フェブリク®️使用による心血管イベントへの影響はどのくらいですか?(SR&MA; Int J Rheumatol. 2019)

Febuxostat and Cardiovascular Events: A Systematic Review and Meta-Analysis.

Cuenca JA, et al.
Int J Rheumatol. 2019.

PMID: 30863448

Conflicts of Interest

Michael H. Pillinger serves and/or has served as a consultant for AstraZeneca, Crealta, Horizon, Ironwood, Pfizer, and SOBI and has been an investigative site for the CARES trial, sponsored by Takeda.

【背景】

フェブキソスタットは、痛風患者における高尿酸血症の治療薬として米国で承認されている。2017年11月に、FDAはフェブキソスタットと心血管疾患(CVD)の関連の可能性に関する警告アラートを1件の臨床試験で発表した。

【目的】

系統的レビューおよびメタアナリシスを実施し、対照群と比較してフェブキソスタット投与患者における主要有害心血管イベント(MACE)のリスクを評価すること。

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キサンチンオキシダーゼ阻害薬と心血管アウトカムとの関係(SR&MA of RCT; BMC Cardiovasc Disord. 2018)

Xanthine oxidase inhibitors for prevention of cardiovascular events: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.

Review article

Bredemeier M, et al.
BMC Cardiovasc Disord. 2018.
PMID: 29415653

【試験背景】

プリン様(アロプリノールおよびオキシプリノール)および非プリン(フェブキソスタットおよびトピロキソスタット)キサンチンオキシダーゼ阻害剤(XOI)は、プリン代謝に由来する活性酸素種の産生を減少させることによって抗酸化特性を示す。

酸化ストレスは、内皮機能不全および虚血 – 再灌流障害に関連する重要な因子であり、心不全、高血圧、および虚血性心疾患の病因に関係している可能性がある。

ただし、XOIによる心血管(CV)保護効果については相反する結果が報告されている。

【試験の目的】

プラセボまたは無治療に対してXOIを検証したランダム化比較試験(RCT)における主要有害心血管イベント(MACE)、死亡率、特定および総CVイベント(TCE)発生率を比較すること。

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ザイロリック®️の用法はなぜ1日2〜3回なのか?(JAMA. 1975)

Allopurinol and gouty hyperuricemia. Efficacy of a single daily dose.

Rodnan GP et al.

JAMA. 1975 Mar 17;231(11):1143-7.

PMID: 1172813

抄録

高尿酸血症および痛風患者20人を対象とした非盲検クロスオーバー試験で、アロプリノール錠300mgを1日1回投与した場合の効果を、分割投与(1日3回100mg)の効果と比較した。

両治療ともに血清尿酸レベルの迅速な低下が認められた。分散分析では、アロプリノールの2つの投与様式の間に有意差がないことを示した。オキシプリノールの最小血清レベルにも有意差はなかった。

本短期間の研究に基づくと、300mg/日のアロプリノール錠を使用することは、痛風高尿酸血症患者の血清尿酸値を低下させる有効な手段であると思われ、分割投与の方が単回投与の結果と比較して有利だった。


コメント

アブストのみ。

私の周りにおいては、尿酸値6ぐらいで安定している患者さんはアロプリノール錠100mgを1日1回服用していることが多いです。

ふと用法を確認したところ通常は2〜3回服用とのこと。本来、用法の変更については、適応の項に記載のある “年齢、症状により適宜増減する” の範疇ではないのですが、レセプトで切られたものは見たことがありません。なぜなのかな?と思い検索。

ザイロリック®️添付文書より引用

この用法に対し疑問に思った理由の一つにT1/2があります。

ザイロリック®️添付文書より引用

“未変化体であるアロプリノールは、約2.1時間後に最高血中濃度が平均1.48μg/mLに達し、半減期は約1.6時間であった。”
“一方、主代謝物であるオキシプリノールは、約4.6時間後に最高血中濃度が平均4.10μg/mLに達し、半減期は約17.1時間であった。”

以上のデータをRitschel理論で計算すると、主(活性)代謝物であるオキシプリノールについては1日1回投与でも問題ないことがわかります(リッチェル理論についてはこちら↓)。ちなみにイギリスでの承認用量・用法は “アロプリノール錠300mgを1日1回食後に投与” です。

