処方提案するときに心がけていることは何ですか?

⌘ はじめに

本題に入る前にコトバと現象について触れておきたい。

私が当たり前と考えていることをコトバにしたい。

ある現象をコトバで説明しようとするときに各々、個々人の頭で考えている

そんなの当たり前だ!と言われそうだがココが重要なのである。

コトバを発しているのが個人なのだから、そのコトバを形成しているのも個人ということだ。

これを踏まえた上で処方提案というコトバを考えていきたい。

⌘『処方提案』 と 処方『提案』

同じコトバだが私が恣意的に鉤括弧をつけることで見え方、捉え方が変わったのではなかろうか。

ちなみに私の捉え方は後者なので、後者の視点で書かせていただく。

あくまで『提案』なのだ。

どんなに良いと思える臨床試験の結果も、こと処方提案においては個人が恣意的に結果を切り取っている可能性が高いからである。

また臨床試験の参加者のバックグラウンドに全てが合致する患者さんも、目の前にほとんどいないのではなかろうか。

つまり自分が良いと思う、あるいは興味がある方向に提案内容が引っ張られてしまうのだ。

これまた当たり前だ!と言われればその通りなのだが、ここを前提に提案内容を吟味できるかが医師や患者さんと良好な関係を保つのに必要であると考えている。

⌘ 処方提案の流れ

これらを踏まえた上で私が実践している処方提案の流れを以下に記す。

ちなみに最初は必ず文書で処方提案し、その後、必要な際に電話しています(今のところ対面はないです汗)。

①患者さんの直近の状態と愁訴をまず示す

②愁訴の原因(となっている可能性の高い)薬を示す

③代替薬を示す、あるいは中止してみてはどうかと促す

④『必要があれば』エビデンスとなる文献情報を示す

⑤介入後、患者さんが病院を受診する前に薬局に来た場合は、そこで得られた情報をすぐ処方医と共有する

⑥継続的フォローはもちろん、変化があればすぐ処方医と情報共有する

 

またまた当たり前のことですね。でも、この当たり前のことが『かかりつけ薬剤師制度』が導入される前は難しかった。

ちなみに、これも当たり前ですが医師の処方内容を否定しません。なぜなら現行の医療行為を根底から覆せる明確なエビデンスはないと考えているからです。

⌘ ただ粛々と曖昧な医療を少しでも良さそうな方向へ

そうそう、私は処方提案したうちの10%でも受け入れて貰えれば良いなぐらいに考えてます。まずパイプを作り、徐々に介入していければ良いなと思っています(患者さんの愁訴が重い場合は急ぎますし、羅列するエビデンスの量も増えますが、、、)。

まぁ、たいてい医師が思い切った判断をすることが多く、さらには、こちらが提案したこと以上の処方変更をしてくれることが多く、驚かされていますが。

医療は曖昧であり、曖昧なまま受け入れ、その曖昧な中から選択するしかありません。

もちろん治療介入せず経過観察するというのも選択肢の1つです。

そして最終的な判断は患者さんにあるなとも考えています。

処方内容や既往歴等から、処方提案をしたいなと思うこともありますが、患者さんが『今の薬で症状が安定している。この薬で私は普通の生活ができている』と現状維持で良いと判断しているならば介入する必要は無いのでは?(ここは意見が分かれるところだと思います)

以上です。批判的意見もあるとは思いますが、ご容赦いただけますと幸いです。

 

-Evidence never tells you what to do-




 

海外のデータを日本人に当てはめて良いですか?

⌘ 背景

Evidence-Based Medicine(EBM)を実践しようと論文を読み始めたときに、ふと『海外のデータばかりだな、日本人に活用できるのかな?』と思った。

そんなとき私の尊敬しているある先生の言葉にいたく感銘を受けた。

 

以下、一部抜粋。

⌘ 海外データはそのまま日本人に使えない?

