耳鳴りに対するメリスロン®️の効果はどのくらいですか?(SR&MA; Cochrane Database Syst Rev. 2018)

Betahistine for tinnitus.

Review article

Wegner I, et al.
Cochrane Database Syst Rev. 2018.
PMID: 30908589

【背景】

耳鳴りは、外部音源がない場合の音の知覚として定義される症状である。イギリスだけでも、主な訴えが耳鳴りであると推定されている毎年75万件の一般診療相談があり、これは医療サービスに大きな負担をかけることに相当する。

臨床管理戦略には、教育および助言、リラクゼーション療法、耳鳴り再訓練療法、認知行動療法、耳鳴音発生器または補聴器を使用した音質向上、睡眠障害、不安やうつなどの併存症状を管理するための薬物療法が含まれる。

今のところ、規制機関による耳鳴りの薬は承認されていない。それにもかかわらず、メリスロン®️(ベタヒスチン)のための10万人以上の処方が毎月イギリスで満たされていて、一般開業医の10%近くが耳鳴りのためにベタヒスチンを処方している。

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フェブリク®️使用による心血管イベントへの影響はどのくらいですか?(SR&MA; Int J Rheumatol. 2019)

Febuxostat and Cardiovascular Events: A Systematic Review and Meta-Analysis.

Cuenca JA, et al.
Int J Rheumatol. 2019.

PMID: 30863448

Conflicts of Interest

Michael H. Pillinger serves and/or has served as a consultant for AstraZeneca, Crealta, Horizon, Ironwood, Pfizer, and SOBI and has been an investigative site for the CARES trial, sponsored by Takeda.

【背景】

フェブキソスタットは、痛風患者における高尿酸血症の治療薬として米国で承認されている。2017年11月に、FDAはフェブキソスタットと心血管疾患(CVD)の関連の可能性に関する警告アラートを1件の臨床試験で発表した。

【目的】

系統的レビューおよびメタアナリシスを実施し、対照群と比較してフェブキソスタット投与患者における主要有害心血管イベント(MACE)のリスクを評価すること。

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キサンチンオキシダーゼ阻害薬と心血管アウトカムとの関係(SR&MA of RCT; BMC Cardiovasc Disord. 2018)

Xanthine oxidase inhibitors for prevention of cardiovascular events: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.

Review article

Bredemeier M, et al.
BMC Cardiovasc Disord. 2018.
PMID: 29415653

【試験背景】

プリン様(アロプリノールおよびオキシプリノール)および非プリン(フェブキソスタットおよびトピロキソスタット)キサンチンオキシダーゼ阻害剤(XOI)は、プリン代謝に由来する活性酸素種の産生を減少させることによって抗酸化特性を示す。

酸化ストレスは、内皮機能不全および虚血 – 再灌流障害に関連する重要な因子であり、心不全、高血圧、および虚血性心疾患の病因に関係している可能性がある。

ただし、XOIによる心血管(CV)保護効果については相反する結果が報告されている。

【試験の目的】

プラセボまたは無治療に対してXOIを検証したランダム化比較試験(RCT)における主要有害心血管イベント(MACE)、死亡率、特定および総CVイベント(TCE)発生率を比較すること。

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慢性痛風患者における尿酸低下治療は心血管イベントに影響しますか?(Rheumatology 2017)

Cardiovascular effects of urate-lowering therapies in patients with chronic gout: a systematic review and meta-analysis.

Review article

Zhang T, et al. Rheumatology (Oxford). 2017.

目的

痛風患者における尿酸低下治療(ULT)が心血管系(CV)のアウトカムを減少させることができるかどうかを決定すること。

方法

ランダム化試験で痛風におけるULT治療を検索した。ULTのCV安全性を報告した試験を適格とした。

可能性のある薬としては、アロプリノール、フェブキソスタット、ペロチカーゼ、ラスブリカーゼ、プロベネシド、ベンズブロマロン、スルフィンピラゾン、ロサルタン、フェノフィブラートおよびナトリウム – グルコース結合トランスポーター2阻害剤が挙げられた。

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血糖降下薬による認知症リスクはどのくらいか?(BMJ 2018)

Impact of pharmacological treatment of diabetes mellitus on dementia risk: systematic review and meta-analysis

Jacqueline M McMillan et al.

