COPD患者にβ遮断薬を使用しても良いですか?②(Chest. 2018)

β-Blockers in COPD: A Cohort Study From the TONADO Research Program.

Maltais F et al.

Chest. 2018 Jun;153(6):1315-1325. doi: 10.1016/j.chest.2018.01.008. Epub 2018 Jan 31.

PMID: 29355547

FUNDING/SUPPORT

This work was supported by Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG. Medical writing assistance was contracted and compensated by Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG

私的背景

引き続きCOPDにおけるβ遮断薬使用がテーマです。Chestに最新の研究(といっても事後解析ですが…)が報告されていたので読んでみました。

前回の記事はこちら↓

COPD患者にβ遮断薬を使用しても良いですか?①(CDSR. 2005)

結論

中等度〜超重度のCOPD患者におけるスピオルト®️(チオトロピウム/オロダテロール配合剤)使用は、肺機能、全般的な呼吸状態およびベースライン時のβ遮断薬治療の影響を受けなかった。 本患者集団の結果は、COPDおよび心血管合併患者におけるβ遮断薬の慎重かつ適切な使用を支持する結果であった。


PECOTS

P:Global initiative for chronic Obstructive Lung Disease[GOLD]で2〜4の患者が対象

E :TONADO試験登録時にβ遮断薬を使用していた患者557名(試験参加者の11%)

C:ベースライン登録時にβ遮断薬を使用していなかった患者4,605名

O: 24および52週間目における①FEV1応答(ベースラインからの変化)および②FVC応答③St. George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)総スコアおよび④Transition Dyspnea Indexスコア、⑤研究者からの有害事象Adverse Event報告(AE、重篤AE、致死性AE、試験中止につながるAE、臓器クラスのAEが頻度としては最も高かった)および⑥COPD悪化頻度

中等度の悪化は、入院をせずに抗生物質または全身性ステロイドを必要とするものであり、重度の悪化は入院を必要とするものであった。

T: ランダム化比較試験の事後解析、害

S: TONADO 1および2複合の事後解析(5,162例中、β遮断薬を使用していた11%の557例が対象)


組入基準

ランダム化された患者は、中等度〜非常に重度の慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)を有す患者であった(Global initiative for chronic Obstructive Lung Disease[GOLD]で2〜4の患者が対象)。

気管支拡張後の①1秒間の努力呼気容量(forced expiratory volume in 1 second: FEV1)予測正常値が80%未満、②FEV1 /努力肺活量(forced vital capacity: FVC)が70%未満、③喫煙歴が10 pack-years超の現喫煙者あるいは元喫煙者。

除外基準

COPD以外の重大な疾患(研究参加のために患者を危険にさらした可能性がある疾患、研究の結果への参加または影響を受けた患者に影響を与えた疾患)、喘息の既往歴、スクリーニング1年以内の心筋梗塞、不安定または生命を脅かす不整脈、生命を脅かす肺の閉塞、患者が診察中に息を止めることができなかった場合、または肺リハビリテーションプログラムに参加している患者で日中の定期的な酸素使用(あるいはスクリーニング前の6週間で完了している場合)。


批判的吟味

研究デザインは?

ランダム化比較試験の事後解析

 

ランダム割付は隠蔽化されていたか?

不明

 

追跡期間は?

約1年

 

結果に影響を及ぼす程の脱落はあるか?

概ね問題無いと考えられる。

β遮断薬使用群 :468名が試験完遂(84.0%

→脱落89名(16%)

β遮断薬非使用群:3,900名が試験完遂(84.7%

→脱落705名(15.3%)

 

アウトカムの観察者はマスキングされているか?

されていた。

TONADO試験はランダム化二重盲検比較試験だったが、事後解析(サブグループ解析)のためランダム化は崩れている。

 

交絡因子の調整は?

性別、年齢、喫煙歴、並存疾患(心疾患)、気管支拡張薬使用前後のFEV1、GOLDステージ、ベースライン登録時の肺疾患治療薬の使用率、β遮断薬使用率

 

Base lineは同等か?

GOLDや薬剤使用割合に差がある。

 

ITT解析か?

Full Analysis Set(FAS)である

 


結果は?

(本文Figure 2より引用)

 

COPDの増悪

 ハザード比 =0.878(95%CI =0.732〜1.053), P =0.1604

 

安全性は?

差が認められなかった。しかし個々のアウトカムを見てみると、重度の有害事象については、β遮断薬使用群において、やや多いように感じる(β遮断薬 19.4%  vs.  使用群 16.0%)。しかし、呼吸器系の有害事象(呼吸器、胸郭および縦隔障害)についてはβ遮断薬使用群で多かった(7.2% vs. 5.4%)。

心疾患についてはβ遮断薬使用群で多い傾向にあった(3.2% vs. 1.6%)が、患者背景から元々、心血管リスクの高い患者集団においてβ遮断薬が使用されていたためであると考えられる。

致死的な有害事象の発生率は両群で低かった(β遮断薬群では2.0%使用群では1.4%)。両群における致死的な有害事象の最頻イベントは、心臓障害(β遮断薬群では1.1%使用群では0.3%)であった。
Major Adverse Cardiovascular Events(MACEs)の発生率は低く、β遮断薬使用群では2.7%使用群では2.0%であった(data noto shown)。


コメント

前回のコクランの結果と同様であった。COPD患者へ(心臓選択的)β遮断薬を使用しても呼吸機能の悪化は認められなかった。効果推定値では、むしろ呼吸器機能や心血管イベントは減少傾向であった。

 

 

 

-Evidence never tells you what to do-




👇 ポチッていただけますと喜びます。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です