【フォーミュラリー実践のために】ボノサップ®️パックによるピロリ菌除菌は400と800で差がありますか?

背景

ピロリ菌の除菌においてパック製剤がよく使用されている。特に私の周囲ではランサップ®️パックやボノサップ®️パックの処方率が高い。これらのパック製剤は含まれるクラリスロマイシンの用量によって400と800の2規格が販売されている。

目的

ランサップ®️とボノサップ®️の違い、また薬剤用量による除菌率の差異を明らかにする。

“【フォーミュラリー実践のために】ボノサップ®️パックによるピロリ菌除菌は400と800で差がありますか?” の続きを読む

【寄稿のお知らせ】AHEADMAP会報誌・臨床批判Vol.2 No.1

AHEADMAP会報誌・臨床批判Vol.2 No.1

今回は雑記です。

Evidence-Based Medicine(EBM)という行動様式における、メタ認知の重要性について寄稿いたしました!!

以下の画像をクリックすると 、

AHEADMAPホームページ

に飛びます ↓↓

そもそもメタ認知とは?

以下、デジタル大辞泉より引用:

《metaは、より高次の、の意》認知心理学の用語。自分の行動・考え方・性格などを別の立場から見て認識する活動をいう。

・自身を俯瞰することの重要性について高血圧症を例に論考しました。

臨床批判Vol.2 No.1

・これまでに寄稿した論考についてはこちらからどうぞ ↓↓

臨床批判アーカイブ

 

思い返すと2016年11月に参加した神奈川EBM実践研究会で初めてメタ認知という言葉を知りました。そして当時の名郷先生のご講演に呑み込まれました。こんなにも力と熱を持った講演は聞いたことがありませんでした(所々にユーモアを散りばめていました)。

これを機に哲学や論文の批判的吟味に興味を持つようになりました。

実臨床における治療効果はどのくらいなのか、企業パンフレットや添付文書からでは得られない情報が論文には詰まっていました。

英語については齧った程度のレベルだったため、論文を読み始めた当初は確かに大変でした。

全てに言えることかもしれませんが、物事の初動はエナジーが必要なものです。

それを乗り越えてでも論文には読む価値と確かな魅力がありました。

その上でエビデンスだけでなく、様々な情報や患者の意向を合わせshared decision making を続けていくことの重要性にも気がつくことができました。

自己目的的に俯瞰すること、これは正にメタ認知そのものです。所詮ヒトの経験は一般化することはできません。これはエビデンスも同様です。しかし個人の意思が介在しない情報の曖昧な確からしさがエビデンスにはあります。

だからこそ治療することも治療しないことも後押しできるのかもしれません。治療する前提であるということは、治療したい “ワタシ” がいるに他なりません。一歩立ち止まり、なぜ治療したいのか、その治療が本当に必要なのか、必要とする根拠は何なのか、改めて自己に問いかけたほうが良いのかもしれません。

まだほんの数年ですが、EBM的行動様式を実践することで見えてきた景色があります。この景色は恐らく来年には見えなくなっていると思います。それほど医療の進歩は早く論文の数が多いのです。

今現在、最も良いであろうと考えられる選択をするために手持ちのカードを増やしていく、そして捨てていく、新しいカードと取り替えていく、このような行動が過去を見直し、今日の実践、そして明日の行動へと繋がっていくのではないでしょうか。

【バレンタインデー企画①】チョコレート・ビール飲みました(Imperial Chocolate Stout)

Imperial Chocolate Stout

 

バレンタインデイには少し早いのですが、チョコレート関連ということで “チョコレート・ビール” なるものをポチってみました。

 

 

リンク先はこちら👇

(HPより転載 — サンクトガーレン有限会社の商品です)

 

 

まずはじめに言っておきますが、

チョコレートを使った甘口のビールではありません!!

通常のビールに使う麦芽よりも高温で焙煎(約160度)することで “チョコレート麦芽” と呼ばれる、ほろ苦い風味が特徴の麦芽ができるようです。

 

チョコレート・ビールって結局なに?

