DPP4阻害薬は水疱性類天疱瘡リスクと関連がありますか?(後向きコホート研究; J Diabetes Investig. 2018)

Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors-associated bullous pemphigoid: a retrospective study of 168pemphigoid and 9,304 diabetes mellitus cases.

Kawaguchi Y et al.

Diabetes Investig. 2018
Jun 19. doi: 10.1111/jdi.12877. [Epub ahead of print]
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/jdi.12877
PMID: 29920976

【目的/はじめに】

水疱性類天疱瘡(BP)は薬によって誘発されるかもしれない。本研究は類天疱瘡とジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害薬の関係を評価した。

【材料と方法】

2009年12月1日から2017年12月31日まで大垣市立病院において類天疱瘡と診断された患者を組み入れた。DPP4阻害薬による治療を受けたか否かに基づいて、患者を2つのグループに分けた。さらに、我々は研究期間中に当院でDPP4阻害薬を最初に処方された患者における類天疱瘡の発生率を検討した。

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メトグルコ®️による乳酸アシドーシスのリスクはどのくらいですか?(デンマークの症例対照研究; PLoS One. 2018)

Risk of lactic acidosis in type 2 diabetes patients using metformin: A case control study.

Aharaz A, et al.

PLoS One. 2018.

PMID: 29738540

【背景】

メトホルミンは2型糖尿病の第一選択治療に位置している。危険ではあるがまれな副作用として、乳酸アシドーシスがあると推定されている。

【試験の目的】

2型糖尿病患者における乳酸アシドーシスの発生率を推定すること、ならびにメトホルミン治療に関連する乳酸アシドーシスの相対リスクを推定すること。

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朝食を食べないと心血管疾患のリスクが増える?(前向きコホート研究; JACC 2019)

Association of Skipping Breakfast With Cardiovascular and All-Cause Mortality

Rong S et al.

Journal of the American College of Cardiology

PMID: 31023424

【背景】

朝食をとばすことはアメリカ成人の間で一般的である。限られたエビデンスは、朝食をとばすことがアテローム性動脈硬化症と心血管疾患に関連していることを示唆している。

【目的】

本試験では、朝食をスキップすることと心血管系死亡率および全死亡率との関連について検討した。

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なぜARBディオバン®️とACE阻害薬カプトプリルを併用しないのか?(RCT; VALIANT trial; N Engl J Med. 2003)

Valsartan, captopril, or both in myocardial infarction complicated by heart failure, left ventricular dysfunction, or both.

Randomized controlled trial

Pfeffer MA, et al.
N Engl J Med. 2003.
PMID: 14610160

【背景】

カプトプリルなどのアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤は、左室収縮機能障害、心不全、またはその両方を合併した心筋梗塞患者の死亡率と心血管疾患の罹患率を低下させる。

二重盲検試験において、アンジオテンシン受容体拮抗薬バルサルタン(ディオバン®️)、ACE阻害薬カプトプリル(カポテック®️錠:販売中止品、2019年現在は後発医薬品のみ販売)、およびこの2つの組み合わせの患者集団の死亡率に対する影響を比較した。

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進行性の収縮期心不全におけるメトグルコ®️の効果はどのくらいですか?(単施設前向きコホート研究; J Card Fail. 2010)

Metformin therapy and outcomes in patients with advanced systolic heart failure and diabetes.

Shah DD, et al.

J Card Fail. 2010.

PMID: 20206893

【背景】

心不全(HF)患者の25〜44%が糖尿病(DM)を患っているが、DM患者の最適な治療法は(少なくとも2010年より前では)不明である。

本研究では、DMを有する進行期の収縮期HF患者におけるメトホルミン療法とアウトカムとの関連を検討した。

【方法と結果】

1994年から2008年の間に、DMおよび進行性の収縮期HF(n = 401)の患者を単一の大学HFセンターで追跡調査した。

コホートをメトホルミン療法の有無に基づいて2つのグループに分けた。コホートの平均年齢は56±11歳、左室駆出率(LVEF)は24±7%であり、42%がNew York Heart Association(NYHA)IIIおよび45%がNYHA IVであった。

コホートのうち25%(n = 99)はメトホルミン療法で治療された。メトホルミン群と対照群では、年齢、性別、ベースラインLVEF、病歴、およびベースラインHbA1cが同様であった。

