慢性心不全患者における標準治療へのディオバン®️追加効果はどのくらいですか?(RCT; Val-HeHF; NEJM 2001)

A randomized trial of the angiotensin-receptor blocker valsartan in chronic heart failure.

Randomized controlled trial

Cohn JN, et al.
N Engl J Med. 2001.
PMID: 11759645

【背景】

アンジオテンシンIIの作用は、現在推奨されている薬物による治療にもかかわらず、心不全の進行に寄与している可能性がある。

したがって、本研究では心不全の標準治療にアンジオテンシン受容体拮抗薬バルサルタンを追加した場合の長期的影響を評価した。

【方法】

ニューヨークハートアソシエーション(New York Heart Association, NYHA)クラスII、III、またはIVの心不全を有する合計5,010人の患者に、1日2回、160mgのバルサルタンまたはプラセボを投与するようにランダムに割り当てた。

主な転帰は死亡率と蘇生を伴う心停止の発生率、心不全のための入院、または少なくとも4時間の静脈内強心薬療法または血管拡張療法の実施として定義された死亡率と罹患率の複合評価項目であった。

【結果】

・総死亡率は2つのグループで同様であった。

・しかし、主に心不全による入院患者の数が少ないため、複合終点の発生率はプラセボよりもバルサルタンの方が13.2%低かった。

相対リスク0.87, 97.5%信頼区間 0.77〜0.97; P = 0.009

– 心不全による入院 –

プラセボ群で455人(18.2%)

バルサルタン群で346人(13.8%)

(P <0.001)

・またバルサルタンによる治療は、プラセボと比較して、NYHAクラス、駆出率、心不全の徴候および症状、ならびに生活の質において有意な改善をもたらした(P <0.01)。

・アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはβ遮断薬を用いたベースライン治療に従って定義されたサブグループにおけるエンドポイントと死亡率の組み合わせの事後分析において、バルサルタンはこれらのタイプのどちらもまたはどちらかを受けていない患者に好ましい効果をもたらした。

・しかし、両方の種類の薬を服用している患者には悪影響があった。

【結論】

標準治療へのバルサルタン追加は、死亡率と罹患率の複合エンドポイントを有意に低下させ、心不全患者の臨床的徴候と症状を改善した。しかし、バルサルタン、ACE阻害薬、およびβ遮断薬を投与されているサブグループにおける死亡率および罹患率への悪影響の事後観察により、この特定の組み合わせの潜在的な安全性について懸念が生じている。


【コメント】

アブストのみ。試験実施から論文作成までにノバルティス社が関与していることが気にかかりました。ちなみにアウトカム評価は独立した機関が実施とのこと。そもそも報告しなければアウトカムとしてカウントされない可能性もあるのではなかろうか(邪推しすぎ?)。

さて、心不全に対する標準治療へのバルサルタン追加は、主要評価項目について有意な差が認められたが複合エンドポイントである点は注意。さらに内訳として、心不全による入院のみを減少させた。

しかしベースの治療薬にβ遮断薬およびACE阻害薬がある場合は、リスクが大きかった。本結果から、ARB追加は、β遮断薬+ACE阻害薬の効果を上回ることはできず、β遮断薬への追加はARBあるいはACE阻害薬どちらかで充分であると考えられる(心不全という症候群である以上、β遮断薬使用が優先であるため)。

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