高血圧患者に対する降圧目標と心血管疾患(CDCR 2018)

Blood pressure targets for the treatment of people with hypertension and cardiovascular disease.

Saiz LC et al.
Cochrane Database Syst Rev. 2018 Jul 20;7:CD010315. doi: 10.1002/14651858.CD010315.pub3.
PMID: 30027631

バックグラウンド

これは2017年に公表されたレビューのファーストアップデートである。

高血圧症は早期罹患と死亡の予防可能な主要原因である。高血圧および確立された心血管疾患を有する人々は特にリスクが高いため、血圧を標準的な目標値よりも下げることが有益であり得る。この戦略は、心血管死亡および罹患率を低下させる可能性を有しているが、有害事象を増加させる可能性もある。

高血圧および心血管疾患を有する集団における最適な血圧目標は未知のままである。

目的

高血圧患者および心血管イベント(心筋梗塞、狭心症、脳卒中、末梢血管閉塞性疾患)の既往を有す高血圧患者において、「標準」血圧目標(140〜160/90〜100 mmHg以下)と比較して、「低い」血圧目標(≦135/85mmHg)が死亡および罹患率の低下と関連しているかどうかを判断する。

検索方法

Cochrane高血圧症専門医は、2018年2月までのランダム化比較試験について、以下のデータベースを検索した:

 

①Cochrane Hypertension Specialized Register

②Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)

③MEDLINE(1946年~)、Embase(1974年~)

④Latin American Caribbean Health Sciences Literature (LILACS, 1982年~)

⑤世界保健機関国際臨床試験登録プラットフォーム(World Health Organization International Clinical Trials Registry Platform)

⑥ClinicalTrials.gov

 

関連する論文の著者に、出版されたデータ及び未発表のデータについても連絡を取り確認した。

言語の制限は適用しなかった。

選択基準

1グループあたり50人以上の参加者を含み、少なくとも6カ月間のフォローアップを提供したランダム化比較試験(randomized controlled trials, RCT)を含めた。

試験報告書は、少なくとも1つの主要アウトカム(総死亡、重篤有害事象、総心血管イベント、心血管死亡)についてのデータを提示している研究とした。

対象となる介入には、標準的な血圧目標(140〜160/90〜100 mmHg以下)と比較して、より低い収縮期/拡張期血圧(135/85 mmHg以下)を目標とする試験が含まれていた。

参加者は、高血圧の成人であり、心筋梗塞、脳卒中、慢性末梢血管閉塞症または狭心症の心血管イベント既往を有し、高血圧治療を受けていた。

データ収集と分析

2人のレビューワーが独立して検索結果を評価し、Cochraneが期待する標準的な方法論的手順を用いてデータを抽出した。

主な結果

合計9,484人の参加者を含む6つのRCTを含めた。平均フォローアップは3.7年(1.0〜4.7年)であった。

全てのRCTは個々の参加者データを提供した。

総死亡は危険率(Risk Retio, RR)1.06, 95%信頼区間(confidence interval, CI) 0.91~1.23心血管死亡はRR =1.03, 95%CI 0.82~1.29)であり、両群間で差は認められなかった(moderate-quality evidence)。

同様に、重篤な有害事象(RR =1.01, 95%CI 0.94〜1.08; low-quality evidence)または心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、突然死、入院、うっ血性心不全による死亡を含む)RR =0.89, 95%CI 0.80〜1.00; low-quality evidence)。

より低い血圧を目標とした群では、副作用による試験からの脱落が多かった(RR =8.16, 95%CI 2.06〜32.28; very low-quality evidence)。

血圧は、より低い血圧を目標とした群において、8.9/4.5 mmHg低くなった。

より低い血圧を目標とした群では、より多くの薬剤が必要であったが、標準血圧を目標とした群では、血圧目標がより頻繁に達成された。

著者の結論

高血圧および心血管疾患患者における死亡率の差、重篤な有害事象、または全心血管イベントの差について、標準血圧を目標に治療した場合と、より低い血圧を目標にした場合とで変化が認められなった。

収縮期血圧目標が低いほど正味健康への便益が得られないことを示唆している。有害事象に関する非常に限られたエビデンスを発見したが、不確実性が高かった。

現在のところ、高血圧と確立された心血管疾患を有する集団のより低い血圧目標(≦135/85mmHg)を正当化するには、エビデンスが不十分である。

このトピックを検討するにはさらに多くの試行が必要。


コメント

個々に治療目標が異なることは百も承知ですが、現段階で治療目標は、ほどほどで良さそうですね。

統合された試験が6つ、フォローアップ期間が4年弱ですので、今後、結果が覆る可能性は十分にあると思います。

 

 

 

-Evidence never tells you what to do-




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