち20件の研究が系統的レビューに含まれ、12件の研究(8件の症例対照研究、2件のコホート研究、および2件の横断研究)がメタアナリシスに含まれた。

・選択された研究の全体的な質は中程度だった。

・インフルエンザ感染後は、一度も喫煙経験のない群と比べて、より喫煙頻度の高い現喫煙者の方が入院(オッズ比[OR] =1.5, 95%信頼区間[CI] =1.3〜1.7)、ICU入院のオッズ(OR =2.2, 95%CI =1.4〜3.4) が高かった。

・喫煙経験のある(現在は喫煙していない)群とインフルエンザに関連した死亡との間に関連は見られなかった。

・受動喫煙とインフルエンザに関連した入院との間に正の関連性を見いだしたが、それは15歳未満の子供に限られていた。

【結論】

文献によると、喫煙はインフルエンザ感染後の入院リスクが高いことと一貫して関連していたが、ICUの入院および死亡の結果は研究数が限られているため決定的ではなかった。


【コメント】
アブストのみ。
毎年5月31日は世界禁煙デー(World no Tabacco Day)のようです。
個人的には、日本が捉えている煙草と世界が捉えている煙草は異なるように感じています。

というのも日本ではなかなか禁煙が進まず、政府ですら分煙という策でお茶を濁してきた状態です。これについては2016年に世界保健機構(World Health Organization, WHO)からも苦言を呈されています。しかも名指し💦

https://www.j-cast.com/2016/10/15280794.html?p=all

それを受けてからなのか、東京五輪を見据えてなのか、2018年に受動喫煙対策を強化する改正健康増進法の成立がなされました(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html)。

そこで厚生労働省は、まず学校や病院、行政機関の庁舎について、2019年7月1日から屋内完全禁煙にすることとしました。

さて今回、紹介するのは喫煙および受動喫煙によりインフルエンザ罹患やインフルエンザによる死亡、インフルエンザによる入院リスクについて検討した研究です。

結果としては、現喫煙者の方が、喫煙経験のない患者や喫煙経験者に比べて入院リスクが高かったとのこと。本研究は観察研究の統合結果であるため、因果関係までを論じることはできませんが、どうやらリスク増加の傾向はありそうです。

また本研究の最大の限界点は、禁煙すればインフルエンザ関連による入院を防げるのか否かはわからない、ということです。

ただ受動喫煙により、15歳未満の子供でインフルエンザによる入院リスクが増加していた点については、子を持つ親としては気になるところ。

ここまで長々と書いてきましたが、言いたいことは2つです。

「子供と同じ屋内空間での喫煙は避けましょう」

「たばこの吸殻はポイ捨てしないで持ち帰ろう」

私個人はといえば、煙草を吸うこと自体は個人の自由なので善し悪しの判断はできないなと考えています。

しかし、それでも他者に害を及ぼすことは避けたいなってなわけで一念発起して数年前に禁煙しました🚭やってみると意外と簡単にできますよ♪

そして煙草代に使っていたお金で焼肉を喰らい体重が増えましたとさ。

めでたしめでたし?

労働年齢の変形性膝関節症患者に対する高分子量ヒアルロン酸の有効性はどのくらいですか?(オープンラベルRCT; BMC Musculoskelet Disord. 2019)

The effectiveness of high molecular weight hyaluronic acid for knee osteoarthritis in patients in the working age: a randomised controlled trial.

Hermans J et al.

BMC Musculoskelet Disord. 2019 May 7;20(1):196.

doi: 10.1186/s12891-019-2546-8.

TRIAL REGISTRATION: www.trialregister.nl , NTR1651, registered 2009-3-3.

PMID: 31064359

【試験背景】

高分子量(HMW)ヒアルロン酸(HA)は変形性膝関節症(Knee Osteoarthritis, Knee OA)の治療法の選択肢である。Knee OAにおけるHMW-HAの有効性は広く研究されているが、就労年齢患者における有効性は不明である。

それにもかかわらず、労働年齢におけるKnee OA患者の数は増加している。外科的治療の選択肢はこれらの患者にはあまり適格ではなく、生産性の損失は大きい。

本研究では、労働年齢の症候性膝関節症患者の52週間にわたる通常ケアと比較して、日常の臨床診療における通常の非外科的通常ケア(Usual Care, UC)に追加される関節内HMW-HAの有効性を調べた。

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50際以上のアメリカ成人における人生の目的と死亡率の関連性(全国規模コホート研究; JAMA Netw Open. 2019)

Association Between Life Purpose and Mortality Among US Adults Older Than 50 Years

Alimujiang A et al.

