ブラジルの軽症急性の外傷性四肢損傷患者における疼痛治療においてロキソニン®️の外用剤と経口薬はどちらが優れていますか?(非劣性; DB-RCT; Pain. 2019)

Efficacy and safety of loxoprofen sodium topical patch for the treatment of pain in patients with minor acute traumatic limb injuries in Brazil: a randomized, double-blind, noninferiority trial.

Fujiki EN et al.

Pain. 2019 Jul;160(7):1606-1613.

doi: 10.1097/j.pain.0000000000001549.

PMID: 30839430

【背景・目的】

心的外傷後の痛みは一般的に経口非ステロイド性抗炎症薬で治療される。しかしながら、経口非ステロイド性抗炎症薬はいくつかの有害事象を引き起こし、局所製剤が重要な代替物として生じる。したがって、本研究では心的外傷後疼痛患者の治療におけるロキソプロフェンパッチ(loxoprofen patch, LX-P)の有効性と安全性を評価することを目的とした。

“ブラジルの軽症急性の外傷性四肢損傷患者における疼痛治療においてロキソニン®️の外用剤と経口薬はどちらが優れていますか?(非劣性; DB-RCT; Pain. 2019)” の続きを読む

多嚢胞性卵巣症候群における不妊に対してクロミッド®️やMetformin XRは効果がありますか?(RCT, NEJM 2007)

Clomiphene, metformin, or both for infertility in the polycystic ovary syndrome.

Randomized controlled trial

Legro RS, et al.
N Engl J Med. 2007.

ClinicalTrials.gov number, NCT00068861 o

PMID: 17287476

【背景】

多嚢胞性卵巣症候群は不妊の一般的な原因である。クロミフェンとインスリン増感剤は排卵を誘発するために単独でまたは組み合わせて使用されているが、一つのアプローチが優れているかどうかは不明である。

【方法】

多発性嚢胞性卵巣症候群626人の不妊女性に、①クロミフェンクエン酸塩(50 mg)とプラセボ、②徐放性メトホルミン(500 mg)とプラセボ、または③メトホルミンとクロミフェンの併用療法を最大6ヶ月間投与するようにランダムに割り付けた。

妊娠が確認されたときに投薬を中止し、対象は分娩まで追跡した。

【結果】

・追跡期間中の妊娠は、クロミフェン群では22.5%(209人中47人)、メトホルミン群では7.2%(208人中15人)、併用療法群では26.8%(209人中56人)であった。

P < メトホルミンとクロミフェンおよび併用療法の両方で0.001

クロミフェンと併用療法の両方でP = 0.31

・妊娠中、多胎率はクロミフェン群で6.0%、メトホルミン群で0%、そして併用療法群で3.1%であった。

・妊娠初期の妊娠喪失率は、グループ間で有意差はなかった。

・しかしながら、排卵した被験者の受胎率は、クロミフェン群(39.5%, P = 0.002)または併用療法群(46.0%, P <0.001)のいずれよりもメトホルミン群(21.7%)の方が有意に低かった。

・妊娠合併症を除いて、メトホルミン群のほうがクロミフェン群よりも胃腸の副作用がより頻繁に見られ、血管運動および排卵の症状がより頻繁に見られなかったが、有害事象の発生率はすべての群で類似していた。

【結論】

多嚢胞性卵巣症候群の不妊女性でクロミフェンはメトホルミンよりも出生時に優れているが、多胎出産は併用群で優れている。


【コメント】

アブストのみ。

産婦人科や生殖器医療関連の病院の処方箋にクロミフェンとメトホルミンが記載されていることがある。気になり論文検索を行ったところ、本論文を見つけられたため読んでみた。

インスリン抵抗性は不妊を招くことが過去に報告されており、またインスリン抵抗性改善を促すメトホルミンの有用性が示唆されている。

さて、本試験の結果から単剤よりは併用が良さそう。ちなみに試験に用いられたのはメトホルミン徐放錠500 mgであり、1日1回投与。それに対して日本で用いられているのは即崩錠という点は念頭におきたい。

これらの剤型の差は、単純に服薬回数や作用時間だけでなく、小腸下部への薬剤の到達濃度にあらわれてくる。しかし、その差がどのくらい不妊治療に影響するかは不明。

続報を待ちたい。

ラシックス®️とルプラック®️ ループ利尿薬の併用は有効ですか?(単施設コホート研究; Int Heart J. 2018)

Can Torsemide and Combination of Loop Diuretics Improve Mortality in Patients with Chronic Heart Failure After Discharge?