『質問者は海外データはそのまま日本人に使えない、ということを主張したいのでしょうか。それに対し私に何の反論もありません。その通りだと思います』

『しかし、ことさら人種差を持ち出すというところに違和感があります。人種差は個人差の一要素に過ぎません。男女でも違いますし年齢でも違います。細かい病態も個人個人で違います。その一要素として人種を考慮することは重要です』

『ただ、真っ先に人種差を問題にするというのはどうなんでしょうか。それは biasなのではないでしょうか。そう言いたいわけです。これをもう少し一般化すると情報の外的妥当性の吟味ということです』

『そもそも研究結果は研究に参加した平均的な人たちに対するものであって、個別の患者に適応する際には日本人のデータであろうが海外のデータであろうが個別的な適応、つまり外的妥当性があるデータなのか検討する必要があります。人種の問題は、そういう当たり前の問題にすぎません』

『エビデンスは、しょせん目の前の患者とは異なる集団での平均値に過ぎないのです』

⌘ 人種間のばらつきは、人種内のばらつきに比べればかなり小さい

人種間のばらつきは、人種内のばらつきに比べればかなり小さいというのが普通です。人種をことさら問題にするのは、こうした視点で考えてもナンセンスです』

⌘ コメント

いかがでしょうか。この言葉に触れた時からEBMの Step4の実施が肝であるなと考えています。

自分で自分のことを決定できる患者は少ないと思います。現時点における最良の意思決定の一助となれるよう論文を継続して読むことが肝要ではないでしょうか。

より良い、少しでも良い治療選択のためにエビデンスを活用し、患者と話し、医師と相談し、decision makingしていきたいと思います。

 

 

-Evidence never tells you what to do-




 

ピロリ菌の除菌治療は3剤より4剤の方が良いですか?(Lancet 2016; Charge)

前回の記事に続きピロリ関連の文献を紹介します。2016年 Lancet 誌に掲載された以下の論文です。

Concomitant, bismuth quadruple, and 14-day triple therapy in the first-line treatment of Helicobacter pylori: a multicentre, open-label, randomised trial.

Liou JM et al.
(PMID: 27769562)

⌘ PICO

P:ピロリ菌陽性*)の 1620 人(20 歳超の男女)

I :ビスマス 4 剤療法、10 日間

 (2クエン酸ビスマス3カリウム 300 mg、1 日 4 回

  +  テトラサイクリン 500 mg、1 日 4 回

  + ランソプラゾール 30 mg、1 日 2 回

  + メトロにダゾール 500 mg、1 日 3 回)

C:3 剤療法、14 日間、1 日 2 回服用

 (ランソプラゾール 30 mg

  + アモキシシリン 1 g

  + クラリスロマイシン 500 mg)

     

  併用療法、10 日間、1 日 2 回服用

 (3剤療法 + メトロニダゾール 500 mg)

O:Primary — 1 次治療終了 6 週間後の呼気検査における除菌率

    Secondary — 有害事象とコンプライアンスの程度

 

*)迅速ウレアーゼ試験、組織学的、血液培養または血清検査のうち 2 つ以上の試験で陽性を示したか、尿素呼気テストで 13C 尿素値が陽性

⌘ 結論

従来の3剤療法に比べ、ビスマスを加えた4剤療法の方がピロリ菌の除菌率は高い。

 


⌘ 論文の批判的吟味

研究デザインは?ランダム化されているか?

▶️ランダム化比較試験。割り付けは封筒法(もちろん透けてないよね?)

 

ランダム割付が隠蔽化されているか?(selection bias は無いか?)

▶️隠蔽化されている

「the  sequence  was  concealed  in  an opaque envelope until the intervention was assigned.」との記載有り

 

マスキングされているか?(ブラインドか否か?)

▶️オープンラベルである。アウトカムからみてブラインドで行う有益性は低い

 

プライマリーアウトカムは真か?

▶️代用あるいは代理アウトカムであるが、除菌率を検討したいので読み進める(胃がん発生や死亡と比べると代理アウトカムの分類であるが、従来治療との比較という目的においては真であると判断した)

 

交絡因子は網羅的に検討されているか?

▶️大項目で 18 因子について検討されているため問題ないと考えられる:性別、年齢、喫煙、飲酒、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、CYP2C19 低代謝群 (PM)、BMI、体重、23S rRNA 変異(クラリスロマイシン耐性株で変異していることが多い)、GyrA 変異(ニューキノロン耐性株)、クラリスロマイシン耐性、メトロダゾール耐性、アモキシシリン耐性、レボフロキサシン耐性、テトラサイクリン耐性、Hピロリ陽性(血液検査、ウレアーゼ試験、組織診断、培養、尿素呼気試験)、胃体部の萎縮

 

Baseline は同等か?

▶️同等である

 

ITT 解析されているか?

▶️ITT 解析および per protocol 解析を実施

 

脱落はどのくらいか?

▶️Primary outcome において、どの群も追跡率は 80% を越えている

問題無し

 

サンプルサイズは充分か?