JAMA Netw Open. 2019;2(5):e194270. doi:10.1001/jamanetworkopen.2019.4270

【臨床疑問】

米国健康年金研究に参加している50歳以上の人々の生活目的と全死因または死因別死亡率との間に関連はありますか?

【所見】

6,985人を対象とした本コホート研究では、人生の目的が全死亡率と有意に関連していることが示された。

【研究の意義】

人生の目的は修正可能な危険因子であるため、人生の目的を改善するための介入の役割は、死亡率を含む健康上のアウトカムについて評価されるべきである。

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無症候性の甲状腺機能低下症は心血管疾患や死亡率に影響しますか?(前向きコホート研究のメタ解析; Thyroid. 2018)

Subclinical Hypothyroidism and the Risk of Cardiovascular Disease and All-Cause Mortality: A Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies.

Moon S et al.

Thyroid. 2018 Sep;28(9):1101-1110.

doi: 10.1089/thy.2017.0414. Epub 2018 Aug 17.

PMID: 29978767

【研究の目的】

無症候性甲状腺機能低下症(SCH)が心血管疾患(CVD)のリスクおよび全死亡率に及ぼす影響を判断するために、参加者の年齢または共存するCVDリスクの状態に従って包括的なメタアナリシスを実施した。

【方法】

SCHとPubMedおよびEmbaseデータベースからの全死因死亡率との関連に関する研究が含まれていた。 CVDおよび全死因死亡率のプールされた相対リスク(RR)は、Mantel-Haenszel法を用いて計算された。冠動脈、脳、または末梢動脈疾患の病歴を含む、CVDリスクの高い参加者のサブグループ分析が行われた。拡張型心筋症;心不全;心房細動;静脈血栓塞栓症;真性糖尿病または慢性腎臓病。

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【批判的吟味】虚血性脳卒中患者におけるプレタール®️ベースDAPT治療にはバイアスピリン®️とプラビックス®️どちらが良さそうですか?(オープンラベルRCT; Lancet Neurology 2019)

Dual antiplatelet therapy using cilostazol for secondary prevention in patients with high-risk ischaemic stroke in Japan: a multicentre, open-label, randomised controlled trial

Toyoda et al.

Lancet Neurology 2019

DOI:https://doi.org/10.1016/S1474-4422(19)30148-6

ClinicalTrials.gov (number NCT01995370) UMIN Clinical Trials Registry (number 000012180).

PMID: 未

Funding: Otsuka Pharmaceuticals

【研究の背景】

アスピリンとクロピドグレルによる二重抗血小板療法は虚血性脳卒中の早期再発を軽減するが、長期間の使用において、このタイプの療法はもはや効果がなくなり、出血のリスクが高まることが報告されている。

シロスタゾールがアスピリンと比較して重篤な出血リスクを増加させることなく脳卒中の再発を予防するという仮説を立て、シロスタゾールを含む二重抗血小板療法が安全で長期使用に適しているかどうかを確立することを目指し試験を行った。

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DOACsとワルファリンはどちらが優れていますか?(イギリス人口ベースのコホート研究; BMJ 2018)

【私的背景】

イグザレルト®️(リバーロキサバン)を検討したPIONEER-AFやROCKET-AF等の過去の臨床試験結果において、ワーファリン®️(ワルファリン)と比べて、より新しい抗凝固薬であるDirect Oral AntiCoagulants(DOACs)の有益性が示唆されている。

だがいずれの試験も対照薬であるワルファリンに不利となるような因子がある。例えばPIONEER-AFでは患者背景にバラツキがあり、ワルファリン群に不利となる条件だった。またROCKET-AFでは、プロトロンビン時間国際標準比(Prothrombin Time-International Normalized Ratio, PT-INR)を測定する機器(Point-Of-Care Warfarin Monitoring)にリコールがあった。

しかしリコールと非リコールでのサブグループ解析でも結果は同じ、つまり問題はないとされた(https://www.bmj.com/content/362/bmj.k2505?hootPostID=4d765f3ab1f9ae27fd05a9962c75bbe7 ; https://www.bmj.com/content/363/bmj.k4413)。

個人的にはサブグループ解析はあくまで仮説生成であり,結果に差があろうとなかろうと情報の信頼度は低いと考えている.本当にDOACsはワルファリンよりも優れていると結論付けて良いのか?この部分を明らかにしていくために本コホート研究を読んでみた。

ちなみにイグザレルト®️はバイエル薬品から発売されている。バイエル薬品といえば、過去に個人情報のコンプライアンス違反副作用についての虚偽報告をした件があり、厚生労働省から改善指導がなされている(https://mainichi.jp/articles/20170715/k00/00m/040/106000c.amp ; https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000179072.html)。

 


Risks and benefits of direct oral anticoagulants versus warfarin in a real world setting: cohort study in primary care.

