低ナトリウム塩代替により高血圧症、脳卒中、死亡率は低下しますか?(Heart. 2019)

Effect of low-sodium salt substitutes on blood pressure, detected hypertension, stroke and mortality.

Hernandez AV et al.

Heart. 2019

Jan 19. pii: heartjnl-2018-314036.

doi: 10.1136/heartjnl-2018-314036.

PMID: 30661034

試験の目的

系統的レビューおよびメタアナリシスを実施して、心血管系(CV)疾患を軽減するための潜在的な介入としての低ナトリウム塩代用品(LSSS)の有効性を評価した。

方法

5つの検索エンジンとClinicalTrials.govを運用開始から2018年5月まで検索した。

LSSSを受けている群における高血圧、収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、全死亡率、脳卒中および他のCV危険因子を、通常の塩を摂取している群と比較した成人高血圧または一般集団を登録したランダム化比較試験(RCT)が含められた。

効果はリスク比または平均差(MD)およびそれらの95%CIとして表された。エビデンスの質の評価はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)の方法論に従った。

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孤立性収縮期高血圧症を有す高齢者におけるブロプレス®️の効果はどのくらいですか?(SCOPE trial サブ解析; J Am Coll Cardiol. 2004.)

Stroke prevention with the angiotensin II type 1-receptor blocker candesartan in elderly patients with isolated systolic hypertension: the Study on Cognition and Prognosis in the Elderly (SCOPE).

Randomized controlled trial

Papademetriou V, et al.
J Am Coll Cardiol. 2004.
PMID: 15364316

研究の目的

本研究の目的は、アンジオテンシンII 1型受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタンが、孤立性収縮期高血圧症(isolated systolic hypertension, ISH)の高齢患者における脳卒中のリスクを軽減できるという仮説を検証することであった。

背景

孤立性収縮期高血圧症は高齢者の高血圧症の主な形態であり、さらに脳卒中は最も一般的な心血管系(CV)合併症です。

方法

高齢者の認知と予後に関する研究(the Study on Cognition and Prognosis in the Elderly, SCOPE)では、血液をコントロールするために必要に応じてオープンラベル降圧療法(主にチアジド系利尿薬)を加えた70〜89歳の4,964人の患者をランダムにカンデサルタンまたはプラセボに割り当てた。基本的には二重盲検で実施した。

4,964人の患者のうち、1,518人がISH(収縮期血圧> 160 mm Hgおよび拡張期血圧<90 mm Hg)を示した。

本研究は、ISH患者におけるサブグループ分析である。

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高血圧患者が金銭的インセンティブを受けるとチアジド系利尿薬の処方が増えますか?(JAMA Netw Open. 2018)

Efficacy of Patient Activation Interventions With or Without Financial Incentives to Promote Prescribing of Thiazides and Hypertension Control: A Randomized Clinical Trial.

Kaboli PJ et al.

JAMA Netw Open. 2018

Dec 7;1(8):e185017. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2018.5017.

研究の重要性

根拠に基づくガイドラインでは、合併症のない高血圧症に対する第一選択療法としてチアジド系利尿薬を推奨している。しかし、チアジドは十分に使用されておらず、高血圧は依然として不十分に管理されている。

研究の目的

チアジド処方を促進するための金銭的インセンティブを用いた患者活性化介入の有効性を評価すること。

デザイン、設定、および参加者

利尿薬導入のための退役軍人プロジェクト(The Veterans Affairs Project to Implement Diuretics)、ランダム化臨床試験は、2006年8月1日~2008年7月31日まで、13ヶ所の退役軍人プライマリケアクリニックで行われた。

追跡期間は12ヶ月間。

チアジドを服用しておらず、血圧(BP)目標を達成していない2,853人の適格患者を特定するために、合計61,019人の患者をスクリーニングした。 598人が参加することに同意した。統計分析は、2017年12月1日~2018年9月12日まで行われた。

介入

試験参加者(n=598)をランダムに4群に分けた。

①コントロール群(n=196)

②グループA(n=143):チアジド処方に関する手紙を受け取る群

③グループB(n=128):手紙および金銭的インセンティブを受け取る群

④グループC(n=131):手紙、金銭的インセンティブ、プライマリケア医と話すよう患者に促す電話を受ける群

プライマリーアウトカムと測定

主要アウトカムは、チアジド処方と血圧コントロール。二次的なプロセス測定は、チアジドに関する患者とプライマリケア臨床医間の議論でした。

結果

598人の参加者(男性588人および女性10人)のうち、複合介入群の平均(SD)年齢(n = 402)は62.9(8.8)歳、平均ベースラインBPは148.1 / 83.8 mm Hgであった。

