抗菌薬は急性呼吸器感染症の重症化を防げますか?(Ann Fam Med. 2013)

Risks and benefits associated with antibiotic use for acute respiratory infections: a cohort study.

Meropol SB, et al.
Ann Fam Med. 2013 Mar-Apr.

PMID: 23508604

目的

急性非特異的呼吸器感染症(ARI)のために抗生物質が頻繁に処方される。これは深刻ではあるが稀な細菌性疾患への進行リスクを避けることが望ましいと考えられるためである。しかし、関連する有害な薬物事象の低リスクであっても、そのような事象が人口レベルで多く発生する可能性がある。本研究の目的は、抗生物質を処方された患者と抗生物質を受けていない患者とを比較し、ARI患者集団における抗生物質使用のリスクおよび利益を評価することであった。

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アルコールベースの手指消毒と手指衛生教育は感染症の伝染を防げますか?(Pediatrics. 2005.)

A randomized, controlled trial of a multifaceted intervention including alcohol-based hand sanitizer and hand-hygiene education to reduce illness transmission in the home.

Randomized controlled trial

Sandora TJ, et al.
Pediatrics. 2005.

PMID: 16140697

目的

手の衛生状態を良くすると、家庭外育児を受けている子供を有する家族の感染拡大を軽減することができる。アルコールベースの手指消毒剤は、呼吸器および胃腸感染(GI)に関連する一般的なウイルスを急速に殺す。本調査の目的は、アルコールベースの手指消毒剤の使用と手指衛生教育の増加を中心とする多面的なキャンペーンが、家庭における病気の伝播を減らすかどうかを判断することだった。

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急性呼吸器感染症患者の満足度を下げずに抗菌薬使用を減らせますか?(CDSR 2015)

Interventions to facilitate shared decision making to address antibiotic use for acute respiratory infections in primary care.

Coxeter P, et al.

Cochrane Database Syst Rev. 2015.

PMID: 26560888

背景

意思決定の共有は、患者中心のケアの重要な要素です。これは、コミュニケーションとエビデンスベースの練習スキルであり、患者の期待を引き出し、誤解を明確にし、治療の便益と害に対する最良の証拠を議論します。急性呼吸器感染症(ARI)は、プライマリケアのコンサルティングや抗生物質の処方を受ける最も一般的な理由の1つです。しかし、抗生物質はARIにはほとんど効果がなく、その過剰使用は抗生物質耐性につながります – 進化する公衆衛生危機。共有の意思決定における利益と害のトレードオフのより明確な考察は、プライマリケアにおけるARIの抗生物質処方を減少させる可能性がある。

目的

共有意思決定を促進することを目的とする介入が、プライマリケアにおけるARIの抗生物質処方を増減するかどうかを評価する。

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抗菌薬を正しく使うには?(世界抗菌薬啓発週間2018.11.12〜11.18)

風邪やインフルエンザに抗菌薬は効かない

誤った認識を正し、適正な行動へとつなげよう

2018年11月11日のNHKニュースに抗菌薬に対するアンケート調査結果が取り上げられていました。掲載期間が1週間とのことですので、ここに概要を取り上げておきます。

以下、抜粋。

国立国際医療研究センター病院は、インターネットを利用して全国の10代〜60代までの一般の男女721人に対して、抗菌薬に対するアンケート調査を行った。

「抗菌薬がどのような病気に有用か」という質問に対して、「かぜ」と答えた人が49.9%、「インフルエンザ」と答えた人は49.2%と、ほぼ半数の人が誤って認識していることが分かった。

また「かぜで受診した時に処方してほしい薬」として、30.1%の人が「抗菌薬」と答えた。

 

風邪の大半、インフルエンザの原因はウイルスです。そもそも細菌や真菌、ウイルスの違いはどこにあるのでしょうか。

大幸薬品のホームページにわかりやすい記載がありましたので、是非そちらをご覧ください。

↓クリックでURL先に飛びます。

病原体:ウイルスと細菌と真菌(カビ)の違い

つまりウイルスには抗ウイルス薬、細菌には抗菌薬、真菌(カビ)には抗真菌薬が効くということです。

何でもかんでも抗菌薬を使用するということは、テニスラケットをもって野球のバッターボックスに立つようなものです(他に上手い例えがありましたら教えてください)。

 

抗菌薬の誤った使い方がもたらす未来とは

それは耐性菌(AntiMicrobial Resistance: AMR)による人類の破滅です。AMR Reviewによると、耐性菌による年間の死亡者数は2013年では70万人、2050年には1,000万人にものぼるようです。

 

 

そして、2050年に推定されるAMRによる年間の死亡者数1,000万人のうち、約47%を占める4,730,000人はアジア圏の人間であることが推測されています。

World Antibiotic Awareness Week

上述の問題点を解消するためには、私たち一人一人が誤った認識を改め、抗菌薬を適正に使用する必要があります。これは日本に限った話ではなく、世界中で起こっている非常に大きな問題です。世界保健機構(World Health Organization: WHO)も本問題について警鐘を鳴らしています。WHOのホームページにWorld Antibiotic Awareness Weekについて掲載されていますので、興味がある方は是非ご参照ください。

※以下は、World Antibiotic Awareness Weekの各テーマです。

12 Nov 2018, Day 1 –Awareness and Behaviour Change

13 Nov 2018, Day 2 –Global Surveillance and Research

14 Nov 2018, Day 3 –Infection Prevention Control, WASH and the Environment

15 Nov 2018, Day 4 –Optimising use of antimicrobials in human and animal health

16 Nov 2018, Day 5 –Investment and R&D in AMR

 