Vinogradova Y et al.
BMJ. 2018 Jul 4;362:k2505.
doi: 10.1136/bmj.k2505.
PMID: 29973392
 

【試験の目的】

 直接経口抗凝固薬(DOAC)と出血のリスク、虚血性脳卒中、静脈血栓塞栓症との関連性を調査すること、そしてすべてがワルファリンと比較して死亡率を引き起こすこと。

【試験デザイン】

 前向きオープンコホート研究

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乳児における肺静脈狭窄の予後はどのくらいですか?(SR&MA; J Pediatr. 2018)

Pulmonary Vein Stenosis in Infants: A Systematic ReviewMeta-Analysis, and Meta-Regression.

Backes CH et al.
J Pediatr. 2018 Apr 9. pii: S0022-3476(18)30218-X.
doi: 10.1016/j.jpeds.2018.02.030. [Epub ahead of print]
PMID: 29650415

【目的】

肺静脈狭窄(PVS)と診断された幼児(1歳未満)のアウトカムを定量化する。

【研究デザイン】

2017年2月1日までMEDLINE(PubMed)、Scopus、およびWeb of Scienceを検索した。言語制限はなし。前回の介入がなく、プライマリPVSと診断された乳児を含む文献が考慮された。

本研究は、疫学ガイドラインの観察研究のメタ分析、体系的レビュー、メタ分析のチェックリストに従って実施され、前向きに登録された。

選択された報告書の質は批判的に検討された。

データ抽出は、先験的に合意された結果を有する複数の観察者によって独立して行われた。データは、逆分散不均質モデルを用いてプールされ、主要評価項目は死亡率であった。

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低血糖リスクの少ない抗糖尿病薬による血糖低下作用は心血管イベント抑制に寄与できますか?(SR&MA; Diabetes Obes Metab. 2018)

Blood glucose reduction by diabetic drugs with minimal hypoglycaemia risk for cardiovascular outcomes: Evidence from meta-regression analysis of randomized controlled trials.

Huang CJ et al.
Diabetes Obes Metab. 2018 May 2. doi: 10.1111/dom.13342. [Epub ahead of print]
PMID: 29722116

【研究の目的】

2型糖尿病(T2D)患者の心血管系アウトカムに対する低血糖症のリスクが最も低い抗高血糖剤による血糖コントロールの効果を検討する。
 

【材料および方法】

低血糖リスクの少ない抗糖尿病薬の相対的有効性と安全性を比較するランダム化比較試験(RCT)は、2018年1月27日までMEDLINE、Embase、Cochrane Libraryで総合的に研究された。

混合効果メタ・リグレッション分析を行い、ヘモグロビンA1c(HbA1c)減少と重大な有害心血管イベント(MACE)、心筋梗塞、脳卒中、心臓血管死、全原因死、および心不全の入院のリスクとの間の関係について検討した。

【結果】

・T2Dを有する92,400人を含む10件のRCTが含まれ、中央値2.6年間の追跡期間中の9,773件のMACEに関する情報が提供された。

・平均HbA1c濃度は、プラセボ投与群よりも抗高血糖剤を投与した参加者の方が0.42%低かった(範囲 0.27%〜0.86%)。

・メタレグレッション解析では、年齢、性別、ベースラインHbA1c、追跡期間(HbA1c)、達成された収縮期血圧の差、達成された体重の差、および低血糖症リスクの差などの交絡因子の調整後でさえ、HbA1cの減少がMACEリスクの低下と有意に関連していた(β値 -0.39〜 -0.55; P <0.02)。

・HbA1cを1%低下させることは、MACEの30%(95%信頼区間 17%〜40%)の有意なリスク低下をもたらした。対照的に、従来の薬剤を用いた試験のメタ – 回帰分析は、達成されたHbA1cの差とMACEリスクとの間に有意な関係を示さなかった(P> 0.74)。

【結論】

プラセボと比較して、低血糖の危険性がより低い新規のT2D剤は、MACEリスクを有意に減少させた。 MACE減少は、線形関係におけるHbA1c減少と関連しているようである。

【KEYWORDS】

dipeptidyl peptidase-4 inhibitor; glucagon-like peptide-1 agonist; major adverse cardiovascular events; sodium-glucose cotransporter-2 inhibitor; thiazolidinedione; type 2 diabetes

【コメント】

アブストのみ。

DPP-4阻害薬、GLP-1刺激薬、SGLT-2阻害薬は、プラセボと比較してHbA1cの低下およびMACEリスク低下をもたらした。

他の試験結果をみると、DPP-4阻害薬単独によるMACEリスク低下はなさそう。新規とか従来薬とか、ざっくりとしたグループ分けではなく、個々の薬剤で評価した方が良いですね。