▶️計算されており問題無し(事前検討で 400 あれば良いとの計算なので多い)

「a statistical power of 80% (1–β) at an α level of 5% significance on a two-sided test」と記載有り

 

結果は?

Primary outcome:

▶️ビスマス 4 剤療法群の除菌率は 90.4%(488 例/540 例、95%信頼区間[CI]:87.6~92.6)で最も高かった。

▶️次いで併用療法群で 85.9%(464 例/540 例、同:82.7~88.6)。

▶️最後に、従来の 3 剤療法群は 83.7%(452 例/540 例、同:80.4~86.6)と一番低かった。

 

ビスマス 4 剤療法群の除菌率は、3 剤療法群に比べ有意に高率だった(群間差:6.7%、95%CI:2.7~10.7、p=0.001)。

 

一方、併用療法群との比較では有意な差は認められなかった。また、併用療法群と 3 剤療法群との比較でも有意差はなかった。

 

Secondary outcome:
有害事象発生率は、ビスマス4剤療法群が67%、併用療法群が58%、3剤療法群が47%だった。

⌘ 考察

以前の臨床試験では、日本を含むほとんどの国で抗生物質に対する感受性検査が行われておらず、結果の一般化はある地域に限定されていた。
本ランダム化比較試験では、抗生物質への耐性や CYP2C19 多型、さらに細菌毒性因子(CagA および VacA)等、ピロリ菌除菌に影響を及ぼす可能性のある因子を広範に評価していた。従って人種差も含め genetic な背景の影響は少ないと考えられる。特にピロリ菌の感染はアジア圏に多いことが知られているので、本結果は日本人にも充分に活用できると個人的には考えています。

但し、現在の日本の状況に当てはまるかは、もう少し考察が必要であると考えられます。特に薬剤の用量や投与期間は日本のレジメンと異なっています。また2次アウトカムではありますが、ビスマス追加により副作用の発生率が絶対差で20%増えてしまいます(vs. 従来の 3剤療法)。

ですので、次回は日本でのピロリ菌除菌(→準備中です)について紹介いたします。

 




 

Up-To-Date Evidence of DPP-4 inhibitors(Last UpDated: OCT 14th, 2017)

⌘ 背景・目的

経口血糖降下薬である DiPeptidyl Peptidase-4 inhibitors(DPP-4阻害薬)のオマリグリプチン(マリゼブ®️)の非劣性ランダム化比較試験の結果が発表された(2017年)。これまでに発表されているアログリプチン(ネシーナ®️)サキサグリプチン(オングリザ®️)、そしてシタグリプチン(グラクティブ®️、ジャヌビア®️)の結果も併せまとめておく。なお、プライマリーアウトカムが 3-point MACEを設定している試験のみを抽出。

⌘ 疑問

DPP-4阻害薬は 2型糖尿病患者における心血管アウトカムの発生を抑制できるか。

⌘ 結果

表1. DPP-4阻害薬のリスク・ベネフィット各論文より作成 — プライマリーアウトカムは 3-point MACEである心血管イベントのみ)

 

⌘ 各試験の文献一覧

▶️アログリプチン – EXAMINE

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=23992602

▶️サキサグリプチン – SAVOR-TIMI53

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=23992601

▶️シタグリプチン – TECOS

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26052984

▶️オマリグリプチン – 固有試験名無し

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=28893244

▶️EXAMINEのサブグループ解析 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25765696

 

⌘ コメント

倫理的観点から非劣性試験ばかりである。またプライマリーアウトカムである心血管イベントにおいて、プラセボ薬に対する非劣性は証明されたが優越性は示されていない。しかしメタ解析では心血管イベント発生に対する抑制効果が示唆されているものもある(→準備中です)。

血糖降下作用は、インスリンやスルホニル尿素系薬に比べマイルド。そのため単独使用では低血糖症状をほぼ引き起こさないようだ。

FDAやEMAから課せられた課題はクリアしている。しかし真のアウトカムへの効果は不明。あとは誰に使うのか、真の課題は薬剤使用の個別化であろう。




検査キットがインフルエンザを診断する?いいえ、医師が診断します(厚生労働省ホームページより)

⌘ 背景・疑問

インフルエンザの季節になると、患者さんは必ずと言っていいほど、「インフルエンザの検査をして欲しい」と言います。

なかには「検査してもらえなかったのに薬だけだされた」と、オセルタミビル(タミフル®︎)とアセトアミノフェン(カロナール®︎)が処方され『???』となっている方がいます。

インフルエンザの診断に検査キットは必須なのでしょうか?