このチョコレート麦芽を使用したビールを「チョコレート・ビール」と分類するようです。

 

インペリアル・チョコレート・スタウト

アルコール分は 9.0%と、ビールとしては少し高め。

ビターで濃厚な香りが特徴 です。甘さは無いですw

ビール好きな私としては、コクが強く飲みごたえがあり、満足のいく逸品であると感じました。

 

コクが強くビターな味わいであるため、お酒のお供としてチョコレートがよく合います(私はチョコ3つ食べました)。

 

モテモテでバレンタインデイに沢山チョコレートをもらえるけど、甘いものがあまり得意では無い、しかしもらったチョコレートをきちんと食べて感想を伝えたいという “紳士で生真面目なイケメンさん” にオススメのビールです。

 

※お酒は二十歳になってから。 (←実はこれが言いたかっただけです




👇 ポチッていただけますと喜びます。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

メトホルミン使用はDPP-4阻害薬が心血管アウトカムに及ぼす影響を緩和できるかもしれない(メタ分析; Diabetes Care 2017: Charge)

Metformin Use May Moderate the Effect of DPP-4 Inhibitors on Cardiovascular Outcomes.

Crowley MJ et al.

Diabetes Care. 2017.

PMID: 29051159

【目的】

メトホルミン使用がジペプチジルペプチダーゼ4阻害剤(DPP-4i)の心血管作用に対する潜在的モデレーターであるか探索する。

【方法および研究デザイン】

DPP-4i使用による 3-point MACEへの影響を検討した臨床試験についてメタ分析を行った。 DPP-4iの心血管作用が、メトホルミン使用者と非使用者とで異なるかを検討するためにメタ回帰(分析)を用いた。

【結果】

DPP-4iとメトホルミンを使用しているグループでは、心血管アウトカムのハザード比[HR] は 0.92、95%信頼区間[95%CI]は 0.84~1.01であった。一方、メトホルミン非使用グループでは、HR =1.10 [95%CI 0.97~1.26]であった。

メトホルミン使用者と非使用者のサブグループ解析において、DPP-4i使用による効果の差は、統計的に有意であった(P = 0.036)。

【結論】

PP-4i使用による心血管アウトカム増加に対し、基礎治療としてのメトホルミン使用は緩和効果を有する可能性がある。

仮説生成分析は、DPP-4i使用が心血管アウトカムに及ぼす影響について、依然として不確実性が存在していること(併用薬に依存すること)を示唆している。

【コメント】

アブストのみ。

著者も述べていますが、本結果は ”仮説生成” です。過去の RCTやメタ解析において DPP-4i使用による心不全増加の懸念が報告されていますが、心不全を増やさないとする報告もあります。

個人的には薬剤間で安全性に差異があると捉えています。また過去の臨床試験結果をみてみると、基礎治療にはほぼメトホルミンが使用されています。個人的には DPP-4i単独で使用する意義は分かりません。続報を待ちます。

 

 

 

-Evidence never tells you what to do-




👇 ポチッていただけますと喜びます。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

ピロリ菌除菌で胃がんを防げますか?①(CDSR2015:ピロリ菌除菌のベネフィット)

Helicobacter pylori eradication for the prevention of gastric neoplasia.

Ford AC et al.

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jul 22;(7):CD005583.

PMID: 26198377

背景

前回の記事でピロリ菌除菌によるリスクとベネフィットについて検討することとした。胃がんは、がん死亡の第3位である。

ピロリ菌除菌によるリスクとベネフィットはどのくらいか?(①導入編)

まずはベネフィットについてエビデンスを紹介する。

結論

ピロリ菌除菌による効果は限定的。胃がん発生率は減るが、胃がんによる死亡および全死亡は減らせなかった。

また食道扁平上皮がんの発生リスクは、有意差は無いものの増加傾向。

さらに前がん病変の有無に関わらず、ピロリ菌除菌による胃がん発生率の低下は認められなかった。


PICOT

P: 16歳以上の健康な無症候性ピロリ菌感染者

I : ピロリ菌の除菌

C: プラセボあるいは無治療

O: 胃がん発生率

T: 予後、最大6試験の統合、システマティックレビュー&メタ解析


批判的吟味

使用した文献データベースは何か?

Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL; 2013, Issue 11)、MEDLINE(1946 to DEC 2013)、EMBASE(1974 to DEC 2013)

検索語は?

不明

研究の種類は?

Randomized Controlled Trials(RCTs)

参考文献まで調べたか?

調べた。ハンドサーチ

個々の研究者に連絡を取ったか?

