2型糖尿病患者の降圧療法においてアンギオテンシン-アルドステロン ブロッカーへの追加薬は何が良いですか?(CJASN 2018)

Add-On Antihypertensive Medications to Angiotensin-Aldosterone System Blockers in Diabetes. A Comparative Effectiveness Study

Schroeder EB et al.

The Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2018

PMID: 未

背景と目的

糖尿病患者の重大な腎臓イベントのリスクについて、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)またはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)への(他クラスの)降圧薬追加による有効性の比較は依然として不明である。

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Proton Pump Inhibitor(PPI)長期使用による生殖機能への影響はありますか?(Fetil Steril 2016;charge)

Are proton-pump inhibitors harmful for the semen quality of men in couples who are planning pregnancy?

Huijgen NA et al.

Fertil Steril. 2016 Dec;106(7):1666-1672.e2.

PMID: 27743698

背景

今日までに Proton Pump inhibitor(PPI)長期使用による “認知症”、”低 Mg血症”、”骨粗鬆症・骨折”、”ビタミン B12の欠乏”、”鉄の欠乏”、”間質性腎炎”、”市中肺炎”、”感染性腸炎” 等のリスク増加が報告されている。しかし生殖機能への影響は不明である。そこで、妊娠を計画しているカップルのうち proton pump inhibitor長期服用中の若い男性における精液パラメータへの影響を後向きに検討した。

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【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】コレステロールの低下は臨床的利益をもたらす?(Clin Ther. 2007)

Cholesterol reduction yields clinical benefits: meta-analysis including recent trials.

Gould AL et al.

Clin Ther. 2007 May;29(5):778-794.

PMID: 17697899

利益相反

著者全員が Merkの社員

資金提供

Merck/Schering Plough

私的背景

前回に引き続き、コレステロール低下により恩恵を受けるのは誰か、探っていきます。前回の記事はこちら↓

【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】SEAS trial(N Engl J Med. 2008)

今回の文献は少し古いのですが、解析すうが多いため読んでみました。

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【フォーミュラリー実践のために】高血圧患者における ACE阻害薬と ARBはどちらが優れてますか?(Eur J Prev Cardiol. 2017)

Angiotensin-converting enzyme inhibitors reduce mortality compared to angiotensin receptor blockers: Systematic review and meta-analysis.

Salvador GL et al.
Eur J Prev Cardiol. 2017 Dec;24(18):1914-1924.
PMID: 28862020

試験の背景

高血圧集団におけるアンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)またはアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)長期使用の結果を比較するレビューはほとんどありません。それは両方とも同様に血圧低下作用があるためです。
高血圧患者における AC-Iまたは ARBとプラセボ群とを比較した研究はなかった。なぜなら前述の比較デザインを検証した研究が殆どないからです。

方法

2000年1月1日〜2015年12月31日まで PUBMED、LILACS、SCIELO、ICTRP、Cochrane、EMBASEおよび ClinicalTrials.govを系統的に検索し、ACE-Iまたは ARB使用と心血管アウトカムとの関係について検討した前向き研究を選択した。
心血管アウトカムは次の通り:①心不全/入院、②脳卒中、③急性心筋梗塞、④全心臓血管死、⑤全死亡および⑥全アウトカム。
集団オッズ比(ORs)と 95%信頼区間(CIs)を固定効果モデルを用いて組み合わせた。

結果

17試験(n = 73,761)には ACE-I(n =12,170)の 5試験と ARB(n =24,697)の 12試験が含まれていた。
ACE-I使用は、全死亡(OR =0.85, 95%CI 0.78〜0.93)および心血管死(OR =0.77, 95%CI 0.69〜0.87)を有意に減少させた。
ARB使用は、全死亡(OR =1.02, 95%CI 0.96〜1.09)または心血管死(OR =0.95, 95%CI 0.86〜1.06)を減少させなかった。
急性心筋梗塞脳卒中心不全/入院については、両クラスともに有意な減少を示した。

結論

ACE-Iまたは ARBの使用は、急性心筋梗塞、脳卒中および心不全/入院に関する主要な心血管アウトカム予防において同様であった。しかし、ACE-Iの使用は、ARBよりも総死亡および心血管死を低減する上でより有効であった。

キーワードMeta-analysis; angiotensin II receptor blocker; angiotensin-converting enzyme inhibitor; hypertension; outcomes


コメント

アブストのみ。網羅的に論文検索を行っていることがわかる。またアウトカムはほぼハード。統合された論文数は 17と多い。
本結果は過去の報告と矛盾しない。ARBよりも ACE-Iの方が優れていそう。
コストも踏まえれば、まずは ACE-Iで充分ではないでしょうか。
大体のことに言えるかもしれませんが、「新しかろう, 良かろう」からは、そろそろ決別したほうが良いと思う。

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ピロリ菌除菌で胃がんを防げますか?②(N Engl J Med. 2018)

Helicobacter pylori Therapy for the Prevention of Metachronous Gastric Cancer.

