【症例検討】フォルテオ®️を2年間しか使えない理由は?

フォルテオ®️を2年超使用すると安全性に懸念が生じるのか?

背景

以前から当薬局を利用している70歳代女性のBさん。ある日のこと、腰椎圧迫骨折を経験してから使用しているフォルテオ®️(テリパラチド)について、こんな質問があった。

「フォルテオ®️を使い始めてから骨密度が少し増えて、圧迫骨折もない。こんなに良い薬ならずっと使っていたいのだけれど、担当医からは “そろそろ2年経つので、別の薬を使うか、検査結果によっては経過観察にしようと考えている”と言われてしまった。2年以上使ったらダメなの?」

保険診療という側面からみれば「薬剤の適応および使用制限において上限が2年だから」となるのだが、Bさんが聞きたいことはそんなことではない。いわゆる “薬剤の適正使用” はBさんにとってはどうでも良いのだ。

そこでBさんに理解してもらえるよう情報収集を行った。

目的

以下の2点を明らかにする。

①フォルテオ®️(テリパラチド)使用制限2年の理由は?

②テリパラチドを2年超使用した臨床試験はないのか?ある場合の安全性および有効性は?

方法

PubmedおよびGoogle (and/or Google scholar )検索

結果

①フォルテオ®️(テリパラチド)使用制限が2年の理由は?

フォルテオ®️のインタビューフォーム(P.7およびP.91)から以下引用;

海外では、テリパラチド第III相試験の実施中にラットがん原性試験において骨肉腫を含む骨腫瘍性病変所見が認められたため、進行中であったすべての臨床試験を自主的に中止した。その後、イーライリリー・アンド・カンパニーは、サルにおける長期投与試験及び中止した臨床試験の追跡調査を実施し、米国食品医薬品局(FDA)との議論を重ねた結果、ラットで発生した骨肉腫がヒトにおいても発症する可能性は低いとされ、中止した臨床試験成績を用いて承認申請を行った。米国では、2002 年 11 月に骨折の危険性の高い閉経後骨粗鬆症女性の治療及び原発性又は性腺機能低下による骨粗鬆症を有する男性の骨量増加を適応として承認された。なお米国では、実施された臨床試験のテリパラチドの最大投与期間を考慮し、24 ヵ月を超えるテリパラチドの使用を推奨しないこととされている。また、2007 年 2 月にステロイド性骨粗鬆症 の効能追加申請を行い、2009 年 7 月に承認された。

テリパラチドの使用期間に2年の上限があるのは、ラットで骨肉腫を含む骨腫瘍性病変が認められたためのようだ。しかし、よりヒトに近いサルでは認められなかった。”念のため” という意味合いが強い制限であると考えられる。

②テリパラチドを2年超使用した臨床試験はないのか?ある場合の安全性および有効性は?

24ヶ月以上にわたりテリパラチドを継続使用している試験はみつからなかったが、2年使用し休薬1年後に再度テリパラチドを使用している文献があったので記載しておく。

Effects of teriparatide retreatment in osteoporotic men and women.

Randomized controlled trial

Finkelstein JS, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2009.
PMID: 19401368

結果を一部抜粋;

最初の12ヶ月間のテリパラチド投与と比較して、前立腺脊椎、側棘、大腿骨頸部および全身骨塩量の増加は、テリパラチドを再投与したとき、それぞれ53, 59, 93、および87%減少した。 各骨格部位において、テリパラチド療法の最初の期間(30ヵ月)および再治療の終了時(54ヵ月)のBMDは事実上同一であった。

→どうやら初回のテリパラチド投与に比べ,再投与時に骨塩量の増加は少ないようだ。しかし休薬期間と比較すると骨塩量は増加している。

試験の限界としては、主要アウトカムが骨塩量 bone mineral density (BMD) 、つまり代用のアウトカムであることではなかろうか。骨折や転倒、骨折による入院等については検討されていない。

ではテリパラチド使用後の治療はどうするのか?

テリパラチド治療の次はプラリア®️(デノスマブ)が良いのかもしれない

テリパラチドとデノスマブの併用、テリパラチドからデノスマブへの切り替え、デノスマブからテリパラチドへの切り替えについて、48ヶ月フォローした試験。結果としては、併用群が一番良さそうな結果だが、それぞれ単剤で使用していた場合は、テリパラチドからデノスマブへの切り替えが良さそう。とはいえ代用のアウトカムですけどね。

Effects of Teriparatide, Denosumab, or Both on Spine Trabecular Microarchitecture in DATA-Switch: a Randomized Controlled Trial.

Randomized controlled trial

Tsai JN, et al. J Clin Densitom. 2017 Oct – Dec.

PMID: 28624340

結果を一部抜粋;

24ヶ月後、海綿体スコア(spine trabecular bone score, TBS)は、テリパラチド群で2.7±4.7%(ベースラインではp = 0.009)、デノスマブ群では1.8±5.0%(ベースラインではp = 0.118)、併用群では4.5±6.7% (ベースラインに対してp = 0.017)、グループ間の有意差はなかった。

治療を切り替えた6ヵ月後(24〜30ヵ月)、TBSはデノスマブからテリパラチドへの切り替え群、およびデノスマブの併用群で増加し続けたが、デノスマブからテリパラチドへの切り替え群では-1.1±4.0%減少した (p <0.05 vs. 他の群)。

48ヶ月後、0ヶ月目と比較して、TBSは、テリパラチドからデノスマブへの切り替え群で5.1±5.8%、デノスマブからテリパラチドへの切り替え群で3.6±4.2%、および併用群で6.1±4.7%増加した(p <0.001、すべての群のベースライン、p =群間の差は有意ではない)。 テリパラチドからデノスマブに切り替えると背骨TBSも増加した。

Figure 2. 本文より引用

Mean percent change (SEM) from baseline in A. trabecular bone score and B. bone mineral density in the lumbar spine.

*P<0.05 for the 0–36 month change versus both other groups

**P<0.05 for the 24–30 month change versus both other groups

デノスマブとテリパラチドの併用は、今のところ私の周りではみたことがありません。

とするとテリパラチド(フォルテオ®️)からデノスマブ(プラリア®️)へのスイッチが良さそうですね。

考察

冒頭の症例に戻り、個人的見解からすると、まず骨密度の検査結果をみることがセオリーかなと(当たり前って言わないで〜)。検査結果からフォルテオ®️を2年使用後に中止し、そのまま経過観察するか、プラリア®️に切り替えても良いのかなと。

ビスホスホネート製剤を使用するという選択肢もありますね。

フォルテオ®️を2年超使用したデータは見つからなかったので、2年目以降の効果は不明かつ保険で治療できなくなる旨お伝えすることになるのかな。そして半年に1回で済む治療法がありますよとお伝えするのかな。すこしモヤモヤする。

この分野についても継続して情報収集していこうと思います。

そうそうNon-Human Primate(非ヒト霊長類)のデータ以外は、つまりラットやマウス、ラビット、イヌ、モルモットetc のデータは参考程度で良いと思います。それぐら小動物の結果をヒトへ外装するのは難しいです。

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