取った

出版されていない研究も探したか?

探した

同じ研究が複数報告されているか?

重複無し

英語以外で書かれた論文も探したか?

言語制限無し

研究は網羅的に集められたか?(出版バイアスは無いか?)

概ね集められているが、基準を満たせたのは1560試験中6試験。

集められた研究の評価はどのように行われたか?(各研究の評価は妥当か?)

2人の研究者が独立して行い、意見が分かれたときは3人目が判断した

評価基準は明確か?(Risk of Biasの評価基準は?)

明確(Cochrane Collaboration’s toolを使用)

研究の異質性は検討されたか?

I2 統計量を用い検討されている

最終的に残った研究数は?

6件

結果は統合されたか?

統合された。基本的には Rondam-effect modelを使用

Funding sources/sponsors

None

Conflict of interest

PM is the joint co-ordinating of the Cochrane Upper Gastrointestinal and Pancreatic Disease Group, however editorial decisions about this review were made by the other joint co-ordinating editor and independent peer reviewers.

 


結果は?

(表1. メタ分析の結果 — 論文より筆者作成)

 

・胃がん発生率 

 リスク比(Relative Ratio: RR)=0.66 [95%信頼区間 0.46〜0.95], +++, moderate

・胃がんによる死亡

 RR=0.67 [95%信頼区間 0.40〜1.11], +++, moderate

・全死亡

 RR=1.09 [95%信頼区間 0.86〜1.38], +++, moderate

・食道扁平上皮がん

 RR=1.99 [95%信頼区間 0.18〜21.91], +++, moderate

・有害事象

 0, 報告が少ないため評価できず。


コメント

バイアスリスク、フォレストプロットの検討はされていたが、統合された試験数が少ないためファンネルプロットは作成されていない。

ピロリ菌除菌による効果は限定的。胃がんは減るが、胃がんによる死亡や全死亡の結果は効果無し。そして食道扁平上皮がんの発生リスクは、有意差は無いものの増加傾向。

統合された試験数が少ないのは確かだが、胃がん発生率の効果推定値の幅は狭い。

感度分析の結果、前がん病変のない患者ではピロリ菌除菌による胃がん発生率 RR=0.42(95%CI 0.02〜7.69)。前がん病変のある患者では RR=0.86(95%CI 0.47〜1.59)。

積極的に除菌しましょうとは言えない結果であった。

(ベネフィットと言いつつリスクの方が強調されるような記載になってしまった)

 

 

-Evidence never tells you what to do-




👇 ポチッていただけますと喜びます。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

カナグリフロジンは 2型糖尿病患者の心血管・腎イベント発生を抑制できますか?(CANVAS program; NEJM 2017; Free→charge)

Canagliflozin and Cardiovascular and Renal Events in Type 2 Diabetes.

N Eng J Med. 2017 Jun 12. doi: 10.1056/NEJMoa1611925. [Epub ahead of print]

Neal B et al.

PMID: 28605608

ClinicalTrials.gov No.: NCT01032629(CANVAS), NCT01989754(CANVAS-R)

 

【資金提供】

Janssen Research and Development

 

【利益相反COI or 開示disclosure】

http://www.nejm.org/doi/suppl/10.1056/NEJMoa1611925/suppl_file/nejmoa1611925_disclosures.pdf

【統合解析方法のペーパー】

Optimizing the analysis strategy for the CANVAS Program: A prespecified plan for the integrated analyses of the CANVAS and CANVAS-R trials. – PubMed – NCBI

PMID: 28244644

試験背景

カナグリフロジン(商品名:カナグル)は、糖尿病患者の血糖値、体重、およびアルブミン尿を減少させるナトリウム – グルコース共輸送体2(SGLT-2)阻害剤である。
心血管、腎臓、および安全性アウトカムに対するカナグリフロジン治療の効果を報告する。本論文は、CANVASおよび CANVAS-Rという 2試験の統合結果である。 “カナグリフロジンは 2型糖尿病患者の心血管・腎イベント発生を抑制できますか?(CANVAS program; NEJM 2017; Free→charge)” の続きを読む

非小細胞肺がんに対するニボルマブとドセタキセルの効果はどのくらいですか?(CheckMate 057)

Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer.

Borghaei H et al.

