新規2型糖尿病診断後のDPP-4阻害薬使用による膵炎・膵臓がんリスクはどのくらいですか?(韓国 人口ベース コホート研究; Diabetes Care. 2019)

Nationwide Trends in Pancreatitis and Pancreatic Cancer Risk Among Patients With Newly Diagnosed Type 2 Diabetes Receiving Dipeptidyl Peptidase-4 Inhibitors.

Lee M et al.

Diabetes Care. 2019 Aug 20. pii: dc182195.

doi: 10.2337/dc18-2195. [Epub ahead of print]

PMID: 31431452

【目的】

ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤(Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors, DPP-4i)は、インクレチンベースの有用な抗糖尿病薬である。しかしDPP-4iは、その多面的効果により、懸念材料として膵外分泌に悪影響を与える可能性がある。

本研究では、人口ベースのコホート研究を使用して、DPP-4iが膵炎と膵臓癌に関連しているかどうかを調査した。

【研究デザインと方法】

2007年から2013年にかけて抗糖尿病薬(n = 33,208)で治療された2型糖尿病と新たに診断された患者を含めた。データは韓国国民健康保険サービス-健康スクリーニングコホートデータベース(n = 514,866)から取得した。

膵炎および膵臓癌リスクは、時間依存の共変量を持つコックス比例ハザードモデルを使用して推定された。

潜在的な待ち時間を説明するために、6ヶ月の遅延時間が使用された。

DPP-4iの最初の処方以来のさまざまな時間セグメントにわたるリスクも分析された。

【結果】

・33,208人の被験者のうち、10,218人がDPP-4iの新規ユーザーであり、22,990人が他の抗糖尿病薬の新規ユーザーだった。

・DPP-4iは、6ヶ月の薬物使用のラグ期間において、膵炎(調整ハザード比[aHR] =1.24, 95%CI 1.01〜1.52; P =0.037)および膵臓癌(aHR =1.81, 95%CI 1.16〜2.82; P =0.009)のリスクを有意に増加させた。

・膵炎および膵臓癌のリスクは、初回処方後の最初の12ヶ月と、DPP-4i処方後のラグタイムを除いた1年間で一般的に一貫しており、暴露期間に応じて増加傾向を示していなかった。

【結論】

DPP-4i使用は、新たに2型糖尿病と診断された患者の膵炎と膵臓癌のリスク増加と関連している。しかし曝露期間による増加傾向の欠如は、逆因果関係の可能性を示唆しており、より長期的にDPP-4i使用による膵臓の安全性をさらに調査する必要がある。


【コメント】

アブストのみ。

DPP-4i使用と膵炎リスクについては、すでに過去の大規模臨床試験(ランダム化比較試験およびコホート研究)でリスク増加が報告されており、本試験の研究結果とも一致していた。

一点異なるところがあるとすれば、ログタイムを導入していることである。個人的には、6ヶ月は少し長いのではないかと感じているが、ではログ期間をどのくらいに設定すれば良いのかと言われると言葉に窮する。

著者の結論として “しかし曝露期間による増加傾向の欠如は、逆因果関係の可能性を示唆しており、より長期的にDPP-4i使用による膵臓の安全性をさらに調査する必要がある” というコメントには違和感を覚える。

なぜなら本副作用(膵炎・膵臓癌)が薬剤の累積使用量や使用期間と相関しているかは不明なままである(もしかしたらイントロに記載あり?)。まずは、この点を明らかにしないことにはオーバースペキュレーションではなかろうか。

ちなみにDPP-4i使用による水疱性類天疱瘡は、遺伝的背景が大きく影響しており、今のところ、薬剤の累積使用量や使用期間と相関しないことが報告されている。

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