高齢者におけるPPI長期使用は市中肺炎のリスク因子ですか?

Proton-Pump Inhibitors and Long-Term Risk of Community-Acquired Pneumonia in Older Adults.

Zirk-Sadowski J, et al.

J Am Geriatr Soc. 2018.

PMID: 29676433

背景

プロトンポンプ阻害薬(Proton-Pump Inhibitor:PPI)使用により市中肺炎のリスク増加が報告されている。本試験は高齢者におけるPPI使用が同様にリスクを増加させるか否か、後ろ向きに検討した。

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【メモ】電子カルテデータベース利用時のPERRって何ですか?

背景

一般人口データベースは観察研究において非常に有用である。しかしランダム化比較試験に比べ、交絡因子の影響を過度に受ける。これは同じ薬剤の効果を検討したランダム化比較試験と前向きコホート研究を対比すると分かりやすい。またコホート研究において、未知の交絡因子を調整することは困難である。

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ランダム化比較試験の基になったのはミルクティーの味?(The Design of Experiments. 1935)#80

Lady Tasting Tea

ランダム化比較試験って何ですか?

例えば薬剤効果とプラセボ効果をどのように区別したら良いだろうか?端的に言えば薬剤Xとプラセボを比較すれば良いのだが、いわゆるバイアスが生じやすい。

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心房細動と心不全の合併患者には抗凝固薬を使用した方が良いですか?(Heart Vessels 2018)

Thromboembolisms in atrial fibrillation and heart failure patients with a preserved ejection fraction (HFpEF) compared to those with a reduced ejection fraction (HFrEF).

Sobue Y et al.

Heart Vessels. 2018 Apr;33(4):403-412.

PMID: 29067492

研究の背景・目的

心不全(HF)は、保存された駆出率を有するHF(Heart Failure with preserved Ejection Fraction, HFpEF:EF≧50%)、mid-range駆出率を有するHF(HFmrEF:40≦EF <49%)、および減少した駆出率を有するHF(HFrEF:EF <40%)の3つに分けられる。

これらのタイプは、しばしば心房細動(AF)と共存する。本試験では、HFpEFを有するAF患者(AF-HFpEF)とHFrEF(AF-HFrEF:HFmrEFおよびHFrEF)患者を比較し、脳卒中/全身塞栓症(strokes/systemic embolisms:SSEs)の割合、および独立した予測因子について検討した。

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【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】ベースラインLDL-CレベルとLDL-C低下後の総死亡および心血管死亡との関連:系統的レビューおよびメタ分析(JAMA 2018)

Association Between Baseline LDL-C Level and Total and Cardiovascular Mortality After LDL-CLowering: A Systematic Review and Meta-analysis.

JAMA. 2018 Apr 17;319(15):1566-1579.

Navarese EP et al.

PMID: 29677301

研究の重要性

特定の致命的および非致死的なエンドポイントへの影響は、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)低下薬を用いた臨床試験では変化するようである。

研究の目的

ベースライン時のLDL-Cレベルが、総死亡および心血管死亡リスク低下と関連しているかどうかを評価する。

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大豆イソフラボンの摂取は早期閉経後女性の心血管リスクを減らせますか?(NMCD 2018)

Soy isoflavones improve cardiovascular disease risk markers in women during the early menopause

Sathyapalan T et al.

Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases 2018

DOI: https://doi.org/10.1016/j.numecd.2018.03.007

ISRCTN34051237.

試験背景

ホルモン補充療法は、閉経後の女性における心血管疾患リスク(CVR)に有益である可能性が過去の臨床試験で示唆されている。また大豆イソフラボンは、選択的エストロゲン受容体モジュレーターとして作用し得ることも示唆されている。そこで大豆イソフラボンがCVRマーカーに影響を及ぼすかどうか検討を行った。

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【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】プラバスタチンは脂質異常症の日本人患者における冠動脈疾患初発を予防できますか?(MEGA study; Lancet 2006)

Primary prevention of cardiovascular disease with pravastatin in Japan (MEGA study): a prospective randomised controlled trial.

Nakamura H et al.

Lancet. 2006; 368: 1155-63.

PMID: 17011942

私的背景

ひょんな事から再度、本文献を読む必要が出てきた。

日本人を対象としたプラバスタチンの効果を検証した貴重な試験である。さらに群間差を検出しづらい1次予防。アウトカムにはハードなものも含まれている。PROBE法とエンドポイントの組み合わせについて知るには非常に良い試験である。試験結果は如何なものか、再度、批判的吟味していきたい。

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リリカ®(プレガバリン)は脳卒中後の中枢性疼痛に効果がありますか?(Pain 2011)

Safety and efficacy of pregabalin in patients with central post-stroke pain.

Kim JS et al.

Pain. 2011 May;152(5):1018-23. doi: 10.1016/j.pain.2010.12.023.

PMID: 21316855

私的背景

脳卒中後に出現する “痛み” (脳卒中後の中枢性疼痛)で苦しんでいる方に時々お会いする。診療ガイドラインでは抗てんかん薬や三環系抗うつ薬が第一選択薬として推奨されているが、日本では適応がないためか、(私の周りで)実際に処方されているのは見たことがない。
そんなときに良く処方されるのが牛車腎気丸などの漢方薬、そして今回取り上げるリリカ®(プレガバリン)である。診療ガイドラインでは効果がないとの記載があるが、どの程度なのか検証してみた。

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ベタニス®(ミラベグロン)服用による心疾患への影響はどのくらいですか?(Int J Clin Pract. 2013: Free)

Mirabegron for the treatment of overactive bladder: a prespecified pooled efficacy analysis and pooled safety analysis of three randomised, double-blind, placebo-controlled, phase III studies.

Nitti VW et al.

Int J Clin Pract. 2013 Jul;67(7):619-32.

PMID: 23692526

利益相反の開示

→多いという印象。本文の disclosures 参照。

私的背景

前立腺癌および前立腺肥大症を合併する 85歳男性。カソデックス®(ビカルタミド)とハルナール®(タムスロシン)を服用中。最近、尿漏れ症状があるため家族の希望により薬剤追加。ベタニス®(ミラベグロン)が新規処方された。

 本患者は心房細動および心不全も合併していたため、下記の禁忌項目にある重篤な心疾患についてどの程度の有害事象が報告されているのか論文検索を行い検討した。Pubmed 検索にて上記の論文がみつかったため読んでみた。

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【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】高コレステロール血症および糖尿病性網膜症を有すハイリスク日本人ではコレステロールを下げた方が良いですか?(EMPATHY trial; Diabetes Care 2018)

Intensive Treat-to-Target Statin Therapy in High-Risk Japanese Patients With Hypercholesterolemia and Diabetic Retinopathy: Report of a Randomized Study

Itoh et al. (EMPATHY Investigators)

Diabetes Care 2018 Apr; dc172224.

PMID: 29626074

目的

糖尿病は心臓血管(CV)イベントの高リスクと関連している。特に脂質異常症および糖尿病性合併症を有する患者において顕著である。高コレステロール血症および糖尿病性網膜症を有し、かつ冠状動脈疾患の既往のない患者で、脂質低下療法における厳格治療と従来治療の比較(treat-to-target strategy)、および CVイベント発生率を検討した。

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