N Engl J Med. 2015 Oct 22;373(17):1627-39

PMID: 26412456

Funding: Bristol-Myers Squibb

ClinicalTrials.gov number: NCT01673867

(プロトコールの途中変更あり→  Appendix より計 3 回変更、優越性が認められたため早期中止)

背景

非扁平上皮性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者における効果的な選択肢は、初回化学療法後に病態が進行する患者に限定されている。

(参照→ EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2015年版:ガイドライン上の一次治療はプラチナ製剤やチロシンキナーゼ阻害薬が推奨されている。個々のエビデンスの吟味はできていない、というか時間かかりそうなので今回は勘弁)

(セカンドラインにおける)ドセタキセル推奨は、最善のサポートケアではなく生存期間の延長に基づいて進行性 NSCLC の治療の第 2 選択として承認された。

ドセタキセル(商品名:タキソール微小管重合阻害薬)よりも良好な副作用プロファイルを有するペメトレキセド(商品名:アリムタジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害薬)およびエルロチニブ(商品名:タルセバ上皮成長因子受容体 EGFR 阻害薬)のような比較的新しい薬剤はドセタキセルよりも劣っている、あるいはセカンドラインとして使用された場合に全生存期間においてドセタキセルに対し優位性を示せなかった(非劣性)。

活性化T細胞上に発現する Programmed Death 1PD-1)受容体は、腫瘍に発現したリガンド PD-L1 および PD-L2 が結合することにより、T細胞活性化がダウンレギュレーションされ、腫瘍は免疫逃避immune escape を促進する(つまり腫瘍細胞は免疫系による認識および排除を免れる)。
完全ヒト IgG4 PD-1 免疫チェックポイント阻害抗体であるニボルマブ(商品名:オプジーボ)は、PD-1 媒介シグナル伝達を破壊し、T 細胞の抗腫瘍免疫を回復させる可能性がある(低下した抗腫瘍作用を回復させる)。
1相試験では、ニボルマブ単剤療法は耐久性のある抗腫瘍活性を示し、NSCLC サブタイプ全てにおいて生存率を向上させた(①Phase I study of single-agent anti-programmed death-1 (MDX-1106) in refractory solid tumors: safety, clinical activity, pharmacodynamics, and immun… – PubMed – NCBI、②Safety, activity, and immune correlates of anti-PD-1 antibody in cancer. – PubMed – NCBI、③Overall Survival and Long-Term Safety of Nivolumab (Anti-Programmed Death 1 Antibody, BMS-936558, ONO-4538) in Patients With Previously Treated Adv… – PubMed – NCBI)。

重度前治療を受けている進行性非扁平上皮性 NSCLC 患者のうち、nivolumab17.6の反応率と関連しており、(投与後)1年で 42%、2年で 23%、3年で 16の全生存率、および(投与後)1年で無増悪生存率 18%を示した(上記文献結果)。
今回、進行性非扁平上皮性 NSCLC 患者において、ニボルマブとドセタキセルを比較した無作為化オープンラベル国際共同第相試験の結果を報告する。

結論

ドセタキセルに比べ、ニボルマブは進行性非扁平上皮性 NSCLC 患者の全生存率が優れていた。絶対リスク減少率は12%NNT9であった。


組み入れ基準

→ECOG 0 あるいは 1 の患者。

十分な血液学的、肝臓および腎機能を有する。

中枢神経系への転移を有する患者は、転移が治療され安定していれば組み入れた。

治療開始前に得られた腫瘍組織は、バイオマーカー分析に使用するのみで患者の選択には使用されなかった。

NSCLC IIIB期または IV、放射線照射後の再発性非扁平上皮癌治療、外科的切除後の再発、進行期間中、以前にプラチナベースの 2 剤併用化学療法レジメンを 1 度だけ受けた患者。

EGFR 変異または ALK 転座が既知の患者は、チロシンキナーゼ阻害剤療法の追加あるいは追加治療の選択、およびペメトレキセド、ベバシズマブ、またはエルロチニブへの治療切り替えは全ての患者に認められた。

除外基準

自己免疫疾患、症候性間質性肺疾患、全身性免疫抑制、チェックポイント標的薬剤を含む免疫刺激性抗腫瘍剤による前治療、およびドセタキセルの事前使用。


PECOT

P非扁平上皮性 NSCLC 平均 62 歳(range: 21-85)の男女 582

I:ニボルマブ 3 mg/kg2 週間毎に投与(最大投与可能回数:約 26 /年), i.v.