冒頭の論文に戻りますが、尿酸値低下作用については、単回と分割投与で差が認められませんでした。しかし1日中安定して尿酸低下作用を維持できるのは分割投与とのこと。これは推測にすぎませんが、未変化体アロプリノールおよびオキシプリノールの血中濃度をより高知で維持できるためだと考えられます(当たり前と言われれば当たり前のことですよね)。ちなみに尿酸生成経路については以下の通り。

   プリン体→ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸結晶

薬理作用の確認しますと、キサンチンオキシダーゼは、ヒポキサンチンからキサンチン、キサンチンから尿酸への生成に関わる酵素です。アロプリノールおよびオキシプリノールは、このキサンチンオキシダーゼを阻害するため、尿酸生成阻害薬に分類されます。

さて、ザイロリック®︎錠の服用回数2〜3回についてですが、販売元に確認してみたところ “承認された時期がだいぶ前であるため詳細は不明” とのこと。1970年代ですものね。承認申請時の資料も見てみましたが、黒塗りの情報が多く、確固たる情報は得られませんでした。冒頭の論文結果が一因になる可能性は高いのかなとも思っています。

またアロプリノールで問題となるのが皮膚への副作用ですが、日本人においては、他の人種に比べHLA-B* 5810保有者は少なそう(あくまで少なそうです)。

ザイロリック®️添付文書より引用

慢性腎障害の進行と心血管イベントリスクに対するザイロリック®️の効果はどのくらいですか?(Clin J Am Soc Nephrol. 2010)

Effect of allopurinol in chronic kidney disease progression and cardiovascular risk.

Randomized controlled trial

Goicoechea M, et al.
Clin J Am Soc Nephrol. 2010.

PMID: 20538833

背景と目的

高尿酸血症は高血圧、炎症、腎疾患の進行、および心血管疾患に関連している。しかし、慢性腎臓病患者におけるアロプリノールの効果に関するデータはない。

デザイン、設定、参加者、測定

推定GFR(eGFR)が60ml /分未満の患者113人を対象にした前向きランダム化試験を実施した。

患者は、アロプリノール100 mg / dによる治療(n = 57)または通常の治療を継続する(n = 56)ために無作為に割り当てられた。臨床的、生化学的、および炎症性のパラメータは、ベースラインおよび治療の6、12、24ヶ月目に測定されました。

研究のアウトカムは以下の通りである:(1)腎疾患の進行。(2)心血管イベント。(3)何らかの原因による入院

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慢性痛風患者における尿酸低下治療は心血管イベントに影響しますか?(Rheumatology 2017)

Cardiovascular effects of urate-lowering therapies in patients with chronic gout: a systematic review and meta-analysis.

Review article

Zhang T, et al. Rheumatology (Oxford). 2017.

目的

痛風患者における尿酸低下治療(ULT)が心血管系(CV)のアウトカムを減少させることができるかどうかを決定すること。

方法

ランダム化試験で痛風におけるULT治療を検索した。ULTのCV安全性を報告した試験を適格とした。

可能性のある薬としては、アロプリノール、フェブキソスタット、ペロチカーゼ、ラスブリカーゼ、プロベネシド、ベンズブロマロン、スルフィンピラゾン、ロサルタン、フェノフィブラートおよびナトリウム – グルコース結合トランスポーター2阻害剤が挙げられた。

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心血管疾患を伴う高尿酸血症患者におけるウリアデック®️(トピロリック®️)vs. フェブリク®️(TROFEO Trial; Circ J. 2017)

Cross-Over Trial of Febuxostat and Topiroxostat for Hyperuricemia With Cardiovascular Disease (TROFEO Trial).

Sezai A et al.

Circ J. 2017 Oct 25;81(11):1707-1712. doi: 10.1253/circj.CJ-17-0438. Epub 2017 Jun 9.

PMID: 28603225

試験の背景

フェブキソスタット(フェブリク®️)がアロプリノール(ザイロリック®️)よりも高尿酸血症に対してより有効であると報告された。しかし、高尿酸血症に対するトピロキソスタット(トピロリック®️、ウリアデック®️;フェブキソスタット同様にキサンチンオキシダーゼレダクターゼ阻害剤)の有効性は不明である。

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2型糖尿病患者における血清尿酸値は死亡リスク増加に影響しますか?(Atherosclerosis 2017; Charge)

On the non-linear association between serum uric acid levels and all-cause mortality rate in patients with type 2 diabetes mellitus.