 

 

⌘ 結論

本ブログのタイトルの通りです。診断は医師が行います。決して検査キットが決めるのではありません。

 

 

⌘ 根拠

理由は大きく分けて2つありますが今回は、そのうちの1つをご紹介します。

 

▶️厚生労働省のホームページ「政策について」の項にインフルエンザの記載があります。

これによると、医師及び獣医師はインフルエンザ患者と診断した場合、『法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない』とされています。

そして届出の基準として以下の記載があります。

 

▶️症状や所見からインフルエンザが疑われ、かつ、表.1のすべてを満たすか、表.1のすべてを満たさなくても表.2を満たすことにより、インフルエンザ患者と診断。

 

表.1:届出のために必要な臨床症状(4つすべてを満たすもの)

突然の発熱
高熱
上気道炎症状
全身倦怠感等の全身症状

 

表.2:届出のために必要な検査所見

検査方法: 迅速診断キットによる病原体の抗原の検出
検査材料:  鼻腔吸引液、鼻腔拭い液、咽頭拭い液

 

▶️つまり、検査キットは必須ではありません。また上記の4徴候が認められなくとも今後、症状が悪化しインフルエンザの兆候を示しそうな場合、医師はインフルエンザと診断します。

 

▶️いかがでしょうか。少なくとも検査キットが必須でないことは国が示しています。ただ私個人としては「〇〇が言っているから、そのようにしましょう」というのは、あまり好きではありません。もう一つの理由については、今後ブログで紹介していきます。

 

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情報リテラシーとは?(アメリカ図書館協会; 1989)

情報リテラシーの定義は、1989年にアメリカ図書館協会が発表した最終報告書に記載されています。以下原文を一部翻訳。

情報リテラシーとは?

個人が「情報を必要とするときに、必要な情報を効果的に探し出し、評価し、使用する能力」を身につけるための能力のセットである。

 

▶️情報リテラシーは、急速な技術変化と情報資源の爆発的発展を遂げている現代において、益々重要になっている。この環境がさらに複雑化するにつれて、個人は、学術研究、職場、個人生活において、多様で豊富な情報の選択に直面している。

 

▶️情報は図書館、地域社会のリソース、特別利益団体、メディア、インターネットを通じて入手可能であり、情報はフィルタリングされていない形式で個人に提供されているため、真正性、妥当性、信頼性について疑問を投げかけられている。さらに情報は、グラフィカル、聴覚、およびテキストを含む複数の媒体を通じて入手可能であり、個人がそれを評価し、理解する際に新たな課題をもたらす。

 

情報リテラシーを学ぶとどうなる?

▶️不確実な品質と情報量の増大は、社会にとって大きな課題となっている。情報を効果的に使用するために必要な補完的な能力がなければ、つまり膨大な量の情報の入手だけでは、より情報に価値を見出す市民は生まれにくい。 情報リテラシーは、生涯学習の基礎を形成する。すべての分野、すべての学習環境、あらゆるレベルの教育に共通している。学習者はコンテンツをマスターし、調査を拡張し、より自主的になり、自分の学習をより強力に制御することができる。情報リテラシーを身につけた個人は以下6つのことが可能である:

①必要な情報の程度を決定する

②必要な情報に効果的かつ効率的にアクセスする

③情報とそのソースを批判的に評価する

④選択した情報をナレッジベースに組み込む

⑤情報を効果的に使用して特定の目的を達成する

⑥情報の使用を取り巻く経済的、法的、社会的問題を理解し、倫理的かつ合法的に情報にアクセスし使用する

 


原文(英語)

以下、原文の一部

Information Literacy Defined

Information literacy is a set of abilities requiring individuals to “recognize when information is needed and have the ability to locate, evaluate, and use effectively the needed information.” 1 Information literacy also is increasingly important in the contemporary environment of rapid technological change and proliferating information resources. Because of the escalating complexity of this environment, individuals are faced with diverse, abundant information choices–in their academic studies, in the workplace, and in their personal lives. Information is available through libraries, community resources, special interest organizations, media, and the Internet–and increasingly, information comes to individuals in unfiltered formats, raising questions about its authenticity, validity, and reliability. In addition, information is available through multiple media, including graphical, aural, and textual, and these pose new challenges for individuals in evaluating and understanding it. The uncertain quality and expanding quantity of information pose large challenges for society. The sheer abundance of information will not in itself create a more informed citizenry without a complementary cluster of abilities necessary to use information effectively.