C:ドセタキセル 75 mg/m23 週間毎に投与(最大投与可能回数: 17 /年), i.v.

Oprimary – 全生存期間

secondary – 治験担当者が評価した奏効率、無増悪生存率、腫瘍 PD-L1 発現レベルによる有効性、および患者が報告したアウトカム

T:ランダム化比較試験(オープンラベル)


批判的吟味

ランダム割付が隠蔽化されているか?(selection bias は無いか?)

以前に受けていた治療の影響が本試験結果に反映される可能性が高いため、以下 2 因子についての層別化を実施(この2因子については両群で同条件になるよう努めている)。Concealment については IVRSを採用しているため中央割付の可能性が高い。

以前の維持療法(Yes vs. No)および②治療ライン(2ndライン vs. 3rdライン)

Randomization was stratified according to prior maintenance treatment (yes vs. no) and line of therapy (second line vs. third line).

マスキングされているか?(ブラインドか否か?)

オープンラベル open-label

疾患からブラインドで行うことは困難であり、費用面からも不適と考えられる。また薬剤によって投与期間が異なる。リアルワールドで肺がん患者がどんな治療を受けるか知らないことはほぼ無いだろう。

治療薬による副作用の早期発見および早期治療、個々の薬剤毎に副作用が異なるためにオープンで実施したとの記載あり。

プライマリーアウトカムは真か?

真(全生存期間)

Baseline は同等か?

同等(インバランスについても記載有り)

→The baseline characteristics were balanced between the treatment groups, with slight between-group imbalances in the percentages of male patients (二ボルマブ 52% vs. ドセタキセル 58%) and patients younger than 65 years of age. (←ここは 75歳未満の間違いかな?と思いましたが、 appendix 65歳未満の組み入れ数の記載もありました。二ボルマブ:37-84歳、65歳以上-75歳未満 88人、65歳未満 184 vs. ドセタキセル:21-85歳、同 112人、同 155)

交絡因子は網羅的に記載されているか?

記載されている(他にもあるかも

大項目で 14 因子:年齢(中央値・範囲)、75歳以上の割合、性別(男性の割合)、人種(白人、アジア人、黒人、その他)、ECOG performance‑status score、肺がんステージ(ⅢB、Ⅳ)、喫煙歴Current or former smokerNever smokedUnknown)、EGFR 変異有り、ALK 変異有り、KRAS 変異有り、以前の維持療法、治療ライン、前治療レジメン(白金ベース、ALK 阻害薬、EGFR チロシンキナーゼ阻害薬)、最良効果判定(完全あるいは部分奏効、安定、進行、不明あるいは報告無し)

ITT 解析されているか?

されている。本文に記載有り。part of intention-to-treat

追跡率(脱落)はどのくらいか?脱落率は結果を覆す程か?

Table 3 以外はニボルマブ 292 vs. ドセタキセル 290 例で解析。なので Figure 1 の結果については、脱落無しの追跡率100% で問題ないと考えられます。

また以下の項目も追記いたします。

追跡率は両群ともに 90% を超えているため問題ないと判断した。

二ボルマブ:追跡率 287/292 = 98.29%(脱落 5 例、1.71%

(脱落の内訳:試験薬とは無関係な有害事象 1 例、組入基準から逸脱 4 例)

ドセタキセル:追跡率 268/290 =  92.41%(脱落 22 例、7.59%

(脱落の内訳:患者希望により治療中止 4 例、同意撤回 12 例、追跡不能 1 例、組入基準から逸脱 5 例)

サンプルサイズは充分か?

403 例の死亡時点で解析し優越性があれば中止。抗がん剤の場合、途中解析・優越性示唆による早期中止を想定しているため、推定必要例数に到達した時点で統計解析する(解析回数も予め設定している)。近年では The O’Brien–Fleming alpha-spending functionを用いることが多いようである。途中解析を実施し最終解析にて P= 0.0408 未満で優越性が示されている(403 例死亡後に P= 0.047 未満であれば優越性有り)。

ドセタキセルの過去の試験結果から、262 例の死亡時点における有意差は両側 5%power= 90、ハザード比= 0.72 と推定している。また 403 例の死亡が認められるであろう推定必要期間は約 25 ヶ月とのこと。本試験では中央値 12.2 ヶ月時点において設定死亡数に達したものと考えられる。two-sided  5%  significance  level  sequential  test  procedure  with  one interim  analysis  after  262  deaths  (65%  of  total  deaths)  will  have  90%  power  if the  median  OS  times  in docetaxel and BMS-936558 are 8 and 11.1 months (HR=0.72).


