【CQ受け取りましたシリーズ】ラニナビルによるインフルエンザ予防効果はどのくらいですか?

Laninamivir octanoate for post-exposure prophylaxis of influenza in household contacts: a randomized double blind placebo controlled trial.

Kashiwagi S et al.

J Infect Chemother. 2013 Aug;19(4):740-9.

PMID: 23732307

資金提供

第一三共株式会社(イナビル®の製造販売元)

 

利益相反COI or 開示disclosure

S.K, A.W. and H.I. have received consultancies of this trial from Daiichi Sankyo Co., Ltd. S.K. has received lecture fees from GlaxoSmithKline K.K. and Daiichi Sankyo Co., Ltd. A.W. has received research grants from Astellas Pharma Inc, KYORIN Pharmaceutical Co., Ltd., Shionogi & Co., Ltd., Daiichi Sankyo Co.,Ltd., Taisho Pharmaceutical Co., Ltd., Dainippon Sumitomo Pharma Co., Ltd., Taiho Pharmaceutical Co., Ltd., TOYAMA CHEMICAL CO., LTD., and Meiji Seika Pharma Co., Ltd.; A.W. has received lecture fees from ABBOTT JAPAN CO., LTD., MSD K.K., Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd., GlaxoSmithKline K.K., Shionogi & Co., Ltd., Daiichi Sankyo Co., Ltd., Taisho Toyama Pharmaceutical Co., Ltd, Dainippon Sumitomo Pharma Co., Ltd., Mitsubishi Tanabe Pharma Corporation, and Bayer Yakuhin, Ltd. H.I. has received research grants and lecture fees from GlaxoSmithKline K.K. and Daiichi Sankyo Co., Ltd. All other authors were from Daiichi Sankyo Co., Ltd.

私的背景

2017年12月のある寒い日、会議後の飲み会の席で同僚から「イナビル®︎のインフルエンザ予防効果ってどのくらいですか?1週間ぐらいですかね?」と唐突に質問された。

「CQ受け取りましたシリーズ」の始まりである。

結論

添付文書の記載(本剤の服用開始から10日以降のインフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は確認されていない)と同じく、投与後10日以内はインフルエンザ予防効果があるようだ。ただしこれはインフルエンザウイルス暴露後の予防投与である。

プラセボとの絶対差は 13%、NNT=8。有害事象はプラセボと同じぐらい。

 


組入基準

世帯内でインフルエンザを発症した者(index patient)と 48時間以内に接触した 10歳以上の世帯員を組み入れた。参加者としては組み入れ時に 36.9℃以下の腋窩温度を有し、インフルエンザ様の症状がない、つまりインフルエンザに罹患していない患者。Index patientは、迅速診断キットによりインフルエンザ Aまたは Bウィルスに感染した人物と定義された。

除外基準

Index patientに加えて他の家族の感染がある場合。インフルエンザワクチン接種、重度の腎機能障害、ノイラミニダーゼ阻害剤に対する過敏症、コルチコステロイドまたは他の免疫抑制剤による治療、または4週間以内のノイラミニダーゼ阻害剤による治療を受けた患者。
妊娠中の女性、授乳中の女性、試験中に妊娠を希望する女性も、参加者と次世代の安全を考慮して除外した。


PICOTS

P:家庭内にインフルエンザ感染者を有する 10歳以上のインフルエンザにかかっていない対象者

I :ラニナビル20 mgを 1日1回吸入、2日間(LO-2)、n=487

ラニナビル20 mgを 1日1回吸入、3日間(LO-3)、n=486

C:プラセボ、n=478

O:10日間のインフルエンザ発症割合

T:予防、ランダム化比較試験、ダミーあり(3日目)、多施設

S日本のプライマリ・ケア・クリニック 80施設、2011年11月〜2012年4月に実施


批判的吟味

RobotReviewerによる Risk of Bias Table

ランダム割り付けされているか?(観察者バイアスはないか?)

Yes

ブラインドされているか?(マスキングにより観察者バイアスは抑えられているか?

Yes

隠蔽化されているか?(選択バイアスはないか?)

Yes:コンピューターによるブロックランダム割付(中央割付の一種)、施設・インフルエンザウイルスのタイプにより層別化

プライマリーアウトカムは真か?明確か?

代用だが、今回は予防が目的のため真とした

交絡因子は網羅的に検討されているか?

できる限りされている。

Index patientに対して PCRを実施しているか不明(組み入れられた患者については実施)。迅速診断キットのみの判定で良いのかは疑問が残っていた。しかし、組み入れ時の偽陰性患者を PCRで確認後に解析から除外しているので妥当であると考えられる。

Baseline は同等か?どんな患者背景?

ほぼ同等。参加者の平均年齢は 34歳。Index patientは 7-8歳。

ITT 解析されているか?

mITT解析。

プライマリーアウトカムについては、Full Analysis Set(FAS)index-infected virus-negative at baseline:FASIINAB。

有害事象は FAS。

追跡率(脱落)はどのくらいか?結果を覆す程か?

Baselineと解析時の numberを見ると追跡率 100%。

サンプルサイズは充分か?

充分。power=80%で各群 470例あれば良い。

インフルエンザ感染に対するラニナミビルの保護効果が少なくとも 70%得られる計算。治験中に臨床的インフルエンザを経験するであろう参加者の割合は、ラニナミビル群で 1.65%、プラセボ群で 5.5%であると仮定( 2009年に実施されたラニナミビル予防試験に基づいている)。


結果は?

プライマリーアウトカム

インフルエンザ罹患

 LO-2    :19 / 487(3.9%

 LO-3    :18 / 486(3.7%

 プラセボ:81 / 478 (16.9%

 

プラセボとの絶対差

 LO-2:13.0%NNTP=8

 LO-3:13.2%(NNTP=8)

 

セーフティアウトカム

有害事象

 LO-2    :13.4%(74 / 552)

 LO-3    :13.0%(72 / 553)

 プラセボ:11.6%(65 / 559)

鼻咽頭炎

 LO-2    :2.2%

 LO-3    :3.3%

 プラセボ:2.5%

上気道炎

 LO-2    :2.2%

 LO-3    :3.3%

 プラセボ:2.5%

薬物関連の有害事象

 LO-2    :3.1%(17 / 552)

 LO-3    :4.7%(26 / 553)

 プラセボ:2.7%(15 / 559)

 

死亡、その他の重大な有害事象の報告はなかった。

考察

製薬メーカーの影響が強そうだけど、試験はしっかりと実施されてそう。

1日1回吸入、2日間と 3日間で差は認められなかった。プラセボと比べ予防効果はあるが、この 13.0%(NNTP=8)をどう受け取るのかは個々の感覚ですな。あと対象者は 、インフルエンザ罹患者と接触していた 20〜40歳ぐらいという背景を有しており、インフルエンザウイルス暴露後の予防投与(PEP)であることを念頭におく必要がある。つまり全く暴露の無い状態での効果は不明。

他の年齢については、コクランとかで報告されていそう。

 

 

 

-Evidence never tells you what to do-




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