メトホルミン治療群では、治療しなかった群と比べ、BMIがより高く、クレアチニンは低く、そしてインスリン使用頻度がより少なかった。

メトホルミン治療群と非メトホルミン治療群の1年生存率は、それぞれ91%と76%だった(RR =0.37、CI 0.18〜0.76、P = 0.007)。

人口統計学、心機能、腎機能、およびHF投薬のための多変量調整後、メトホルミン療法は生存率改善のための有意でない傾向と関連していた。

【結論】

DMおよび進行期の収縮期HFを注意深くモニターしている患者では、メトホルミン療法は安全であるように思われる。

メトホルミンが心不全アウトカムを改善できるかどうかを決定するために前向き研究が必要である。


【コメント】

アブストのみ。

乳酸アシドーシスが懸念されるメトホルミン。

そのためか生理学・薬理学的に乳酸が増加する状態(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等心血管系、肺機能に高度の障害のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態、脱水、重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者など)でのメトホルミン使用は禁忌とされている。

しかし実際の現場では、心不全や心筋梗塞の既往あるいは現病歴がある患者へも、血糖コントロールによる2次予防効果を期待して投与されることが往々にしてある。

さて、本試験において単施設の小規模な研究ではあるが、心不全増悪リスクはなさそうである(リスク低下もリスク増加もなさそう)。

おそらくではあるが、適応上の禁忌の設定背景として急性増悪期を想定していると考えられる。またメトグルコ®️承認前に、ブホルミンやフェンホルミンによる乳酸アシドーシスのリスク増加、これに伴う死亡リスク増加が報告されていたため、注意喚起として記載せざるを得なかったのではなかろうか(完全に推測ですが)。

続報に期待。

腎障害を有する2型糖尿病患者におけるカナグル®️の効果はどのくらいですか?(DB-RCT, CREDENCE; NEJM 2019)

Canagliflozin and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes and Nephropathy

April 14, 2019
DOI: 10.1056/NEJMoa1811744

N Eng J Med. 2019.

PMID: 30990260

Funded by Janssen Research and Development

ClinicalTrials.gov number, NCT02065791

【背景】

2型糖尿病は、世界中で腎不全の主な原因である。しかし有効な長期治療法はほとんどありません。ナトリウム – グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤を用いた心血管試験において探索的な結果では、SGLT2阻害薬使用により2型糖尿病患者の腎アウトカム改善の可能性が示唆された。

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禁煙率においてニコチン補充療法と禁煙コントロール療法どちらが優れていますか?(SR&MA; Cochrane Database Syst Rev. 2018)

Nicotine replacement therapy versus control for smoking cessation.

Hartmann-Boyce J, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2018.

PMID: 29852054

【背景】

ニコチン補充療法(NRT)は、たばこから摂取していたニコチンの大部分を、一時的に代替的に補充して、喫煙への動機づけおよびニコチン離脱症状を軽減し得る。したがって、たばこを介した喫煙から完全な禁煙への移行を容易にすることを目的としている。

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糖尿病・非糖尿病におけるHbA1cコントロールはどのくらいが良いか?(中国人口ベース前向きコホート研究; J Clin Endocrinol Metab. 2019)

Glycated Hemoglobin and All-cause and Cause-specific Mortality Among Adults With and Without Diabetes.

Li FR, et al.
J Clin Endocrinol Metab. 2019.
PMID: 30896760

背景

糖化ヘモグロビン(HbA1c)と死亡率の間の関連のパターンはまだ不明である。

【目的】

糖尿病の有無にかかわらず、どの範囲のHbA1cレベルが死亡リスクにどの程度関連しているかを調査すること。

試験デザイン・設定・試験参加者

本試験は全国規模かつ地域密着型の前向きコホート研究である。

The Health and Retirement Studyの参加者のうち利用可能なHbA1cデータを有し、かつ癌の既往歴がない15,869人(年齢中央値64歳)を組み入れた。

コックス比例ハザード回帰モデルを用いて、死亡率について95%信頼区間(95%CI)てハザード比(HR)を推定した。

【結果】

追跡期間5.8年(中央値)で合計2,133人の参加者が死亡した。糖尿病を患っている参加者では、HbA1cレベル6.5%の集団で全死亡リスクが最も低かった。

HbA1cレベルが5.6%より低いかまたは7.4%より高い場合、6.5%に比べて全死亡リスク増加が統計的に有意になった。

糖尿病に罹患していない試験参加者に関しては、HbA1cレベルが5.4%の参加者が全死亡リスクが最も低かった。 HbA1cレベルが5.0%より低いとき、HbA1cレベル5.4%と比較して、全死亡リスクは統計的に有意に増加した。しかしながら、本研究においてはHbA1cレベル5.4%を超えても全死亡リスクの統計的に有意な上昇は観察しなかった。

