急性非代償性心不全患者の退院後心死亡率に対するトルバプタン投与量の影響はどのくらいですか?(後向き研究; Heart Vessels. 2018)

The effects of tolvaptan dose on cardiac mortality in patients with acute decompensated heart failure after hospital discharge.

Matsumoto K et al.

Heart Vessels. 2018 Oct;33(10):1204-1213. doi: 10.1007/s00380-018-1177-6. Epub 2018 Apr 23.

PMID: 29687159

【背景・目的】

サムスカ ®️(トルバプタン)は、主に従来の利尿薬療法に抵抗性の急性非代償性心不全(Acute Decompensated Heart Failure, ADHF)患者に使用される、新規に開発された経口バソプレシン-2受容体拮抗薬である。

本研究の目的は、ADHF入院後に退院した患者の心死亡率に対する外来TLV投与量の影響を調査することであった。

【方法】

入院中に初めてトルバプタンで治療されたADHF患者155人を、外来の使用と用量に基づいて後ろ向きに3つのグループに分けた。

非TLV群は、退院後にTLVで治療されなかった患者を含んでいた(n =37)。退院後もTLVを継続した患者は、さらに低用量(LD)-TLV(3.75 mg /日、n = 27)と高用量(HD)-TLV(7.5または15 mg /日、n = 42)の2つのグループに分類された。

主要評価項目は心死亡率だった。副次的評価項目には、総死亡またはADHFの悪化による再入院の複合が含まれた。

【結果】

・肥満度指数(p = 0.0026)、心エコーデータ、TLV投与前の血清Na、血清Cl (p = 0.041)、および血清K(p =0.027)以外の人口統計学的変数に有意差はなかった。

・カプラン – マイヤー曲線において、非TLVよりHD-TLVの方が生存率が低かったが、LD-TLVは3つの群の中で最も高い生存率を示した(p =0.0001)。

・心死亡率を予測するために使用された臨床的特徴の多変量Cox回帰分析では、予測共変量の調整後、LD-TLV(ハザード比[HR] =0.16, 95%信頼区間[CI] 0.01〜0.93, p =0.040)およびHD-TLV(HR =2.43, 95%CI 1.06〜6.26, p =0.035)を明らかにした。

【結論】

患者の血行動態および鬱血の重症度に従ったLD-TLVの継続の判断は、悪化した予後を引き起こさないかもしれない。


【コメント】

アブストのみ。

トルバプタンの用量により、心死亡リスクの増加が認められた。あくまでも後向き研究の結果であるため、因果の逆転(つまりトルバプタン高用量を用いなければならないような重症な患者が多い)の可能性は充分にある。

しかし、トルバプタン非使用に比べ低用量使用群の方が、生存率が高く、したがって心死亡リスクが低い可能性が認められた点は非常に興味深い。

続報を待ちたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です