ピロリ菌除菌で胃がんを防げますか?(CDSR2015:ピロリ菌除菌のベネフィット)

Helicobacter pylori eradication for the prevention of gastric neoplasia.

Ford AC et al.

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jul 22;(7):CD005583.

PMID: 26198377

背景

前回の記事でピロリ菌除菌によるリスクとベネフィットについて検討することとした。胃がんは、がん死亡の第3位である。

ピロリ菌除菌によるリスクとベネフィットはどのくらいか?(①導入編)

まずはベネフィットについてエビデンスを紹介する。

結論

ピロリ菌除菌による効果は限定的。胃がん発生率は減るが、胃がんによる死亡および全死亡は減らせなかった。

また食道扁平上皮がんの発生リスクは、有意差は無いものの増加傾向。

さらに前がん病変の有無に関わらず、ピロリ菌除菌による胃がん発生率の低下は認められなかった。


PICOT

P: 16歳以上の健康な無症候性ピロリ菌感染者

I : ピロリ菌の除菌

C: プラセボあるいは無治療

O: 胃がん発生率

T: 予後、最大6試験の統合、システマティックレビュー&メタ解析


批判的吟味

使用した文献データベースは何か?

Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL; 2013, Issue 11)、MEDLINE(1946 to DEC 2013)、EMBASE(1974 to DEC 2013)

検索語は?

不明

研究の種類は?

Randomized Controlled Trials(RCTs)

参考文献まで調べたか?

調べた。ハンドサーチ

個々の研究者に連絡を取ったか?

取った

出版されていない研究も探したか?

探した

同じ研究が複数報告されているか?

重複無し

英語以外で書かれた論文も探したか?

言語制限無し

研究は網羅的に集められたか?(出版バイアスは無いか?)

概ね集められているが、基準を満たせたのは1560試験中6試験。

集められた研究の評価はどのように行われたか?(各研究の評価は妥当か?)

2人の研究者が独立して行い、意見が分かれたときは3人目が判断した

評価基準は明確か?(Risk of Biasの評価基準は?)

明確(Cochrane Collaboration’s toolを使用)

研究の異質性は検討されたか?

I2 統計量を用い検討されている

最終的に残った研究数は?

6件

結果は統合されたか?

統合された。基本的には Rondam-effect modelを使用

Funding sources/sponsors

None

Conflict of interest

PM is the joint co-ordinating of the Cochrane Upper Gastrointestinal and Pancreatic Disease Group, however editorial decisions about this review were made by the other joint co-ordinating editor and independent peer reviewers.

 


結果は?

(表1. メタ分析の結果 — 論文より筆者作成)

 

・胃がん発生率 

 リスク比(Relative Ratio: RR)=0.66 [95%信頼区間 0.46〜0.95], +++, moderate

・胃がんによる死亡

 RR=0.67 [95%信頼区間 0.40〜1.11], +++, moderate

・全死亡

 RR=1.09 [95%信頼区間 0.86〜1.38], +++, moderate

・食道扁平上皮がん

 RR=1.99 [95%信頼区間 0.18〜21.91], +++, moderate

・有害事象

 0, 報告が少ないため評価できず。


コメント

バイアスリスク、フォレストプロットの検討はされていたが、統合された試験数が少ないためファンネルプロットは作成されていない。

ピロリ菌除菌による効果は限定的。胃がんは減るが、胃がんによる死亡や全死亡の結果は効果無し。そして食道扁平上皮がんの発生リスクは、有意差は無いものの増加傾向。

統合された試験数が少ないのは確かだが、胃がん発生率の効果推定値の幅は狭い。

感度分析の結果、前がん病変のない患者ではピロリ菌除菌による胃がん発生率 RR=0.42(95%CI 0.02〜7.69)。前がん病変のある患者では RR=0.86(95%CI 0.47〜1.59)。

積極的に除菌しましょうとは言えない結果であった。

(ベネフィットと言いつつリスクの方が強調されるような記載になってしまった)

 

 

-Evidence never tells you what to do-




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