経口鉄剤の補給は駆出率が低下した心不全患者における運動許容量に影響しますか?(RCT; JAMA 2017)

Effect of Oral Iron Repletion on Exercise Capacity in Patients With Heart Failure With Reduced Ejection Fraction and Iron Deficiency: The IRONOUT HF Randomized Clinical Trial.

Randomized controlled trial

Lewis GD, et al.
JAMA. 2017.

Trial Registration: clinicaltrials.gov Identifier: NCT02188784.

PMID: 28510680

【研究の重要性】

鉄欠乏症は、左室駆出率(HFrEF)が低下した心不全患者の約50%に見られ、機能的能力低下および死亡率の独立した予測因子である。

しかし、心不全における安価で容易に入手可能な経口鉄補給の有効性は知られていない。

【研究の目的】

経口鉄による治療がHFrEFと鉄欠乏症の併発患者における最大運動能力を改善するかどうかをテストすること。

【試験デザイン、設定、および参加者】

HFrEF(<40%)および鉄欠乏症の患者を対象としたフェーズ2、二重盲検プラセボ対照ランダム化臨床試験。

鉄欠乏症の定義は、血清フェリチン値15〜100 ng / mLまたはトランスフェリン飽和度が20%未満の場合、血清フェリチン値101〜299 ng / mL。

参加者は、2014年9月から2015年11月の間に米国の23施設で登録された。

【介入】

経口鉄多糖類(n =111)またはプラセボ(n =114)、150 mg、1日2回、16週間。

【主要アウトカムと測定】

主要評価項目は、ベースライン時から16週間後までのピーク酸素摂取量(V̇o2)の変化だった。

副次的評価項目は、6分間の歩行距離、血漿N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)レベル、およびKansas City心筋症質問票(KCCQ、範囲0-100、より高いスコアがQOL高値を反映)によって評価される健康状態の変化であった。

【結果】

ランダム抽出された参加者225人(年齢中央値 63歳; 36%が女性)のうち203人が研究を完了した。

ベースラインのV̇o2ピーク(中央値)は、経口鉄群では1,196 mL/分(四分位範囲[IQR]、887〜1,448 mL/分)であり、プラセボ群では1,167 mL/分(IQR 897〜1,449 mL/分)であった。

主要評価項目である16週目のピーク酸素摂取量の変化は、経口鉄剤群とプラセボ群の間で有意差はなかった(+ 23 mL/min vs. -2 mL/min; 差は21 mL/min [95%CI -34〜+76 mL/分]; P =0.46)。

同様に、16週目における6分間の歩行距離(-13 m; 95%CI -32〜6 m)、NT-proBNPレベル(159; 95%CI 280〜599 pg/mL)、さらにKCCQスコア(1; 95% -2.4〜4.4)においても有意差がなかった(全てP >0.05)。

【結論と関連性】

HFrEFを有する鉄欠乏症患者のうち、16週間以上の高用量経口鉄は運動能力を改善しなかった。

これらの結果は、HFrEF患者における経口鉄補給の使用を支持しない。


【コメント】

アブストのみ。

代用のアウトカムであるピーク酸素摂取量についての検討。残念ながら経口鉄剤の効果は認められなかった。

鉄分補給によるヘモグロビン量の増加、これに伴う酸素摂取量の増加を期待していると考えられるが、その酸素を全身へ行きわたらせるためにポンプ機能が必要であることから、今回の検討結果は当然といえば当然の結果なのかもしれない。

しかし今年2019年に発表されたメタ解析では、どのアウトカムにおいても優位に経口鉄剤の効果が得られている。

心不全患者に対する鉄補給の効果はどのくらいですか?(SR&MA; Am J Med. 2019.)

以上のことから、サンプルサイズが足りなかった点や患者背景が異なる点について更に考察していくことが肝要であると考えられる。

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