結果は?

Primary outcome である薬剤投与 1 年後の全生存期間については統計学的有意差有り。

◯追跡期間中央値:

12.2 ヶ月(95% confidence interval [CI] 9.7-15.0

◯全生存率:

二ボルマブ51% (95% CI 45-56) vs. ドセタキセル39% ( 33-45)

◯ハザード比(Hazard ratio, HR):

0.7395% CI 0.59-0.89; P = 0.002本文では96%になってる。間違い?

Secandary outcome

◯治験担当者が評価した奏効率

二ボルマブ19%95% CI, 15-24vs. ドセタキセル12%95% CI, 9-17 P = 0.02

(完全奏効:ニボルマブ 4 vs. ドセタキセル 1 人)

◯無増悪生存率・期間(投与 1 年後):

二ボルマブ19%95% CI, 14-23vs. ドセタキセル8%95% CI, 5-12P = 0.02

二ボルマブ 2.3 months95% CI, 2.2-3.3vs. ドセタキセル4.295% CI, 3.5-4.9

HR = 0.9295% CI, 0.77-1.1; P= 0.39

◯腫瘍 PD-L1 発現レベルによる有効性(582 例中 455 例、78% がデータ有り):

PD-L1 の発現度合いにより治療効果が異なっている。サプリのデータだが、個人的には重要であると捉え掲載した。これを踏まえていれば CheckMate-026 fail は無かったのではなかろうか。

◯患者が報告したアウトカム:

現在進行中との記載有り。Safety  was  assessed  by  an  evaluation  of  the  incidence  of clinical adverse events and laboratory variables, which  were  graded  according  to  the  National Cancer  Institute  Common  Terminology  Criteria for  Adverse  Events,  version  4.0.  Select  adverse events (those with a potential immunologic cause) were grouped according to prespecified categories. Analyses  of  patient-reported  outcomes  are  ongoing.


考察

Figure 1 の結果から、二ボルマブは投与開始 9 ヶ月後よりドセタキセルとの差が開き始めており、12 ヶ月後には有意な差を持って 27% 死亡リスクを低下させた。しかし、癌の進行割合においてはドセタキセルの方が少なかった。

Primary outcome についてもう少し詳しく見ていくと、

◯相対リスク RR51/39 = 1.308(生存率なので 1 より大きい方が良い)

◯相対リスク減少率 RRR:(39-51/39 = 0.30830.8%

◯絶対リスク減少率 ARR51-39 = 12%

◯治療必要数 NNT1/0.12 = 8.333 = 8 9 人(ここは切り上げでした。御指摘ありがとうございます)

◯治療期待オッズ(N 先生の受売り):1.27

という結果であった。Figure 1A の結果から、末期 NSCLC 患者へのニボルマブ投与により(ドセタキセル投与と比べ)2.8 ヶ月間寿命が延長する。ただし 24 ヶ月後にはニボルマブ投与群で 9 人、ドセタキセル投与群で 5 人の生存に留まった。ちなみに有害事象はドセタキセルに比べて二ボルマブの方が少なかった。

最後にコスト面(2017 1月時点における薬価ベース:窓口での負担額では無い)についてだが、仮に身長 164 cm、体重 60 kg の成人に両薬剤を投与した場合、

◯ニボルマブ(商品名:オプジーボ)※

20mg/2mL→ 150,200円(75,100/mL

100mg/10mL→ 729,899円(72,989/mL

3500万円/年(2017 2月には、この値より半額)

◯ドセタキセル(商品名:タキソール)

20mg/mL19,660円(ジェネリック医薬品 20mg/2mL12,552円)

80mg/4mL67,304円(ジェネリック医薬品 80mg/8mL43,164円)