対照群(n = 196)の平均(SD)年齢は64.1(9.2)歳であり、平均ベースライン血圧は151.0 / 83.4 mm Hgであった。

初診時のチアジド処方の未調整率は、

コントロール群で9.7%(196人中19人)、

グループAで24.5%(143人中35人)、

グループBで25.8%(128人中33人)、

グループCで32.8%(131人中43人)だった。(P <0.001)。

調整後分析では、インデックス訪問と6ヶ月時点の訪問で処方するチアジドへの介入効果を示したが、12ヶ月時点での訪問で減少した。

血圧コントロールにおいて、グループCでの12ヵ月時点の追跡調査で有意な介入効果があった(調整オッズ比 =1.73, 95%CI 1.06〜2.83; P =0.04)。

介入群はチアジドについての議論率が用量反応的(介入項目が多くなるほど)に改善した。

グループA:44.1%(143人中63人)

グループB:56.3%(128人中72人)

グループC:68.7%(131人中90)

(P =0.004)

結論と関連性

高血圧症に対するチアジドに関する患者活性化介入により、患者の3分の2が担当医と話し合いを行い、約3分の1の患者でチアジド処方を開始した。

手紙に加え金銭的インセンティブと電話をかけることで、両アウトカム(プライマリー・セカンダリー)が徐々に改善された。

介入後12ヶ月までに、血圧コントロールが改善することも明らかになった。

低コスト、低強度の介入は、患者と臨床医との高頻度の議論およびその後のチアジド処方をもたらした。これにより根拠に基づくガイドラインを促進し臨床的慣性を克服するために使用され得る。

Trial Registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00265538.


コメント

アブストのみ。

退役軍人の集団であるため男性の割合が高い(男性98.3%)。またチアジド処方率については、介入を受けた3群間で差はなかった。手紙だけで良さそうですな。金銭的インセンティブよりは安いはず。

将来的にはエビデンスベースな手紙を薬局から患者さんに送るのも面白そうだけど、恣意的すぎますね。

そうそうインセンティブについては、署名はがきを受け取った患者に20ドルが支払われたようです。

自己負担がある患者(70.4%[598人中421人])の場合、手紙には、ポストカードを受け取ってチアジドが処方されたことを確認できると、6ヶ月間のチアジド処方にかかる48ドルが払い戻されるとも伝えられたようです。

以下、原文:

Group B received the same patient education letter as well as a financial incentive to initiate a discussion with their primary care clinician. The incentive was a $20 payment that patients would be mailed on receipt of their signed postcard. For patients with a prescription copayment (70.4% of patients [421 of 598]), the letter also told them that their thiazide copayments for 6 months ($48) would be reimbursed on receipt of the postcard and confirmation that a thiazide was prescribed.

血圧はしっかり下げた方が良いですか?(Journal of Hypertension 2018; SPRINT trial 二次解析)

Impact of cumulative SBP and serious adverse events on efficacy of intensive blood pressure treatment

a randomized clinical trial

Rueda-Ochoa, Oscar L. set al.

Journal of Hypertension: November 15, 2018 – Volume Publish Ahead of Print – Issue – p 
doi: 10.1097/HJH.0000000000002001

背景

集中的な血圧降下が年々注目されている。加えて、ベースライン血圧の上昇、累積SBP、visit-to-visit variability(来院毎の血圧変動制を標準偏差で捉えたもの)、および治療誘発性重篤有害事象(SAE)は、経時的な治療有効性に影響を与える可能性がある。本試験の目的は、収縮期血圧介入試験(SPRINT)集団における集中型高血圧治療に対する累積SBPおよびSAEの影響を評価することであった。

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高血圧患者に対する降圧目標と心血管疾患(CDSR 2018)

Blood pressure targets for the treatment of people with hypertension and cardiovascular disease.

Saiz LC et al.
Cochrane Database Syst Rev. 2018 Jul 20;7:CD010315. doi: 10.1002/14651858.CD010315.pub3.
PMID: 30027631

バックグラウンド

これは2017年に公表されたレビューのファーストアップデートである。

高血圧症は早期罹患と死亡の予防可能な主要原因である。高血圧および確立された心血管疾患を有する人々は特にリスクが高いため、血圧を標準的な目標値よりも下げることが有益であり得る。この戦略は、心血管死亡および罹患率を低下させる可能性を有しているが、有害事象を増加させる可能性もある。

高血圧および心血管疾患を有する集団における最適な血圧目標は未知のままである。

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超高齢者における死亡原因と血圧には関連性がありますか?(BMJ 2018)

Revisiting the association of blood pressure with mortality in oldest old people in China: community based, longitudinal prospective study.

Lv YB et al.

BMJ. 2018 Jun 5;361:k2158. doi: 10.1136/bmj.k2158.