BMJ 2018

http://dx.doi.org/10.1136/bmjdrc-2018-000563

背景

糖尿病(DM)治療と認知症との関連性はよく理解されていない。

目的

糖尿病治療、低血糖、および認知症との関連性を調査する。

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血液分布異常性ショックを伴う心房細動患者におけるバソプレシン+カテコールアミン昇圧薬 vs. カテコールアミン単独使用との関連 SR&MA(JAMA. 2018)

Association of Vasopressin Plus Catecholamine Vasopressors vs Catecholamines Alone With Atrial Fibrillation in Patients With Distributive Shock: A Systematic Review and Meta-analysis.

McIntyre WF et al.

JAMA. 2018 May 8;319(18):1889-1900. doi: 10.1001/jama.2018.4528.

PMID: 29801010

研究の重要性

血液分布異常性ショック(過度の血管拡張、最頻は重度の感染症)を有す患者におけるカテコールアミン型昇圧剤使用に対し、バソプレシンは代替となり得る。非カテコールアミン(noncatecholamine)昇圧薬による血圧のサポートは、アドレナリン作動性受容体の刺激を減少させ、心筋酸素需要を減少させる可能性がある。心房細動(疾患の存在自体)はカテコールアミンと共通点を有しており、死亡および滞在期間の延長(length of stay: LOS)等の有害事象の発生と関連している。

試験の目的

カテコールアミン昇圧薬単独と比較し、バソプレシン+カテコールアミン昇圧薬による治療が、有害事象のリスク低下と関連しているかどうか検討する。

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【AMR対策シリーズ】膀胱鏡検査後に抗生剤は必須ですか?(Int Braz J Urol. 2015)

Efficacy of antibiotic prophylaxis in cystoscopy to prevent urinary tract infection: a systematic review and meta-analysis.

Garcia-Perdomo HA et al.

Int Braz J Urol. 2015

PMID: 26200530

私的背景

90歳代女性。血尿のため泌尿器科を受診。その際、膀胱鏡検査を実施し、クラビット®(一般名:レボフロキサシン塩酸塩)錠500 mg、1日1回朝食後、3日分が処方された。膀胱及び尿検査に異常は認められなかった。

年齢や腎機能等を考慮しクラビット錠250 mgへの変更提案を行い採択された。しかし、そもそも膀胱鏡検査後に抗生剤はどの程度必要なのかという疑問がわいてきたため文献検索を行い、上記の文献を見つけることができた。文献では、膀胱鏡検査30~60分前に抗生剤の投与を行った論文が対象となったようだ。

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【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】ベースラインLDL-CレベルとLDL-C低下後の総死亡および心血管死亡との関連:系統的レビューおよびメタ分析(JAMA 2018)

Association Between Baseline LDL-C Level and Total and Cardiovascular Mortality After LDL-CLowering: A Systematic Review and Meta-analysis.

JAMA. 2018 Apr 17;319(15):1566-1579.

Navarese EP et al.

PMID: 29677301

研究の重要性

特定の致命的および非致死的なエンドポイントへの影響は、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)低下薬を用いた臨床試験では変化するようである。

研究の目的

ベースライン時のLDL-Cレベルが、総死亡および心血管死亡リスク低下と関連しているかどうかを評価する。

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【フォーミュラリー実践のために】ACE阻害薬による咳嗽と血管浮腫はどのくらいですか?(Ann Intern Med. 1992)

Cough and angioneurotic edema associated with angiotensin-converting enzyme inhibitor therapy. A review of the literature and pathophysiology.

Israili ZH et al.

Ann Intern Med. 1992 Aug 1;117(3):234-42.

PMID: 1616218

私的背景

古くから使用されているアンギオテンシン変換酵素阻害薬(angiotensin-converting enzyme inhibitor:ACE-I)、そして比較的新しいアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin Ⅱ receptor blocker:ARB)。ここの違いについて改めて検証していく。まずは ACE-I使用で懸念される咳嗽と血管浮腫について調べてみた。

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ピロリ菌除菌で胃がんを防げますか?①(CDSR2015:ピロリ菌除菌のベネフィット)

Helicobacter pylori eradication for the prevention of gastric neoplasia.