意識と行動の関係性

マザーテレサの残した言葉に以下のようなものがあります。

“思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。

言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。

行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。

習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。

性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。”

 

前提を疑おうとすることで、無意識を意識化することができ、明日への行動へと繋がっていきます。今まで当たり前だと信じて行ってきたことが、実は誤っていたことは往々にしてあるものです。

抗菌薬は決して万能薬ではなく、必要な患者に、ここぞというときに使うリーサル・ウェポン的な存在であることを、医療従事者が改めて意識してみるのはいかがでしょうか。そして患者側も不必要に抗菌薬を欲しがらない、抗菌薬に頼らないようにし、治療方針の相談と適切な治療を要望する姿勢を目指してみるのはいかがでしょうか。

 

人類の未来は、我々一人一人の意識と行動変容にかかっています。

【立てよ薬剤師プロジェクト】猫がブログを書く理由 〜インプットとアウトプットのハイブリッド〜

なぜブログを書いているのか?

理由なんていらない?

今更ながら,なぜブログを書いているのかについて自身の考えをまとめておこうと思います.

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情報リテラシーを学び、実践し、振り返る 〜立てよ、薬剤師〜

立てよ、薬剤師プロジェクト

はじめに

論考をAHEADMAP会報誌秋号に寄稿しました!!

 

以下、序文を一部掲載;

[はじめに ~意思決定は誰が行うのか~]

エビデンスや論文と聞くと、ある種のアレルギー反応を示す方に出会う。これは私の勝手な見解である が、論文情報というのは、実はかなり曖昧なものである。しかし、このような曖昧な情報を、絶対的な、 抗えないような、あるいは融通の利かないような存在に祭り上げてしまっていることこそが、ある種のアレ ルギー反応に繋がっているのかもしれない。もしそうなのであれば、これは誤りであると断言できる。

まず臨床判断における4要素(図1)を見て欲しい。この図から、患者のおかれた環境や臨床状態、 患者の意向、そしてエビデンスを統合し “臨床経験や専門知識を用いて” 最終的な臨床的判断を 行うよう推奨していることが分かる。また(図1)の論文の著者は次のような言葉を残している。

− Evidence does not make decisions, people do −

R. Brian Haynes

つまり、論文情報は4つの輪の1つでしかなく、患者を取り巻く状況によって、その表情を変え、あくま で意思決定は患者と、それを支える医療従事者が行うのである。以下、仮想症例で考えてみよう。

コレステロール値が基準値より少し高いが、他の既往歴や家族歴の無い患者。患者本人は薬を 使いたくないのだが言い出せず、担当医がスタチン系薬剤を処方した。そして、その結果、コレステロー ル値は正常値範囲内に納まったが、血糖値が高くなってしまい2型糖尿病と診断され、血糖降下薬を 追加されてしまった。この仮想症例に触れてどう感じただろうか?極端な例で情報が少なく分かりづら いだろうか?ここで言いたいこと、それは薬のリスク/ベネフィットを評価しようということである。

スタチン系薬剤の使用が新規の糖尿病発症リスクを増加させることが過去に示唆されている。1)実 は糖尿病発症リスク増加について添付文書にも記載されている薬剤もある。しかし、どの程度のリスク なのかは示されていない。より正確に薬剤のリスクベネフィットを評価するためには、やはり一次情報で ある論文に触れる必要があると言わざるを得ない。

以上の情報を知っているか否か、論文の妥当性を評価できているかによって、治療方針は変わって いたかもしれない。定期検診のみの経過観察も選択肢の1つとしてあり得たのではなかろうか。


(以下の画像をクリックすると全文ダウンロードできます!)

aheadmap.jimdo.com 

 

奇しくも、ある方と一部内容がかぶりました。その方、「るるー主」さんのブログがこちら

ph-lelouch.com 

EBM実践を広めるには?

私は常々、日常業務に Evidence-Based MedicineEBM)実践を組み込みたいと考えています。

 

そして医療従事者以外にも EBM実践を広めるためには、つまり一般化するにはどのようにしたら良いかと考えております。

 

双方向性の情報リテラシー向上?

それには「情報を発信する側」と「情報を受け取る側」、双方のリテラシー向上が肝であるという考えに至りました。

 

そもそもリテラシー literacy”とは何か?

以下、デジタル大辞泉から引用

リテラシー(literacy

1 読み書き能力。また、与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力。応用力。
2 コンピューターについての知識および利用能力。→コンピューターリテラシー
3 情報機器を利用して、膨大な情報の中から必要な情報を抜き出し、活用する能力。→情報リテラシー

 

情報リテラシーの定義

また上記3の情報リテラシーの定義 1989年に確立されています(クリックで別記事にとびます)。

個人的に感じていることですが情報発信を行っていく中で、自然と情報を受け取る際にも内容を吟味できるようになりました。まだまだ修行中の身ではありますが、継続することで新たに見えてくる景色があるのではないかと期待しております。

つまり受け取る情報を吟味するためには、一次情報に当たり、自分なりに咀嚼し、情報を発信し続けて行くことが肝要ではないか、

そして情報リテラシー取得に繋がるのではないか、ということです。

あとは初めの一歩を踏み出すかどうか、、、立てよ、薬剤師!!

 

 

-Evidence never tells you what to do-