ベタニス®(ミラベグロン)服用による心疾患への影響はどのくらいですか?(Int J Clin Pract. 2013: Free)

Mirabegron for the treatment of overactive bladder: a prespecified pooled efficacy analysis and pooled safety analysis of three randomised, double-blind, placebo-controlled, phase III studies.

Nitti VW et al.

Int J Clin Pract. 2013 Jul;67(7):619-32.

PMID: 23692526

利益相反の開示

→多いという印象。本文の disclosures 参照。

私的背景

前立腺癌および前立腺肥大症を合併する 85歳男性。カソデックス®(ビカルタミド)とハルナール®(タムスロシン)を服用中。最近、尿漏れ症状があるため家族の希望により薬剤追加。ベタニス®(ミラベグロン)が新規処方された。

 本患者は心房細動および心不全も合併していたため、下記の禁忌項目にある重篤な心疾患についてどの程度の有害事象が報告されているのか論文検索を行い検討した。Pubmed 検索にて上記の論文がみつかったため読んでみた。

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【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】高コレステロール血症および糖尿病性網膜症を有すハイリスク日本人ではコレステロールを下げた方が良いですか?(EMPATHY trial; Diabetes Care 2018)

Intensive Treat-to-Target Statin Therapy in High-Risk Japanese Patients With Hypercholesterolemia and Diabetic Retinopathy: Report of a Randomized Study

Itoh et al. (EMPATHY Investigators)

Diabetes Care 2018 Apr; dc172224.

PMID: 29626074

目的

糖尿病は心臓血管(CV)イベントの高リスクと関連している。特に脂質異常症および糖尿病性合併症を有する患者において顕著である。高コレステロール血症および糖尿病性網膜症を有し、かつ冠状動脈疾患の既往のない患者で、脂質低下療法における厳格治療と従来治療の比較(treat-to-target strategy)、および CVイベント発生率を検討した。

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ピロリ菌除菌で胃がんを防げますか?②(N Engl J Med. 2018)

Helicobacter pylori Therapy for the Prevention of Metachronous Gastric Cancer.

Choi IJ et al.

N Engl J Med. 2018 Mar 22;378(12):1085-1095.

PMID: 29562147

ClinicalTrials.gov number, NCT02407119.

研究資金

the National Cancer Center, South Korea(0310050, 0410450, 0610080, 0910100, 1210230, 1310280, and 1610180)

COI

無し(らしい)


試験背景

胃粘膜または粘膜下組織に限局した初期の胃癌患者は、通常、粘膜腺組織の進行性喪失(腺萎縮)を有し、新規胃がんの発生およびその後(異時性)の病態進行リスクが高い。

組織学的改善および異時性胃癌の予防に対するヘリコバクターピロリ(以下、ピロリ)除菌治療の長期的な効果は依然として不明である。

方法

前向き二重盲検プラセボ対照ランダム化試験には、早期胃癌または高悪性度腺腫の内視鏡的切除を受けた 470人の患者が組み入れられた。参加者はプラセボまたは抗生物質によるピロリ除菌療法を受けた。

プライマリーアウトカムは、①3年間の追跡期間中における、胃体部(底部)小弯の腺萎縮のグレードにおけるベースラインからの改善累積および② 1年間のフォローアップまたはそれ以降に行われた内視鏡検査で検出された異時性胃がんの発生率であった。

結果

計 396人の患者が、mITT集団(治療群194人、プラセボ群 202人)に含まれていた。

追跡期間は 5.9年(中央値)で、ピロリ除菌群では 14例(7.2%)、プラセボ群では 27例(13.4%)で異時性胃がんが発生した。

  ハザード比 =0.50, 95%CI 0.26~0.94(P =0.03)

組織学的分析を受けたサブグループ 327人の患者のうち、胃底部の小弯における萎縮グレードのベースラインからの改善は、ピロリ除菌群 48.4%、プラセボ群 15.0%において観察された(P < 0.001)。

重大な有害事象はなかったが、軽度の有害事象は治療群でより一般的に認められた(42.0% vs. 10.2%, P <0.001)。

結論

ピロリ除菌治療を受けた早期胃癌患者は、プラセボ群と比べ、胃底部委縮グレードにおけるベースラインからの改善程度が大きかった。また異時性胃がんの発生率が低かった。 


コメント

アブストのみ(NEJMの文献はブログに書きづらくて困ります)。NEJMに 2018年の 3月 22日(日本時間)に掲載されました。

ピロリ菌除菌と異時性胃がん(1年以上経てから新たに初発部位とは別の場所に発生した胃癌)発生率について検討したダブルブラインドのランダム化比較試験。貴重な報告だと思います。しかし、健常人は含まれていません。ここ注意。