Yao Y, et al.
Int Heart J. 2018.
PMID: 29877310

【研究の目的】

本研究の目的は慢性心不全(HF)患者における現代診療におけるトルセミドとループ利尿薬(フロセミド+トルセミド)の組み合わせによる死亡率への影響を調査することだった。

【方法】

本研究ではFuwaiの心不全センターに入院していたHF患者を調査した。

対象は2009年から2013年に退院する際、フロセミド、トルセミド、または両薬剤を使用していた患者。

利尿薬戦略のランダムでない選択を説明するために逆確率重み付け(inverse probability weighting, IPW)を使用して、異なる利尿薬治療と死亡率との関連性を評価した。

【結果】

・956例のうち、フロセミド群は19.7%(n = 188)、トルセミド群は36.6%(n = 350)、併用群は43.7%(n = 418)だった。

・トルセミド治療および併用治療を受けた患者では、心機能が悪化し、フロセミド相当量が高かった。

・単変量コックス比例ハザードモデルでは、併用群において、より転帰の悪化が示唆された。

総死亡のHR = 2.044, 95%CI 1.206〜3.465, P = 0.008

心血管死亡のHR = 1.988, 95%CI 1.171〜3.374, P = 0.011

・一方、トルセミド群では、転帰との関連性がフロセミドと同様であった。

総死亡のHR = 1.640, P = 0.078

心血管死亡のHR = 1.509, P = 0.147

・IPW後、トルセミドはフロセミドと比較して名目上低い死亡率と関連し(総死亡のHR = 0.738, P = 0.222; 心血管死亡のHR = 0.667, P = 0.110)、併用療法と死亡率の増加との関連はもはや統計的に有意ではなかった。

・またトルセミドおよび併用治療がフロセミドと比較した場合に同様の結果をもたらすことを見出した。

総死亡のHR = 1.207, P = 0.470

心血管死亡のHR = 1.174, P = 0.540

【結論】

異なる利尿薬治療を用いて死亡率に対する影響を検討したランダム化臨床試験(RCT)はない。したがってランダム化の前向き試験は慢性HFにおける異なる利尿薬戦略の影響を調査するために必要である。


【コメント】

アブストのみ。

ループ系利尿薬の併用をよく目にする。根拠としてのデータがあるのか気になり検索し本論文を見つけた。

さて、単施設コホート研究の結果から、ループ系利尿薬を併用している群で死亡リスクの増加が示唆された。しかし、フロセミド換算量増加との相関性から、そもそも全身状態の悪い、あるいはループ抵抗性など治療効果の乏しい患者が多かった可能性は充分に考えられる。
なぜループ系利尿薬同士を併用するのか、については疑問が残ったままだが、本試験結果のみで、ループ系利尿薬併用の是非までは問えない。

続報を待ちたい。

PCI後のDAPT継続は1ヶ月と12ヶ月どちらが良さそうですか?(RCT; STOPDAPT-2; JAMA 2019)

Effect of 1-Month Dual Antiplatelet Therapy Followed by Clopidogrel vs 12-Month DualAntiplatelet Therapy on Cardiovascular and Bleeding Events in Patients Receiving PCI: The STOPDAPT-2 Randomized Clinical Trial.

Watanabe H et al.

JAMA. 2019 Jun 25;321(24):2414-2427.

doi: 10.1001/jama.2019.8145.

PMID: is

【試験の重要性】

薬物溶出ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention, PCI)後の非常に短い必須の二重抗血小板療法(dual antiplatelet therapy, DAPT)は魅力的な選択肢であり得る。

スコットランド2型糖尿病における死亡原因は心血管疾患ではなく癌?(スコットランド人口ベースのコホート研究; J Diabetes Investig 2019)

Cancer has overtaken cardiovascular disease as the commonest cause of death in Scottish type 2 diabetes: a population based study (The Ayrshire Diabetes fOllow-up Cohort study).

Collier A, et al.
J Diabetes Investig. 2019.
PMID: 31267699

【背景】

糖尿病に関連した死亡リスクの増加は十分に確立されている。

本研究の目的は、2009年から2014年の間にスコットランドのエアーシャーとアランで2型糖尿病を患っている人々の死因を特定し、全国死亡率と比較することだった。

“スコットランド2型糖尿病における死亡原因は心血管疾患ではなく癌?(スコットランド人口ベースのコホート研究; J Diabetes Investig 2019)” の続きを読む

進行性乳がんにおけるテセントリク®️+アブラキサン®️の効果はどのくらいですか?(RCT; IMpassion130; NEJM 2018)

Atezolizumab and Nab-Paclitaxel in Advanced Triple-Negative Breast Cancer.

Randomized controlled trial

Schmid P, et al.
N Engl J Med. 2018.
PMID: 30345906

Funding: F. Hoffmann-La Roche/Genentech

ClinicalTrials.gov number, NCT02425891

【背景】

切除不能な局所進行性または転移性のトリプルネガティブ(ホルモン受容体ネガティブおよびヒト上皮成長因子受容体2 [HER2]ネガティブ)乳がんは、転帰不良の攻撃的な疾患である。

ナノ粒子アルブミン結合(Nanoparticle albumin-bound, nab) – パクリタキセルはアテゾリズマブの抗癌活性を増強するかもしれない。

“進行性乳がんにおけるテセントリク®️+アブラキサン®️の効果はどのくらいですか?(RCT; IMpassion130; NEJM 2018)” の続きを読む

HER2陽性乳がん患者におけるハーセプチン®️誘発心毒性はアーチスト®️やロンゲス®️で予防できますか?(RCT; JACC 2019)

Randomized Trial of Lisinopril Versus Carvedilol to Prevent Trastuzumab Cardiotoxicity in Patients With Breast Cancer.