Information literacy forms the basis for lifelong learning. It is common to all disciplines, to all learning environments, and to all levels of education. It enables learners to master content and extend their investigations, become more self-directed, and assume greater control over their own learning. An information literate individual is able to:

  • Determine the extent of information needed
  • Access the needed information effectively and efficiently
  • Evaluate information and its sources critically
  • Incorporate selected information into one’s knowledge base
  • Use information effectively to accomplish a specific purpose
  • Understand the economic, legal, and social issues surrounding the use of information, and access and use information ethically and legally

参考文献

1) http://www.ala.org/acrl/publications/whitepapers/presidential   — Last access date is 20171201.



ピロリ菌検査の感度と特異度はどのくらいですか?(日本ヘリコバクター学会ガイドライン2015)

以前の記事の続きです。

ピロリ菌感染診断法における各検査の感度・特異度を以下の表にまとめました。

やはり尿素呼気検査の感度と特異度は高いですね。

表1. ピロリ菌感染診断法の感度・特異度

 診断法  感度(%)  特異度(%)
 迅速ウレアーゼ試験

除菌前 1)

除菌後 2)

 

85~95

61~100

 

95~100

91~100

 鏡検法

除菌前

     HE 染色 3,4)

      ギムザ染色 3)

 

 

92~99

88

 

 

89~100

98

 培養法 5)  68 ~ 98  100
 尿素呼気試験 6-9) 95~98  95~97
 抗体測定法

除菌前

     血清抗体 10,11)

     尿中抗体 10,11)

 

 

88~100

85~96

 

 

50~100

79~90

 便中抗原測定法

        除菌前 12)

   除菌後 13-15)

 

96~100

75~90

 

97~100

96~100

(日本ヘリコバクター学会ガイドライン2015から引用)

⌘ 参考文献

  1. Ricci C et al.Diagnosis of Helicobacter pylori: invasive and non-invasive tests. Best Pract Res Clin Gastroenterol. 2007; 21(2): 299-313. [PMID:17382278]
  2. Vaira D et al.How useful is the rapid urease test for evaluating the success of Helicobacter pylori eradication therapy? Nat Clin Pract Gastroenterol Hepatol. 2007 Nov; 4(11): 600-1. [PMID: 17925801]
  3. Laine L et al. Prospective comparison of H&E, Giemsa, and Genta stains for the diagnosis of Helicobacter pylori. Gastrointest Endosc. 1997 Jun; 45(6): 463-7. [PMID: 9199901]
  4. MacOni G et al. Is routine histological evaluation an accurate test for Helicobacter pylori infection? Aliment Pharmacol Ther. 1999 Mar; 13(3): 327-31. [PMID:10102966]
  5. Cutler AF. Diagnostic tests for Helicobacter pylori infection. Gastroenterologist. 1997 Sep; 5(3): 202-12. [PMID: 9298375]
  6. Gisbert JP et al. Review article: 13C-urea breath test in the diagnosis of Helicobacter pylori infection — a critical review. Aliment Pharmacol Ther. 2004 Nov 15; 20(10): 1001-17. [PMID: 15569102]
  7. Kato M et al.Clinical studies of 13C-urea breath test in Japan.  J Gastroenterol. 1998; 33 Suppl 10: 36-9. [PMID:9840015]
  8. Ohara S et al. Studies of 13C-urea breath test for diagnosis of Helicobacter pylori infection in Japan. J Gastroenterol. 1998 Feb; 33(1): 6-13. [PMID: 9497214]
  9. Ohara S et al. The UBiT-100 13CO2 infrared analyzer: comparison between infrared spectrometric analysis and mass spectrometric analysis. Helicobacter. 1998 Mar; 3(1): 49-53. [PMID: 9546118]
  10. Kato M et al. Clinical usefulness of urine-based enzyme-linked immunosorbent assay for detection of antibody to Helicobacter pylori: a collaborative study in nine medical institutions in Japan. Helicobacter 2000; 5: 109-119. [PMID: 10849061]
  11. Murakami K et al. An evaluation of the performance of a novel stick-type kit for rapid detection of Helicobacter pylori antibodies in urine. Clin Lab 2011; 57: 481-487. [PMID: 21888011]
  12. Sato M et al. Characterization and usefulness of stool antigen tests using a monoclonal antibody to Helicobacter pylori catalase. J Gastroenterol Hepatol 2012; 27 Suppl 3: 23-28. [PMID: 22486867]
  13. Chey WD. Proton pump inhibitors and the urea breath test: how long is long enough? Am J Gastroenterol 1997; 92: 720-721. [PMID:9128344]
  14. Shimoyama T et al. Applicability of a rapid stool 17 antigen test, using monoclonal antibody to catalase, for the management of Helicobacter pylori infection. J Gastroenterol 2011; 46: 487-491. [PMID: 21264478]
  15. Shimoyama T et al. Comparison of monoclonal antibody-based stool antigen tests to determine the results of Helicobacter pylori eradication therapy. Scand J Gastroenterol 2010; 45: 1431-1434. [PMID: 20695725]