まず試験の解析は Full Analysis Setでしょうか。試験解析には 396名、組み入れ時から 74名が除外されています。 

ピロリ除菌により異時性胃がんが減少したとのこと。他のがんの発生率についてはアブストからは不明です。また重大な有害事象はなかったものの、軽度の有害事象は 4倍。

今回の論文を通して、胃がんの発生部位と胃がん発生率についても学べた。噴門部は 20%、胃体部は 30%、幽門部は 40%とのこと(あと 10%はどこ?) 。さらに大弯より小弯の方が胃がん発生率は高いようです。

また胃がんは Epstein-Barr(EB)ウイルスによっても発生するようです。EBウイルスは幽門部、H.ピロリは胃体部に住み着いているようです。

本文献では胃体部の小弯における胃がん発生について内視鏡下で検討しています。発生部位についてはよく検討されていると感じました。また組織学的分析のデータ数も過去の報告に比べると多い方だと思います。全文読みたいところ。

 

 

 

-Evidence never tells you what to do-




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心血管疾患を伴う痛風患者に対してフェブリク®️とザイロリック®️はどちらがより安全に使用できますか?(CARES trial; NEJM 2018)

Cardiovascular Safety of Febuxostat or Allopurinol in Patients with Gout

White WB et al. CARES investigators.

NEJM 2018

PMID: 29527974

ClinicalTrials.gov number: NCT01101035.

資金提供Funding

Takeda Development Center Americas

開示Disclosures

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1710895?query=featured_home#article_supplementary_material

私的背景

2017年 11月 15日 FDAからフェブキソスタット(フェブリク®️)について以下の Safety Alertsが発信された。

Uloric (febuxostat): Drug Safety Communication – FDA to Evaluate Increased Risk of Heart-related Death

実は新薬としてフェブリク®️が承認された際に FDAから追加試験を実施するよう勧告されていた。日本時間 2018年 3月 12日に最新論文が NEJMに掲載された。早速、批判的吟味してみた。

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エンパグリフロジンは2型糖尿病患者の心血管イベントを抑制できますか?実はオープンラベルですか?(EMPA-REG OUTCOME: NEJM.2015 Free)

Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes.

Zinman B et al.; EMPA-REG OUTCOME Investigators.

N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2117-28.

PMID: 26378978

ClinicalTrials.gov No.: NCT01131676

【資金提供】

ベーリンガー・インゲルハイムBoehringer Ingelheim

イーライ・リリーEli Lilly

 

【利益相反COI or 開示disclosure】

めっちゃある(本文参照)。個人的には “The trial was designed and overseen by a steering committee that included academic investigators and employees of Boehringer Ingelheim.” という部分がかなり気になる。

私的背景

EBM勉強会に参加し本論文を読んだ。その中で気になった点がいくつかあったので再度、批判的吟味しつつ考えをまとめてみる。

“エンパグリフロジンは2型糖尿病患者の心血管イベントを抑制できますか?実はオープンラベルですか?(EMPA-REG OUTCOME: NEJM.2015 Free)” の続きを読む

【CQ受け取りましたシリーズ】ハイリスク高血圧患者における血圧コントロールのファースト・ラインは利尿剤?(ALLHAT trial; JAMA 2002; Free)

Major Outcomes in High-Risk Hypertensive Patients Randomized to Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitor or Calcium Channel Blocker vs DiureticThe Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial (ALLHAT)

The ALLHAT officers and coordinators for the ALLHAT collaborative Research Group.

JAMA. 2002 Dec 18;288(23):2981-97.

PMID: 12479763

財務開示Financial Disclosures

→本文 pp.2994参照

私的背景

高血圧ガイドライン2014では Ca拮抗薬、ACE-I/ARB、利尿薬での治療開始が推奨されている。一方、2009年には α遮断薬、2014年には β遮断薬が高血圧ガイドラインの推奨から外された。そのきっかけとなったのが ALLHAT trialおよび LIFE trialである。

SNSで質問をいただいたので ALLHAT trialを改めて読んでみた。質問内容は以下 5点。

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日本人2型糖尿病患者における低用量アスピリンの使用はアテローム性動脈硬化症の初発を予防できますか?(JAMA 2008: JPAD trial; Free)

Low-dose aspirin for primary prevention of atherosclerotic events in patients with type 2 diabetes: a randomized controlled trial.