PMID: 29871897

試験の目的

中国の超高齢者について、3年間の全死亡および死亡原因と血圧との関連性を明らかにする

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出血性脳卒中後の降圧薬はしっかり飲んだ方が良いですか?(Hypertension 2018)

Effect of Adherence to Antihypertensive Medication on the Long-Term Outcome After Hemorrhagic Stroke in Korea

Kim et al.

Hypertension 2018

PMID: 29915019

研究の背景

高血圧症は、出血性脳卒中の最も重要な単一の危険因子であり、世界的に死亡率および障害の主要な原因である。降圧薬の服薬アドヒアランスは、厳密な血圧管理を達成するために不可欠だが、服薬アドヒアランス不良は臨床診療において一般的である。

試験の目的

急性出血性脳卒中患者における降圧薬の服薬アドヒアランスおよび長期的なアウトカムへの影響を評価した。本研究は韓国全土の健康保険請求データベースに基づく後向きコホート研究である。

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仮面高血圧症のリスクはどのくらいですか?(JAMA Cardiol. 2018)

Association of Cardiovascular Outcomes With Masked Hypertension Defined by Home Blood Pressure Monitoring in a Japanese General Practice Population.

Fujiwara T et al.

JAMA Cardiol. 2018 May 23. doi: 10.1001/jamacardio.2018.1233.

PMID: 29800067

試験の重要性

臨床現場での家庭血圧モニタリング(home blood pressure monitoring: HBPM)によって定義された仮面高血圧症に関連する臨床転帰は依然として不明である。

試験の目的

日本人一般集団における仮面高血圧症と心血管疾患イベントとの関連性を評価する

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2型糖尿病患者の降圧療法においてアンギオテンシン-アルドステロン ブロッカーへの追加薬は何が良いですか?(CJASN 2018)

Add-On Antihypertensive Medications to Angiotensin-Aldosterone System Blockers in Diabetes. A Comparative Effectiveness Study

Schroeder EB et al.

The Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2018

PMID: 未

背景と目的

糖尿病患者の重大な腎臓イベントのリスクについて、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)またはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)への(他クラスの)降圧薬追加による有効性の比較は依然として不明である。

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【フォーミュラリー実践のために】高血圧患者における ACE阻害薬と ARBはどちらが優れてますか?(Eur J Prev Cardiol. 2017)

Angiotensin-converting enzyme inhibitors reduce mortality compared to angiotensin receptor blockers: Systematic review and meta-analysis.

Salvador GL et al.
Eur J Prev Cardiol. 2017 Dec;24(18):1914-1924.
PMID: 28862020

試験の背景

高血圧集団におけるアンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)またはアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)長期使用の結果を比較するレビューはほとんどありません。それは両方とも同様に血圧低下作用があるためです。
高血圧患者における AC-Iまたは ARBとプラセボ群とを比較した研究はなかった。なぜなら前述の比較デザインを検証した研究が殆どないからです。

方法

2000年1月1日〜2015年12月31日まで PUBMED、LILACS、SCIELO、ICTRP、Cochrane、EMBASEおよび ClinicalTrials.govを系統的に検索し、ACE-Iまたは ARB使用と心血管アウトカムとの関係について検討した前向き研究を選択した。
心血管アウトカムは次の通り:①心不全/入院、②脳卒中、③急性心筋梗塞、④全心臓血管死、⑤全死亡および⑥全アウトカム。
集団オッズ比(ORs)と 95%信頼区間(CIs)を固定効果モデルを用いて組み合わせた。

結果

17試験(n = 73,761)には ACE-I(n =12,170)の 5試験と ARB(n =24,697)の 12試験が含まれていた。
ACE-I使用は、全死亡(OR =0.85, 95%CI 0.78〜0.93)および心血管死(OR =0.77, 95%CI 0.69〜0.87)を有意に減少させた。
ARB使用は、全死亡(OR =1.02, 95%CI 0.96〜1.09)または心血管死(OR =0.95, 95%CI 0.86〜1.06)を減少させなかった。
急性心筋梗塞脳卒中心不全/入院については、両クラスともに有意な減少を示した。

結論

ACE-Iまたは ARBの使用は、急性心筋梗塞、脳卒中および心不全/入院に関する主要な心血管アウトカム予防において同様であった。しかし、ACE-Iの使用は、ARBよりも総死亡および心血管死を低減する上でより有効であった。

キーワードMeta-analysis; angiotensin II receptor blocker; angiotensin-converting enzyme inhibitor; hypertension; outcomes


コメント

アブストのみ。網羅的に論文検索を行っていることがわかる。またアウトカムはほぼハード。統合された論文数は 17と多い。
本結果は過去の報告と矛盾しない。ARBよりも ACE-Iの方が優れていそう。
コストも踏まえれば、まずは ACE-Iで充分ではないでしょうか。
大体のことに言えるかもしれませんが、「新しかろう, 良かろう」からは、そろそろ決別したほうが良いと思う。

-Evidence never tells you what to do-




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