 




 

ピロリ菌の検査方法にはどんなものがありますか?

ピロリ菌の検査方法には、内視鏡(昔でいうところの胃カメラ。厳密にいうと違う)を使用するものと、使用しないものがある。

 

⌘ 内視鏡を使用した検査方法(侵襲的)
①迅速ウレアーゼ試験
②鏡検法
③培養法

⌘ 内視鏡を使用しない検査方法(非侵襲的)
④抗体測定
⑤尿素呼気試験
⑥便中抗原測定

 

▶️個人的には④と⑤の使用頻度が高いと感じている。患者さんの負担が軽いからかな?と思ったら、尿素呼気検査については感度と特異度が共に 95% 以上あるようなので、これが根拠であると考えられる(→ピロリ菌検査の感度と特異度はどのくらいですか?)。保険の同時算定も可能なようです。

 

▶️各検査の大まかな費用は下記サイトが分かりやすいかも。筆者は薬局勤務なので詳細はわからない。

 

リンク先→ 血液検査でピロリ菌の有無を判定!

検査


▶️ちなみにですが胃カメラと内視鏡は別物です。

▶️内視鏡は、正確には「上部消化器内視鏡検査」と呼ばれ、経口あるいは経鼻で使用されます。現在では、ほぼ全てが内視鏡であると考えられます。なぜなら胃カメラはリアルタイム画像の取得が出来ないからです。

▶️検査中に自身の胃壁を見たことがある人は、間違いなく内視鏡検査です。ただ、胃カメラの方が伝わりやすく、呼びやすいため現在でも内視鏡のことを “胃カメラ” と呼称していると考えられます。気になる方は Wikipediaを参照。

 




 

ピロリ菌除菌後にすぐ検査すると偽陰性となるのはなぜですか?(H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2009-2016)

⌘ 背景

Helicobacter pyloriH. pylori)感染の診断と治療のガイドラインに以下の記載がある。またネット上では偽陰性を生じる薬剤として下記の薬剤が掲載されていた。情報が確からしいものか検証したい。

⌘ 目的

原著論文にあたることで「検査前後の薬剤投与中止 2 週間の根拠」を明らかにする

⌘ 方法

Pubmed での論文検索

“ピロリ菌除菌後にすぐ検査すると偽陰性となるのはなぜですか?(H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2009-2016)” の続きを読む

クオリア qualia とは?

クオリア qualia:
個々人が主観的に体験する”質(感じ)”のこと

 

以下、デジタル大辞泉より引用

クオリア(qualia)とは?

▶️感覚的・主観的な経験にもとづく独特の質感。「秋空の青くすがすがしい感じ」「フルート音色のような高く澄んだ感じ」など。感覚質

 

私のクオリアについての捉え方

▶️『科学でいうところの物質は同一であっても、感じ方は十人十色』というのが個人的な解釈。

 

▶️ポリファーマシー polypharmacy や Potentially Inappropriate Medications (PIMs) も、ある人にとっては問題であるが、ある人にとっては何の問題もない。

 

▶️例えば高血圧ガイドライン2014 でいうところの高血圧患者について、ある患者に対しては介入が必要と考える医療者もいれば、逆に不必要と考える者もいる。

 

▶️この差異は血圧という検査値だけでなく、個々の患者の予後を考えているか否かであろう。

 

▶️Qualia はときに言葉よりも大切なものであるが、コトバとは切り離せない。

 

▶️各々の “感じ方” を形にするために、他者へ伝えるための手段としてはコトバが必要であるからだ。

 

 

-Life is what you publish it-