PMID: 18997198

ClinicalTrials.gov No: NCT00110448

改訂あり:テーブル内の数値に誤りがあり、2017年2月までに本文修正が 2回あったようです。

背景

糖尿病は心血管イベントの強力な危険因子である。Framingham Heart Study において、糖尿病は男女それぞれ 1.5と 1.8の冠動脈疾患のオッズ比と関連し、男性と女性の脳卒中の相対リスクはそれぞれ 1.4と 1.7であると報告されている。 糖尿病患者は、健常人よりも心血管イベントを発症するリスクが 2〜4倍高いことも報告されている。
   過去の報告では、心血管イベントの二次予防戦略としてアスピリン療法が確立されており、研究成果がいくつか報告されている。また臨床ガイドラインでは、冠状動脈疾患の危険因子を有するヒトは、一次予防および二次予防のためにアスピリンを投与することが推奨されている。

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【CQ受け取りましたシリーズ】ラニナビルによるインフルエンザ予防効果はどのくらいですか?

Laninamivir octanoate for post-exposure prophylaxis of influenza in household contacts: a randomized double blind placebo controlled trial.

Kashiwagi S et al.

J Infect Chemother. 2013 Aug;19(4):740-9.

PMID: 23732307

資金提供

第一三共株式会社(イナビル®の製造販売元)

 

利益相反COI or 開示disclosure

S.K, A.W. and H.I. have received consultancies of this trial from Daiichi Sankyo Co., Ltd. S.K. has received lecture fees from GlaxoSmithKline K.K. and Daiichi Sankyo Co., Ltd. A.W. has received research grants from Astellas Pharma Inc, KYORIN Pharmaceutical Co., Ltd., Shionogi & Co., Ltd., Daiichi Sankyo Co.,Ltd., Taisho Pharmaceutical Co., Ltd., Dainippon Sumitomo Pharma Co., Ltd., Taiho Pharmaceutical Co., Ltd., TOYAMA CHEMICAL CO., LTD., and Meiji Seika Pharma Co., Ltd.; A.W. has received lecture fees from ABBOTT JAPAN CO., LTD., MSD K.K., Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd., GlaxoSmithKline K.K., Shionogi & Co., Ltd., Daiichi Sankyo Co., Ltd., Taisho Toyama Pharmaceutical Co., Ltd, Dainippon Sumitomo Pharma Co., Ltd., Mitsubishi Tanabe Pharma Corporation, and Bayer Yakuhin, Ltd. H.I. has received research grants and lecture fees from GlaxoSmithKline K.K. and Daiichi Sankyo Co., Ltd. All other authors were from Daiichi Sankyo Co., Ltd.

私的背景

2017年12月のある寒い日、会議後の飲み会の席で同僚から「イナビル®︎のインフルエンザ予防効果ってどのくらいですか?1週間ぐらいですかね?」と唐突に質問された。

「CQ受け取りましたシリーズ」の始まりである。 “【CQ受け取りましたシリーズ】ラニナビルによるインフルエンザ予防効果はどのくらいですか?” の続きを読む

【新薬の効果はどのくらい?】バロキサビル(ゾフルーザ®️)

1回飲むだけのインフル新薬、5月発売へ

2月2日の朝日新聞DIGITALで新薬について採り上げられていました。早速、効果を検証してみようと臨床試験の結果を検索したところ以下の文献が見つかりました。残念ながら Abstractのみです。

 

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【フォーミュラリー実践のために】低用量アスピリン服用患者においてテプレノンとラベプラゾールは消化性潰瘍の再発を予防できますか?(Aliment Pharmacol Ther. 2014; PLANETARIUM study)

Randomised clinical trial: prevention of recurrence of peptic ulcers by rabeprazole in patients taking low-dose aspirin.

Aliment Pharmacol Ther. 2014 Oct;40(7):780-95.

Iwakiri R et al.

PMID: 25100080

資金提供

エーザイ株式会社

This study was funded by Eisai Co., Ltd., Tokyo, Japan. Writing support was provided by Eisai. Data management and analyses were undertaken by Eisai.

 

背景

消化性潰瘍の主な原因は、Helicobacter pylori(ピロリ菌)感染薬剤の使用(NSAIDs や低用量アスピリン)である。

日本や米国、EU 等では、ピロリ菌感染およびピロリ菌による潰瘍は減少傾向にある。一方、薬剤誘発性の潰瘍は増加している。

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