Lamacchia O et al.

Atherosclerosis. 2017

DOI: 10.1016/j.atherosclerosis.2017.03.008. Epub 2017 Mar 9.

PMID: 28334637

背景・疑問

血清尿酸値の値が腎疾患や死亡リスクに関与することが報告されている。しかし、因果関係は依然として不明である。

2型糖尿病患者における無症候性高尿酸血症の治療は有益であるのか?抄録のみ読める論文であるが読み進めた。

結論

2型糖尿病患者における血清尿酸値は、4.717.17 mg/dLの範囲より高くても低くても死亡リスクを上昇させた。いわゆるJ字型(あるいは U字型)現象が観察された。


抄録

【背景と目的】

高レベルの血清尿酸(Serum Uric Acid: SUA)は、一般集団における死亡リスクの増加と関連している。つまり尿酸レベルの低下は、糖尿病患者において有用である。

本研究の目的は、2型糖尿病患者における SUAと全死亡との関連およびその機能的形態を研究することである。

【方法】

T2DM患者を対象とした 3つのコホートを解析した(Gargano Mortality試験 n=698、Foggia Mortality試験 n=431、Pisa Mortality試験)。エンドポイントは全死亡率。

【結果】

SUAレベルと全死亡率との間の最も信頼性の高い関係は二次関数的であった。このモデルは SUA三分位によってよく近似された。

三分位の第1(本研究のグループ内で尿酸値が一番高い群)および第3(尿酸値が一番低い群)は、第2(中間層)に比べ死亡リスクが高かった。

・第1 vs. 第2

ハザード比(HR) =1.34, 95%信頼区間(CI)=1.07〜1.68

・第3 vs. 第2

HR =1.61, 95%CI =1.29〜1.99

実際にプールされたサンプルから作成された擬似的サンプルにおいて、SUAと全死亡率との最良の関係は二次的であった。

再帰的分割回帰ツリー分析において、死亡リスクの高い2つのサブグループを対象に解析した。すなわち中間 SUAレベルの患者(尿酸値4.16〜7.28 mg/dl)と比較して、SUAレベルが7.28 mg / dl 以上および SUAレベルが4.16 mg / dl 未満で死亡率が高かった。

本試験は SUAレベルと死亡率との間の J字型関係に関するさらなるエビデンスを提供する。

【結論】

血清尿酸は、2型糖尿病患者の全死亡率と直線的に関連していなかった。臨床および公衆衛生上では、そのような関連性は J字型と呼ばれる。


PECOT

  • 2型糖尿病患者
  • 血清尿酸値の層別化
  • 無し
  • 全死亡
  • 害、3つのコホート研究を解析

批判的吟味

 追跡期間は?

抄録からは不明

脱落はどのくらいか?

抄録からは不明

マスキングされているか?

抄録からは不明

交絡因子の調整は?

抄録からは不明


コメント

2型糖尿病患者における、尿酸値と全死亡率との間には J-curve現象がみられた。当該患者においては尿酸値が上がり過ぎないよう、逆に下げ過ぎないようコントロールすることの重要性が示唆された。あくまで観察研究であり、因果関係ではなく相関関係が示された点であることは念頭に置く必要がある。

さらに抄録からは批判的吟味できなかった。また調整しきれない交絡因子もあると考えられる。個人的には三分位というところが気になる。

血清尿酸値について私の知る限りでは、血圧や血糖値、脂質と比較し、疾患との関連性や治療効果については非常に曖昧である。

高尿酸血症のみでの治療効果は限定的であり、痛風発作の既往がない、無症候性高尿酸血症であれば放置していても問題ないという認識。しかし、以前から尿酸高値は腎疾患や心房細動等の心血管疾患との関連性が示唆されている。一方、in vitroにおいてではあるが尿酸の酸化ストレス軽減効果も示唆されており、まだまだ議論の分かれるところ。

-Evidence never tells you what to do-