178万円/年(ジェネリック医薬品:約 113万円)DuBois を使用 1.651m2

コメント

末期 NSCLC 患者を対象としているため、個人的にはコストベネフィットは低く、やはりニボルマブは高価であるなという印象(セカンドラインであることも留意)。ここは患者背景により異なるため、ニボルマブ使用の是非を問いたいわけではありません。また抗がん剤治療は 2 剤以上の併用療法が多く、今後ニボルマブも併用療法に組み込まれる可能性は充分あると思っています。

ただし、その場合、薬価をさらに下げなければ皆保険制度は崩壊しかねない(すでに崩壊しかけているかも?)。薬価下げすぎると採算が取れなくなりメーカーが販売中止するので困る。

報酬制度の見直しが迫られているのではなかろうか。それにしても抗がん剤はよく分からん。勉強を続けます。


追加情報

Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG) performance-status score

Score 定義
0 全く問題なく活動できる。
発病前と同じ日常生活が制限なく行える。
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。
例:軽い家事、事務作業
2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない。
日中の50%以上はベッド外で過ごす。
3 限られた自分の身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4 全く動けない。
自分の身の回りのことは全くできない。
完全にベッドか椅子で過ごす。

日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG:Japan Clinical Oncology Groupより表を引用

原著:Common Toxicity Criteria, Version2.0 Publish Date April 30, 1999

https://ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/electronic_applications/docs/ctcv20_4-30-992.pdf

O’ Brien-Fleming

抗がん剤のような、市場から効果と承認スピードを求められている薬剤の場合、最終評価項目の解析を研究終了前に行い、予想以上の効果が観測された場合には研究を早期終了し、承認申請手続きに移行することがある。

Pocock 法等、他の方法より解析総数に依存せず、推定最終解析時における有意水準が比較的 0.05 に近く設定される。これにより他の方法に比べ最終解析における有意差が出やすくなるという利点がある。しかし研究開始に近い時点の中間解析では(早期であれば早期であるほど)有意水準が厳しく設定されることになるため試験の早期終了は期待できない。これは試験早期の小規模なデータのみで新薬を有効とする妥当性を担保することは困難であることと、小規模データのみでは医師等、専門家からの試験結果に対する支持を得られにくい為である。

喫煙歴

Current smoker:現在、毎日喫煙あるいは特定の頻度で数日は喫煙している

Former smoker:過去100本以上吸ったが、現在は吸っていない

Never smoked:現在吸っていない(過去吸った本数100本未満

奏効率

腫瘍の直径が半分以下になる患者割合。RECIST では長径が 70以下と定義。 

DuBois

IVRS (Interactive Voice Response System)

中央コンピュータにて割付をコントロールし、組み入れ患者は電話にて治療薬等の指示を受ける。選択バイアスやブラインド保持等、様々な試験方法に用いられている。またコスト削減や、患者情報をリアルタイムに入手できる等のメリットもある。

→   似た方法に Interactive Web Response System (IWRS) があり、こちらは Web site で指示を受ける

-Evidence never tells you what to do-



末梢動脈疾患有病率における人種差:Systematic Review & Meta-analysis(Expert Rev Cardiovasc Ther. 2017; Charge)

Ethnic differences in the prevalence of peripheral arterial disease: a systematic review and meta-analysis.

Vitalis A et al.

Expert Rev Cardiovasc Ther. 2017 Apr;15(4):327-338.

DOI: 10.1080/14779072.2017.1305890. Epub 2017 Mar 28.

PMID: 28290228

【背景】

これまでの研究では、黒人は末梢動脈疾患(PAD)の割合が高く、アジア人は白人に比べて罹患率が低いことが示されている。本研究の目的は、PADの疫学における民族差に関する文献を包括的にレビューすることである。

【方法】

システマティックレビューおよびメタアナリシスには、一般人口または糖尿病人口集団における PAD罹患の報告および民族集団における PAD有病率の比較が含まれていた。

【結果】

一般人口における PADの平均有病率は以下の通り;

 ・白人 =3.5%

 ・黒人 =6.7%

 ・アジア人 =3.7

 メタ分析は、白人と比較して、黒人(P <0.001)およびアジア人(P <0.001)の PAD罹患率が高いことを示した。

糖尿病人口における PADの平均有病率は以下の通り;