Choi IJ et al.

N Engl J Med. 2018 Mar 22;378(12):1085-1095.

PMID: 29562147

ClinicalTrials.gov number, NCT02407119.

研究資金

the National Cancer Center, South Korea(0310050, 0410450, 0610080, 0910100, 1210230, 1310280, and 1610180)

COI

無し(らしい)


試験背景

胃粘膜または粘膜下組織に限局した初期の胃癌患者は、通常、粘膜腺組織の進行性喪失(腺萎縮)を有し、新規胃がんの発生およびその後(異時性)の病態進行リスクが高い。

組織学的改善および異時性胃癌の予防に対するヘリコバクターピロリ(以下、ピロリ)除菌治療の長期的な効果は依然として不明である。

方法

前向き二重盲検プラセボ対照ランダム化試験には、早期胃癌または高悪性度腺腫の内視鏡的切除を受けた 470人の患者が組み入れられた。参加者はプラセボまたは抗生物質によるピロリ除菌療法を受けた。

プライマリーアウトカムは、①3年間の追跡期間中における、胃体部(底部)小弯の腺萎縮のグレードにおけるベースラインからの改善累積および② 1年間のフォローアップまたはそれ以降に行われた内視鏡検査で検出された異時性胃がんの発生率であった。

結果

計 396人の患者が、mITT集団(治療群194人、プラセボ群 202人)に含まれていた。

追跡期間は 5.9年(中央値)で、ピロリ除菌群では 14例(7.2%)、プラセボ群では 27例(13.4%)で異時性胃がんが発生した。

  ハザード比 =0.50, 95%CI 0.26~0.94(P =0.03)

組織学的分析を受けたサブグループ 327人の患者のうち、胃底部の小弯における萎縮グレードのベースラインからの改善は、ピロリ除菌群 48.4%、プラセボ群 15.0%において観察された(P < 0.001)。

重大な有害事象はなかったが、軽度の有害事象は治療群でより一般的に認められた(42.0% vs. 10.2%, P <0.001)。

結論

ピロリ除菌治療を受けた早期胃癌患者は、プラセボ群と比べ、胃底部委縮グレードにおけるベースラインからの改善程度が大きかった。また異時性胃がんの発生率が低かった。 


コメント

アブストのみ(NEJMの文献はブログに書きづらくて困ります)。NEJMに 2018年の 3月 22日(日本時間)に掲載されました。

ピロリ菌除菌と異時性胃がん(1年以上経てから新たに初発部位とは別の場所に発生した胃癌)発生率について検討したダブルブラインドのランダム化比較試験。貴重な報告だと思います。しかし、健常人は含まれていません。ここ注意。

まず試験の解析は Full Analysis Setでしょうか。試験解析には 396名、組み入れ時から 74名が除外されています。 

ピロリ除菌により異時性胃がんが減少したとのこと。他のがんの発生率についてはアブストからは不明です。また重大な有害事象はなかったものの、軽度の有害事象は 4倍。

今回の論文を通して、胃がんの発生部位と胃がん発生率についても学べた。噴門部は 20%、胃体部は 30%、幽門部は 40%とのこと(あと 10%はどこ?) 。さらに大弯より小弯の方が胃がん発生率は高いようです。

また胃がんは Epstein-Barr(EB)ウイルスによっても発生するようです。EBウイルスは幽門部、H.ピロリは胃体部に住み着いているようです。

本文献では胃体部の小弯における胃がん発生について内視鏡下で検討しています。発生部位についてはよく検討されていると感じました。また組織学的分析のデータ数も過去の報告に比べると多い方だと思います。全文読みたいところ。

 

 

 

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【フォーミュラリー実践のために】ACE阻害薬による咳嗽と血管浮腫はどのくらいですか?(Ann Intern Med. 1992)

Cough and angioneurotic edema associated with angiotensin-converting enzyme inhibitor therapy. A review of the literature and pathophysiology.

Israili ZH et al.

Ann Intern Med. 1992 Aug 1;117(3):234-42.