Guglin M, et al.
J Am Coll Cardiol. 2019.
PMID: 31171092

NCT01009918

【背景】

トラスツズマブはヒト上皮成長因子受容体2型(HER2)陽性乳がんに非常に有効であるが、左室駆出率の低下と関連している。

“HER2陽性乳がん患者におけるハーセプチン®️誘発心毒性はアーチスト®️やロンゲス®️で予防できますか?(RCT; JACC 2019)” の続きを読む

【批判的吟味】心不全増悪による入院患者でのサムスカ®️の効果はどのくらいですか?(非劣性・優越性; DB-RCT; EVEREST; JAMA 2007)

Effects of oral tolvaptan in patients hospitalized for worsening heart failure: the EVEREST Outcome Trial.

JAMA. 2007 Mar 28;297(12):1319-31. Epub 2007 Mar 25.

Konstam MA et al.

PMID: 17384437

【試験の背景】

バソプレシンは心不全における体液貯留を仲介する。バソプレシンV2受容体遮断薬であるトルバプタン(サムスカ®️)は心不全の管理に有望である。

“【批判的吟味】心不全増悪による入院患者でのサムスカ®️の効果はどのくらいですか?(非劣性・優越性; DB-RCT; EVEREST; JAMA 2007)” の続きを読む

バイアスピリン®️使用による心血管イベントの一次予防効果はどのくらいですか?(RCTのメタ解析; JACC 2019)

Aspirin for Primary Prevention of Cardiovascular Events.

Abdelaziz HK et al.

J Am Coll Cardiol. 2019 Jun 18;73(23):2915-2929.

doi: 10.1016/j.jacc.2019.03.501.

PMID: 31196447

【試験背景】

心血管疾患(Cardiovascular disease, CVD)の一次予防に対するアスピリンの有効性と安全性は議論の余地がある。

【試験の目的】

本研究の目的は、45,000人を超える個人を追加した最近の大規模試験の発表後に、CVDの一次予防に対するアスピリンの臨床転帰を検討することだった。

“バイアスピリン®️使用による心血管イベントの一次予防効果はどのくらいですか?(RCTのメタ解析; JACC 2019)” の続きを読む

長時間労働は脳卒中リスク?(フランス人口ベースのコホート研究; CONSTANCES cohort; Stroke 2019)

Association Between Reported Long Working Hours and History of Stroke in the CONSTANCES Cohort.

Fadel M, et al.

Stroke. 2019.

PMID: 31216962

【背景と目的】

長時間労働(Long Working Hours, LWHs)は脳卒中の潜在的な危険因子である。本研究の目的は、大規模な一般集団コホートにおいてこの関連を調査することだった。

【方法】

フランスの人口ベースコホートCONSTANCES(年齢、性別、喫煙、および勤務時間に関する情報をベースラインの自己管理型アンケートから検索するために使用)。

他の心血管系危険因子および以前の脳卒中の発生は、平行した医学的インタビューから得られた。

LWHは、少なくとも年間50日間に、1日10時間以上の労働時間 と定義した。

主にアルバイトをしている参加者は、LWH曝露前に脳卒中を患っている参加者と同様に除外された。

ロジスティックモデルを使用して、LWHと脳卒中の関連性を年齢、性別、職業別に層別化して推定した。

追加のモデル化では、最初に報告された作業曝露から5年以内に脳卒中が発生した被験者を除外した。

【結果】

・分析に参加した143,592人のうち、1,224人(0.9%)で脳卒中が報告され、42,542人(29.6%)がLWHを報告した。LWHのうち10年間以上だったのは14,481人(10.1%)。

・LWHは脳卒中のリスク増加と関連していた。

調整後オッズ比 =1.29(95%CI 1.11〜1.49

・LWHに10年以上さらされたことは脳卒中とより強く関連していた。

調整オッズ比 =1.45(95%CI 1.21〜1.74

・上記の関連性において性差は認められなかったが、50歳未満のホワイトカラー労働者において関連性がより強く認められた。

【結論】

本大規模な分析結果は、脳卒中と10年間以上にわたるLWHへの曝露との間の有意な関連性を明らかにしている。

本知見は個人と世界の予防に関連している。


【コメント】

アブストのみ

誘導期間として5年を設定している点が試験デザインとして優れているなと感じました。

本研究の長時間労働の定義は、1日10時間以上の労働を年間50日以上行うこととしていました。

言い換えると、1日2時間以上の残業を年間50回行うこと、つまり1日2時間以上の残業を、月に4回超コンスタントに行うということです。ただ医師の場合、優に超えている数字かなとも思います(本当にお疲れ様です)。

さて、結果としては長時間労働と脳卒中リスクとの間に有意な関連性が認められてました。しかし効果推定値をみるとリスクとしてはそこまで高くないな、という印象です。

もちろんリスク増加は少ないとしても、国民の数が多ければ、それだけ集団全体としての該当者が増えることになります。従って少しでもリスクを下げた場合の益は見込めます。

だらだら書いてきましたが言いたいことは一つです。

皆さん、仕事はほどほどにして休みましょう。