 ・白人 =17%

 ・黒人 =25.3%

 ・東アジア人 =13.5 ・南アジア人 =7.6%

 糖尿病人口では、南アジア人は白人に比べて PAD有病率が低かった(p <0.001)。黒人と白人の間に有意差はなかった。

 全般的に女性は PAD有病率が高かった。

・ 一般人口:女性 =3.8% vs. 男性 =3.2%;  p <0.001

・ 糖尿病人口:女性 =13.7% vs. 男性 =10.0%;  p <0.001

【結論】

黒人は PAD罹患率が高く、一方、白人と比較してアジア人は PAD罹患率が低かった。この違いを生み出す要因を特定するためには、さらなる研究が必要である。

【コメント】

アブストのみ。

下肢に関連する疾患についての報告。白人や黒人に比べ、アジア人の 2型糖尿病患者においては PAD罹患率が低かった。

あくまで人種差、個々人のリスク評価は別途必要。

【KEYWORDS】

Peripheral arterial disease; diabetes; epidemiology; ethnicity

ピロリ菌除菌によるリスクとベネフィットはどのくらいか?(①導入編)

背景・疑問

これまでにピロリ菌の除菌に関する記事をいくつか書いてきた。

しかし、そもそもピロリ菌の除菌は必要なのか?

過去の記事一覧

ピロリ菌除菌後にすぐ検査すると偽陰性となるのはなぜですか?(H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2009-2016)

ピロリ菌の検査方法にはどんなものがありますか?

ピロリ菌検査の感度と特異度はどのくらいですか?(日本ヘリコバクター学会ガイドライン2015)

ピロリ菌の除菌治療は3剤より4剤の方が良いですか?(Lancet 2016; Charge)

目的

ピロリ菌除菌によるリスクとベネフィットを明らかにしていく。

コメント

宣言しないと頓挫しそうだったので記事にしました。

次回から本シリーズを連載していきます。

まずはベネフィットに関する論文をご紹介する予定です。

お楽しみに。

高齢高血圧患者における重度転倒外傷リスク、フレイル、降圧薬ポリファーマシー、血圧(Hypertension 2017; Charge)

Blood Pressure, Antihypertensive Polypharmacy, Frailty, and Risk for Serious Fall Injuries Among Older Treated Adults With Hypertension

Bromfield SG et al.

PMID: 28652459

 

目的

降圧薬および収縮期血圧および拡張期血圧の低値は、いくつかの研究において転倒リスク増加と関連している。高齢者の多くは脆弱性frailityの指標を有しており、転倒リスクを増加させる可能性がある。

方法

5236 REGARDS試験(Reasons for Geographic and Racial Difference in Stroke)に参加した患者において、降圧薬を服用している 65歳以上の参加者のうち、メディケアのサービス利用料金のベースラインを基に収縮期血圧、拡張期血圧、降圧薬(クラス)の服用数、重度転倒外傷リスク指標を比較した。

 収縮期血圧および拡張期血圧を測定し、降圧薬を試験訪問中の薬剤ボトルのレビュー(コンプライアンス)により評価した。脆弱性の指標には、低体格指数、認知障害、うつ症状、疲弊度、運動障害、および転倒歴が含まれていた。深刻な転倒障害は 2014年12月31日までのメディケア請求を用い、転倒に関連した骨折脳損傷または関節脱臼と定義された。

結果

中央値 6.4年では、802人(15.3%)の参加者が重度転倒外傷を負った。 1、2、または 3以上の脆弱性指標での重篤な転倒傷害の多変数調整ハザード比は、非フレイル指標と比較し、1.18(95%信頼区間CI =0.99〜1.40)、1.49(95%CI =1.19〜1.87)、2.04(95%CI =1.56〜2.67)であった。

収縮期血圧、拡張期血圧、および降圧剤の服用数は、多変量調整後の重大な転倒傷害リスクと関連していなかった。

結論

血圧や降圧薬の服薬クラスの数は関連がなかったが、フレイル指標については、高血圧治療薬を服用している高齢者の重大な転倒傷害リスクの増加と関連していた。

コメント

抄録のみ読めた文献。

フレイルティ(①低体格指数、②認知障害、③うつ症状、④疲弊度、⑤運動障害、および⑥転倒歴)は、高齢高血圧患者での重大な転倒外傷リスク増加と関連していた。効果推定値はフレイルの重症度と相関関係にありそうであった。