PMID: 1616218

私的背景

古くから使用されているアンギオテンシン変換酵素阻害薬(angiotensin-converting enzyme inhibitor:ACE-I)、そして比較的新しいアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin Ⅱ receptor blocker:ARB)。ここの違いについて改めて検証していく。まずは ACE-I使用で懸念される咳嗽と血管浮腫について調べてみた。

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【メモ】臨床検査値の SI単位換算(Ann Intern Med. 1987.)

Implementation of SI units for clinical laboratory dataStyle specifications and conversion tables.

Young DS et al.

Ann Intern Med. 1987 Jan; 106(1): 114-29.

PMID: 3789557

私的背景

論文を読んでいると、コレステロールやホルモン等の検査値が国際単位系(International System of Units:SI)で記載されているものがある。

今更ながら自分用メモとしてまとめておく。

“【メモ】臨床検査値の SI単位換算(Ann Intern Med. 1987.)” の続きを読む

【コレステロールを下げた方が良いのはダレか?】SEAS trial(N Engl J Med. 2008)

コレステロールを下げた方が良いのはダレか?シリーズ:SEAS trial

私的背景

リピトール®(アトルバスタチン)とゼチーア®(エゼチミブ)の合剤、アトーゼット®配合錠が 2018 5月に発売予定との情報を得た。

エゼチミブの効果として記憶に新しいのは IMPROVE-IT試験。エゼチミブ追加により心血管イベントを絶対差で 2.0%低下させる結果であった。

一方、コレステロール値の過度な低下は死亡リスクを増加させる可能性が示唆されている。しかし、その報告の大部分は観察研究であり、もともと死亡リスクの高い患者でコレステロール値が低くなっていた可能性も考えられる。

そこで今回、コレステロールを下げた方が良いのはダレか?シリーズを立ち上げた。手始めに過去に読んだ論文を再度吟味して行くこととした。

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慢性腎臓病患者における血清尿酸値と腎障害および死亡(Am J Kidney Dis. 2018; Charge)

Uric Acid and the Risks of Kidney Failure and Death in Individuals With CKD.

Srivastava A et al.

Am J Kidney Dis. 2018 Mar; 71(3): 362-370.

PMID: 29132945

背景

血清尿酸濃度は慢性腎臓病(CKD)で増加し、尿細管傷害、内皮機能不全、酸化的ストレス、および腎内炎症を引き起こす可能性がある。尿酸濃度が CKDにおける腎不全および死亡に関連するかどうかは不明である。

研究デザイン

前向きコホート研究

“慢性腎臓病患者における血清尿酸値と腎障害および死亡(Am J Kidney Dis. 2018; Charge)” の続きを読む

【メモ】論文検索サイト(最終更新日:2018年 3月 15日)

検索サイト

CiNii

→国立情報学研究所が運営する学術論文や図書、雑誌の学術情報データベース。日本語の論文を探すならココ

ClinicalTrials.gov

→近年、臨床試験は事前登録することが一般的になってきています。事前にどのような臨床試験を行うのか登録し、進行状況についても確認することができます。海外の大規模臨床試験なら必ずと言っていいほど、ここに登録があります。進行中の試験薬や上市された薬の Phase Ⅳについて知りたいときはココ

Cochrane Library

 →コクラン共同研究により Clinical Questionからシステマティックレビュー&メタ解析を実施し、その論文を掲載している。可能な限りバイアスを排除し、現在利用できる最良のエビデンス提供、そして合理的な意思決定に供することを目的としている。全 6つのデータベースを検索できる。やはりエビデンスといえばココ

Embase

 →エルゼビアが提供している EMBASEと MEDLINEを同時に検索できるデータベース。重複している文献については事前に除去されている。非常に魅力的だが有料。そう、有料なのです。

google

→いわゆる “ググれ” Web 検索エンジン。 フリーワード検索ならココ

Google Schor

→巨人の肩の上に立つ。PDF有る無しを検索するならココ

JAIRO

→国立情報学研究所。日本国内の学術機関リポジトリに蓄積された学術情報を横断的に検索できる。こちらも日本語検索用。研究報告検索するならココ

J-STAGE

 →こちらも日本語検索用。日本語の医療関連文献は全体の 19%。医学、薬学、工学系が中心。その他、自然科学、人文科学、社会科学分野も掲載

Pubmed

 →MEDLINEを検索するための Webツール。いわゆる “パブる” とはこのサイトで文献検索をすること。文献検索するならココ!と油断しないように。Embaseに収載されている論文の方が多いです。まぁ両方を合わせても全ての論文に出会えるわけでは無いのですが

Sci-Hub

 →他のサイトで全文見れないとき用。最近、動作が遅い気がする。エラーも出る

Web of Science

 →学術データベース。自然科学、社会科学、人文科学の文献検索ならココ。しかし有料