Ford AC et al.

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jul 22;(7):CD005583.

PMID: 26198377

背景

前回の記事でピロリ菌除菌によるリスクとベネフィットについて検討することとした。胃がんは、がん死亡の第3位である。

ピロリ菌除菌によるリスクとベネフィットはどのくらいか?(①導入編)

まずはベネフィットについてエビデンスを紹介する。

結論

ピロリ菌除菌による効果は限定的。胃がん発生率は減るが、胃がんによる死亡および全死亡は減らせなかった。

また食道扁平上皮がんの発生リスクは、有意差は無いものの増加傾向。

さらに前がん病変の有無に関わらず、ピロリ菌除菌による胃がん発生率の低下は認められなかった。


PICOT

P: 16歳以上の健康な無症候性ピロリ菌感染者

I : ピロリ菌の除菌

C: プラセボあるいは無治療

O: 胃がん発生率

T: 予後、最大6試験の統合、システマティックレビュー&メタ解析


批判的吟味

使用した文献データベースは何か?

Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL; 2013, Issue 11)、MEDLINE(1946 to DEC 2013)、EMBASE(1974 to DEC 2013)

検索語は?

不明

研究の種類は?

Randomized Controlled Trials(RCTs)

参考文献まで調べたか?

調べた。ハンドサーチ

個々の研究者に連絡を取ったか?

取った

出版されていない研究も探したか?

探した

同じ研究が複数報告されているか?

重複無し

英語以外で書かれた論文も探したか?

言語制限無し

研究は網羅的に集められたか?(出版バイアスは無いか?)

概ね集められているが、基準を満たせたのは1560試験中6試験。

集められた研究の評価はどのように行われたか?(各研究の評価は妥当か?)

2人の研究者が独立して行い、意見が分かれたときは3人目が判断した

評価基準は明確か?(Risk of Biasの評価基準は?)

明確(Cochrane Collaboration’s toolを使用)

研究の異質性は検討されたか?

I2 統計量を用い検討されている

最終的に残った研究数は?

6件

結果は統合されたか?

統合された。基本的には Rondam-effect modelを使用

Funding sources/sponsors

None

Conflict of interest

PM is the joint co-ordinating of the Cochrane Upper Gastrointestinal and Pancreatic Disease Group, however editorial decisions about this review were made by the other joint co-ordinating editor and independent peer reviewers.

 


結果は?

(表1. メタ分析の結果 — 論文より筆者作成)

 

・胃がん発生率 

 リスク比(Relative Ratio: RR)=0.66 [95%信頼区間 0.46〜0.95], +++, moderate

・胃がんによる死亡

 RR=0.67 [95%信頼区間 0.40〜1.11], +++, moderate

・全死亡

 RR=1.09 [95%信頼区間 0.86〜1.38], +++, moderate

・食道扁平上皮がん

 RR=1.99 [95%信頼区間 0.18〜21.91], +++, moderate

・有害事象

 0, 報告が少ないため評価できず。


コメント

バイアスリスク、フォレストプロットの検討はされていたが、統合された試験数が少ないためファンネルプロットは作成されていない。

ピロリ菌除菌による効果は限定的。胃がんは減るが、胃がんによる死亡や全死亡の結果は効果無し。そして食道扁平上皮がんの発生リスクは、有意差は無いものの増加傾向。

統合された試験数が少ないのは確かだが、胃がん発生率の効果推定値の幅は狭い。

感度分析の結果、前がん病変のない患者ではピロリ菌除菌による胃がん発生率 RR=0.42(95%CI 0.02〜7.69)。前がん病変のある患者では RR=0.86(95%CI 0.47〜1.59)。

積極的に除菌しましょうとは言えない結果であった。

(ベネフィットと言いつつリスクの方が強調されるような記載になってしまった)

 

 

-Evidence never tells you what to do-




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