【結論】

全死亡率についてのU字型および逆J字型の関連が、糖尿病の有無にかかわらず試験参加者にみられた。

全生存期間の対応する最適範囲は、それぞれ5.6〜7.4%および5.0〜6.5%であると予測される。


【コメント】

アブストのみ。

効果推定値の違いはあるが、おおむね過去の報告と矛盾しない。

下げ過ぎても高過ぎても死亡リスク増加。治療目標は個々の患者に合わせて(生活背景も含めて)、柔軟に設定して良いのではなかろうか。

さて、健常者についてはHbA1c 5.0%より下がると死亡リスク増加が認められ、5.4%以上では特にリスクは認められなかったとのこと。少なくとも糖尿病発症後5年間ぐらいでは心血管イベントの増加はなさそう。これも過去の報告と矛盾しない。

糖尿病は、合併症や年齢だけでなく、罹患期間も重要(どの疾患にも言えそう)。

安定狭心症にPCIは不要?(RCT, FAME2, N Engl J Med. 2018)

Five-Year Outcomes with PCI Guided by Fractional Flow Reserve.

Xaplanteris P et al.

N Engl J Med. 2018 Jul 19;379(3):250-259.

doi: 10.1056/NEJMoa1803538. Epub 2018 May 22.

PMID: 29785878

ClinicalTrials.gov number: NCT01132495

Funded by St. Jude Medical and others

【研究の背景】

安定冠動脈疾患患者における初期治療としての医学療法よりもフラクショナルフローリザーブ(FFR)ガイド下経皮冠動脈インターベンション(PCI)が優れていると仮定した。

【方法】

血管造影で有意な狭窄を有する患者1,220人のうち、血行動態的に少なくとも狭窄が1つ有意であった患者(FFR ≦0.80)を、FFR誘導PCI+医学療法または医学療法単独にランダムに割り当てた。

全狭窄のFFRが0.80を超えていた患者は医学療法を受けた後に試験登録を受けた。

主要評価項目は、死亡、心筋梗塞、または緊急血行再建術の複合だった。

【結果】

合計888人の患者がランダム化を受けた(PCI群447人および内科療法群441人)。

試験開始後5年時点で、主要評価項目の割合はPCI群の方が薬物療法群よりも低かった(13.9% vs. 27.0%)。

ハザード比 =0.46, 95%信頼区間[CI] 0.34〜0.63, P <0.001)。

その差は緊急の血行再建術によるものであり、PCI群では6.3%、内科的治療群では21.1%だった。

ハザード比 =0.27, 95%CI 0.18〜0.41

死亡率(5.1% vs. 5.2%, ハザード比 =0.98, 95%CI 0.55〜1.75)または心筋梗塞(8.1% vs. 12.0%, HR =0.66, 95% CI 0.43〜1.00)については、PCI群と医学療法群との間に有意差はなかった。

PCI群と登録集団との間で主要評価項目の割合に有意差は認められなかった(それぞれ13.9% vs. 15.7%)。

HR =0.88, 95%CI 0.55〜1.39

狭心症からの緩和は、薬物療法後よりもPCI後の方がより顕著だった。

【結論】

安定した冠状動脈疾患の患者では、治療開始5年後における最初のFFRガイド下のPCI戦略は、医学的治療単独よりも主要複合アウトカム(死亡率、心筋梗塞、または緊急血管再建術)は有意に低かった。

血行動態的に有意な狭窄のない患者では、医学療法単独で好ましい長期転帰を示した。

【コメント】

アブストのみ。

複合アウトカムかつオープンラベルで実施。ほぼソフトエンドポイントだけに差が認められているため試験デザインとして問題があると考えられます。

さて、プライマリーアウトカムの内訳としては死亡リスクには群間差がなく、心筋梗塞リスクはやや低下傾向、緊急血行再建術リスクは有意に低かった。

本試験のみで安定狭心症にPCIが不要とまでは言えないと考えられます。

続報を待ちたい。

なぜ冠動脈虚血のカットオフ値はFFR <0.75なのか?(N Engl J Med. 1996)

Measurement of fractional flow reserve to assess the functional severity of coronary-artery stenoses.

Pijls NH et al.

N Engl J Med. 1996 Jun 27;334(26):1703-8.

PMID: 8637515

【指摘背景】

冠動脈虚血に対し経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Coronary Intervention, PCI)の適応となる要因の一つにFFR <0.75という基準がある。

FFR(fractional flow reserve)とは、日本語でいう冠血流予備量比のことで、冠動脈狭窄病変の重症度を測る指標である。

算出方法は、冠動脈狭窄病変の近位部 (Pa) と遠位部 (Pd) の冠動脈内の圧を測定し、以下の式を用いる。
  FFR = Pd ÷ Pa

さて冒頭のFFR <0.75とは、通常の血管であった場合に得られる最大血流量の75%未満であることを意味している。なぜ75%をカットオフに設定しているのか?その根拠となった論文を紹介したい。

“なぜ冠動脈虚血のカットオフ値はFFR <0.75なのか?(N Engl J Med. 1996)” の続きを読む