【メモ】レクサプロ®️使用によるQT延長はどのくらい起きますか?

市販後調査が延長に?

PMDAから指示されているレクサプロ®️(エスシタロプラム)の市販後調査は、当初2018年まででしたが、検討会を経て2021年4月21日まで延長されました1)

2018年10月現在、レクサプロ®️(エスシタロプラム)使用によるQT延長症候群およびTorsades de Pointesの発現頻度は、添付文書上「頻度不明」のままです2)。そこで文献検索を行い、エスシタロプラムを日本人へ使用した場合に、QT延長がどのくらいの頻度で起こるのか調査した。

結論

日本人を対象とした2つの臨床研究では、どちらも症例数200弱と少なく、QT延長の発生頻度に関しては1報のみであった。

結果はエスシタロプラム使用群で6.3%。研究数・症例数ともに少ないため続報を待ちたい。


文献1:Long-term administration of escitalopram in patients with social anxiety disorder in Japan

2016年に報告された日本人を対象とした研究結果3)

(Table 1. 本文より引用)

・男女79例ずつ、計158例が対象。

・有害事象(一部抜粋)

傾眠(24.7%)

吐き気(19.0%)

QT延長(6.3%)

→エスシタロプラム10 mg使用においては、500 msを超えるような重篤なQT延長は認められなかった。またCYP2C19 EMsとPMsとで差は認められなかった。


文献2:A randomizeddouble-blindplacebo-controlled study of escitalopram in patients with socialanxiety disorder in Japan.

同じく2016年に報告された日本人を対象とした研究結果4)。著者も同じ。

(Table 1. 本文より引用)

・男110例、女86例、計196例を対象。

・有害事象(一部抜粋)

傾眠(18.2%)

吐き気(14.6%)

QT延長(発生頻度の記載なし)

→エスシタロプラム10 mg使用においては、3.0 ms(95% CI: 0.1〜5.8)。またCYP2C19 EMsとPMsとで2倍の差があった。

PMs =4.6 ms(P =0.241)、EMs =2.6 ms(P =0.143)


文献3:Comparative efficacy and acceptability of 12 new-generation antidepressants: a multiple-treatments meta-analysis.

抗うつ効果忍容性について、従来薬との比較結果があったので記載。

2009年に発表されたネットワーク・メタ解析の論文5)です。一応Fundingは無いらしい。COIはきちんと開示されている。

(文献5の結果を作図した文献から引用)

Fluoxetine(日本未承認)オッズ比 =1として他薬のオッズ比(Odds Ratio: OR)を算出しています(上図参照)。以下には本文の結果を示します。

・ミルタザピン、エスシタロプラム、ベンラファクシン、およびセルトラリンは、デュロキセチン、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、レボキセチンよりも効果的であった。

vs. Duloxetine(サインバルタ®)

Mirtazapine(レメロン®、リフレックス®) OR =1.39

Escitalopram(レクサプロ®) OR =1.33

Venlafaxine(イフェクサー®) OR=1.28

Sertraline(ジェイゾロフト®) OR =1.274

 

vs. Fluoxetine(日本未承認)

Mirtazapine(レメロン®、リフレックス®) OR =1.37

Escitalopram(レクサプロ®) OR =1.32

Venlafaxine(イフェクサー®) OR=01.28

Sertraline(ジェイゾロフト®) OR =1.25

 

vs. Fluvoxamine(ルボックス®、デプロメール®)

Mirtazapine(レメロン®、リフレックス®) OR =1.41

Escitalopram(レクサプロ®) OR =1.35

Venlafaxine(イフェクサー®) OR=1.30

Sertraline(ジェイゾロフト®) OR =1.27

 

vs. Paroxetine(パキシル®)

Mirtazapine(レメロン®、リフレックス®) OR =1.35

Escitalopram(レクサプロ®) OR =1.30

Venlafaxine(イフェクサー®) OR=1.27

Sertraline(ジェイゾロフト®) OR =1.22

 

vs. Reboxetine(日本未承認)

Mirtazapine(レメロン®、リフレックス®) OR =2.03

Escitalopram(レクサプロ®) OR =1.95

Venlafaxine(イフェクサー®) OR=1.89

Sertraline(ジェイゾロフト®) OR =1.85

 

・Reboxetine(日本未承認)は、試験した他の抗うつ薬すべてより有意に効果が低かった。

・エスシタロプラムおよびセルトラリンは、許容性のプロファイルが最良であり、デュロキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、レボキセチンおよびベンラファキシンよりも服薬中断がはるかに少なかった。


コメント

エスシタロプラムは既存薬に比べ、抗うつ効果や忍容性が優れていそう。しかし、重篤な副作用の頻度は依然として不明なまま。続報を待ちたい。

 

 

参考文献

  1. 2018年4月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録
  2. レクサプロ®️ 添付文書(記事公開時点)
  3. Asakura S et al. Long-term administration of escitalopram in patients with social anxiety disorder in Japan. Neuropsychiatr Dis Treat. 2016 Jul 22;12:1817-25. PMID: 27524899
  4. Asakura S et al.A randomizeddouble-blindplacebo-controlled study of   escitalopram in patients with socialanxiety disorder in JapanCurr Med Res Opin. 2016;32(4):749-57. PMID: 26808688
  5. Cipriani A et al. Comparative efficacy and acceptability of 12 new-generation antidepressants: a multiple-treatments meta-analysis. Lancet. 2009 Feb 28;373(9665):746-58. PMID: 19185342

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です