抗菌薬を正しく使うには?(世界抗菌薬啓発週間2018.11.12〜11.18)

風邪やインフルエンザに抗菌薬は効かない

誤った認識を正し、適正な行動へとつなげよう

2018年11月11日のNHKニュースに抗菌薬に対するアンケート調査結果が取り上げられていました。掲載期間が1週間とのことですので、ここに概要を取り上げておきます。

以下、抜粋。

国立国際医療研究センター病院は、インターネットを利用して全国の10代〜60代までの一般の男女721人に対して、抗菌薬に対するアンケート調査を行った。

「抗菌薬がどのような病気に有用か」という質問に対して、「かぜ」と答えた人が49.9%、「インフルエンザ」と答えた人は49.2%と、ほぼ半数の人が誤って認識していることが分かった。

また「かぜで受診した時に処方してほしい薬」として、30.1%の人が「抗菌薬」と答えた。

 

風邪の大半、インフルエンザの原因はウイルスです。そもそも細菌や真菌、ウイルスの違いはどこにあるのでしょうか。

大幸薬品のホームページにわかりやすい記載がありましたので、是非そちらをご覧ください。

↓クリックでURL先に飛びます。

病原体:ウイルスと細菌と真菌(カビ)の違い

つまりウイルスには抗ウイルス薬、細菌には抗菌薬、真菌(カビ)には抗真菌薬が効くということです。

何でもかんでも抗菌薬を使用するということは、テニスラケットをもって野球のバッターボックスに立つようなものです(他に上手い例えがありましたら教えてください)。

 

抗菌薬の誤った使い方がもたらす未来とは

それは耐性菌(AntiMicrobial Resistance: AMR)による人類の破滅です。AMR Reviewによると、耐性菌による年間の死亡者数は2013年では70万人、2050年には1,000万人にものぼるようです。

 

 

そして、2050年に推定されるAMRによる年間の死亡者数1,000万人のうち、約47%を占める4,730,000人はアジア圏の人間であることが推測されています。

World Antibiotic Awareness Week

上述の問題点を解消するためには、私たち一人一人が誤った認識を改め、抗菌薬を適正に使用する必要があります。これは日本に限った話ではなく、世界中で起こっている非常に大きな問題です。世界保健機構(World Health Organization: WHO)も本問題について警鐘を鳴らしています。WHOのホームページにWorld Antibiotic Awareness Weekについて掲載されていますので、興味がある方は是非ご参照ください。

※以下は、World Antibiotic Awareness Weekの各テーマです。

12 Nov 2018, Day 1 –Awareness and Behaviour Change

13 Nov 2018, Day 2 –Global Surveillance and Research

14 Nov 2018, Day 3 –Infection Prevention Control, WASH and the Environment

15 Nov 2018, Day 4 –Optimising use of antimicrobials in human and animal health

16 Nov 2018, Day 5 –Investment and R&D in AMR

 

意識と行動の関係性

マザーテレサの残した言葉に以下のようなものがあります。

“思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。

言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。

行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。

習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。

性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。”

 

前提を疑おうとすることで、無意識を意識化することができ、明日への行動へと繋がっていきます。今まで当たり前だと信じて行ってきたことが、実は誤っていたことは往々にしてあるものです。

抗菌薬は決して万能薬ではなく、必要な患者に、ここぞというときに使うリーサル・ウェポン的な存在であることを、医療従事者が改めて意識してみるのはいかがでしょうか。そして患者側も不必要に抗菌薬を欲しがらない、抗菌薬に頼らないようにし、治療方針の相談と適切な治療を要望する姿勢を目指してみるのはいかがでしょうか。

 

人類の未来は、我々一人一人の意識と行動変容にかかっています。