【フォーミュラリー実践のために】低用量アスピリン服用患者においてテプレノンとラベプラゾールは消化性潰瘍の再発を予防できますか?(Aliment Pharmacol Ther. 2014; PLANETARIUM study)

Randomised clinical trial: prevention of recurrence of peptic ulcers by rabeprazole in patients taking low-dose aspirin.

Aliment Pharmacol Ther. 2014 Oct;40(7):780-95.

Iwakiri R et al.

PMID: 25100080

資金提供

エーザイ株式会社

This study was funded by Eisai Co., Ltd., Tokyo, Japan. Writing support was provided by Eisai. Data management and analyses were undertaken by Eisai.

 

背景

消化性潰瘍の主な原因は、Helicobacter pylori(ピロリ菌)感染薬剤の使用(NSAIDs や低用量アスピリン)である。

日本や米国、EU 等では、ピロリ菌感染およびピロリ菌による潰瘍は減少傾向にある。一方、薬剤誘発性の潰瘍は増加している。

健康者における [13 C] – アミノピレン呼気試験によって評価されたシトクロム450(CYP)活性に対する PPI の影響において、(日本で使用されている)標準用量でオメプラゾールおよびランソプラゾールは CYP 活性を阻害するが、ラベプラゾールは阻害しないことを示した。この知見は、ラベプラゾールが CYP2C19 および CYP3A4 に対して比較的影響が少ないことを明らかにしただけでなく、以前に報告された事実と一致している。

本研究では低用量アスピリン使用患者に対するラベプラゾールの消化性潰瘍の再発予防効果を検討した。また熱ショックタンパク質 70(HSP70)を誘導し NSAID 誘発胃病変に対する防御作用を有すテプレノンをアクティブコントロールとした。

 

結論

低用量アスピリン使用患者において、ラベプラゾールはテプレノンより消化性潰瘍の再発率および出血性潰瘍の累積発生率が少なかった。


PICOT

 

P:低用量アスピリン(low-dose aspirin, LDA 81 or 100 mg/day) 服用中かつ内視鏡下で消化性潰瘍を認めた 472 人(日本人のみ)

Iラベプラゾール 10 mg(morning) + プラセボタブレット(5 mg 用、morning)+プラセボカプセル(3 times a day)

 ラベプラゾール 5 mg(morning)+プラセボタブレット(10 mg 用、morning)+プラセボカプセル(3 times a day)

Cテプレノン 50 mg × 3 times a day + プラセボタブレット(5 mg 用、morning)+プラセボタブレット(10 mg 用、morning)

O:24 週後の消化性潰瘍の再発(上部内視鏡検査)

T:予防、ランダム化比較試験、3-arm アクティブコントロール

 

 

批判的吟味

研究デザインは?ランダム化されているか?

ランダム化されている

randamized clinical trial

ランダム割付が隠蔽化されているか?(selection bias は無いか?)

されていると判断した

dynamic allocation+multi centre

マスキングされているか?(ブラインドか否か?)

マスキングされている

double-blind+triple dummy

プライマリーアウトカムは真か?

真であると判断した

交絡因子は網羅的に検討されているか?

されていると判断した

大項目で15個:性別、年齢、虚血状態(狭心症、心筋梗塞、虚血性脳血管障害、CABG or PTCA、その他)、アスピリン用量、アスピリン服用期間、アスピリンを除く抗血栓薬の使用、H.ピロリ菌(陽性、陰性+潰瘍、陰性)、潰瘍(胃、十二指腸)、出血性潰瘍(胃、十二指腸)、前処置(PPI、H2Blocker、胃粘膜保護剤)、CYP2C19遺伝子型(PM、homoEM、heteroEM)、現喫煙、飲酒

Baseline は同等か?

同等

ITT 解析されているか?

以下 3 種類について検討

FAS(Full Analysis Set:一度も介入を受けていない患者のみ除外)→基本的にはこの結果

PPS(Per Prrotocol Set:プロトコールに従った患者のみ解析)→カプラン・マイヤー法で使用 Table 2

SAS(Safety Analysis Set割付け通り試験を開始、何らかのデータが得られているすべての症例)→有害事象について使用

追跡率(脱落)はどのくらいか?結果を覆す程か?

問題無し

・ラベプラゾール 10 mg:142/158= 89.87%(10.13%)

・ラベプラゾール 5 mg  :138/156= 88.46%(11.54%)

・テプレノン 150 mg   :140/158= 88.61%(11.49%)

サンプルサイズは充分か?

計算されており、充分である(α =0.05, power =90で各群150例あればOK)

A sample size of 122 subjects per group was estimated to be required, with a two-sided significance level of a = 0.05 and a power of 90% (Fisher’s exact test). In addition, in consideration of the quantity of data that would be lost due to ineligible subjects and early discontinuations, etc., the number of subje cts required for randomisation was set at 150 per group, i.e. a total of 450 subjects in the three groups.

結果は?

ラペプラゾール 10 mg および 5 mg 投与群の消化性潰瘍の再発率は、それぞれ 1.4% と 2.8% であり、いずれもテプレノン 150 mg 投与群(21.7%)より有意に低かった。

テプレノン 150 mg 投与群の 24 週間にわたる出血性潰瘍の累積発生率は 4.6% であったが、ラベプラゾール投与群(10 mg または 5 mg)においては出血性潰瘍は観察されなかった。

考察

Funding の項に Eisai が満載過ぎるので気になるが、試験デザインはきちんとしていると考えられた(ちゃんと公表しているだけ良いか)。若干パラシュート試験のようにも思われるが、ラベプラゾールは日本で用いられている通常用量について検討されており、防御因子増強薬と比較し、PPI の効果を数値として捉える為に有用な結果であると考えられた。

低用量アスピリンには PPI の併用が有用であるとする結果であった。また倫理面で placebo 対象は難しいのだろうが気になる所。

基本的には FAS を用いているが、場合によっては PPS も使用しているので、いいとこ取りな印象もある。やはり Funding の影響か。出血性潰瘍が “ゼロ” であったところも気になる。本結果だけをもって100%出血性潰瘍を防げるとは言えない。

個人的には study name が好き。

 

 

 

-Evidence never tells you what to do-




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