【批判的吟味】進行性パーキンソン病患者におけるデュオドーパ®️の効果はどのくらいですか?(RCT; LCIG Horizon Study; Lancet Neurol. 2014)

Continuous intrajejunal infusion of levodopa-carbidopa intestinal gel for patients with advanced Parkinson’s disease: a randomised, controlled, double-blind, double-dummy study.

Randomized controlled trial

Olanow CW, et al.
Lancet Neurol. 2014.

FUNDING: AbbVie.

ClinicalTrials.gov, numbers NCT00660387 and NCT0357994.

PMID: 24361112

【背景】

レボドパはパーキンソン病の最も効果的な治療法だが、慢性治療は潜在的な運動合併症に対して無効となる可能性がある。

実験的研究では、運動合併症は薬物の非生理学的で断続的な投与に起因するものであり、これは継続的な薬剤送達で軽減できることが示唆されている。

本試験はレボドパ-カルビドパ腸管ゲルを空腸内経皮チューブを通して継続的に送達することの有効性と安全性を評価することを目的とした。

【方法】

12週間のランダム化二重盲検二重ダミー二重用量設定試験には、ドイツ、ニュージーランドおよび米国の26施設で進行性パーキンソン病および運動合併症の成人(30歳以上)を登録した。

適格な参加者は、経皮的胃空腸吻合チューブを空腸に配置し、その後、即時放出経口レボドパ-カルビドパ+プラセボ腸ゲル注入またはレボドパ-カルビドパ腸ゲル注入+経口プラセボによる治療にランダムに割り当てられた(1:1)。

ランダム化は、ブロックサイズ2または4の混合ブロックサイズで施設ごとに層別化された。

主要エンドポイントは、運動オフタイムにおけるベースラインから最終訪問までの変化とした。

厄介なジスキネジアのない運動オンタイムの変化を、事前に指定された重要な副次的アウトカムとして評価した。

ベースラインと少なくとも1つのポストベースライン評価データを使用して、参加者のフル分析セットの有効性を評価した。最終観測キャリーフォワードアプローチで欠損データを代入した。

また安全性評価については、ランダム割付後の経皮的胃空腸吻合術を受けた群を対象とした。

【所見】

・Baseline完全分析セットにおけるベースラインから12週間までの変化は、レボドパ-カルビドパ腸ジェル群35人の平均オフタイム 4.04時間(SE 0.65)の減少、即時放出経口レボドパ-カルビドパ群31人でら2.14時間(0.66)の減少が認められた。

★差 -1.91時間[95%CI -3.05〜-0.76]; p = 0.0015

・厄介なジスキネジアのない平均オンタイムは、腸内ゲル群で4.11時間(SE 0.75)、即時放出経口群で2.24時間(0.76)増加した。

★差 1.86 [95%CI 0.56〜3.17]; p = 0.0059

・安全性分析では、レボドパ-カルビドパ腸ジェル群 37人のうち35人(95%)に有害事象(5 [14%]例が重篤)が認められ、即時放出経口群 34人のうち34人(100%)に有害事象(7 [21%]例が重篤)が認められた。

Figure 2本文より引用

【解釈】

腸ゲルによるレボドパ-カルビドパの連続送達は、運動合併症を伴う進行性パーキンソン病コントロールのための有望な選択肢となる。

腸へのゲル送達で注目された利点は、これまでの医学療法で得られたものよりも大きかった。本二重ランダム対照研究は、連続レボドパ送達のメリットを初めて実証した試験である。


【PICOTS】

P: UK Brain Bank criteriaを基に運動合併症を有す30歳以上の進行性パーキンソン病の患者(少なくともCOMT阻害薬あるいはMAO-B阻害薬を1つ以上使用中)

I : レボドパ-カルビドパ腸ゲル注入(デュオドーパ®️)+経口プラセボ(腸ゲル注入群:37例)

C: 即時放出経口レボドパ25mg-カルビドパ100mg(スタレボ®️)+プラセボ腸ゲル注入(即時放出経口群:34例)

O: primary — ベースラインから治療12週間後のオフタイム変化(判定前3日間の平均)

key secondary — ベースラインから治療12週間後の厄介な(重症化した)ジスキネジア(Troublesome Dyskinesia, TDS)のない運動オンタイムの変化

secondary— PDQ-39 summary index, CGI-I, UPDRS part II (Activities of Daily Living subscore), UPDRS part III (Motor subscore), ZBI score, EQ-5D summary indexのベースラインからの変化

Safety — 有害事象(adverse events, AE)および重篤なAE(serious AEs, SAE)

T: RCT、Double-dummy、Double-blind、有効性検証、安全性検証

S: ドイツ、ニュージーランド、米国の26施設

【組入基準】

登録の少なくとも4週間前に安定した用量のレボドパを投与されていなければならず、自宅の日記評価に基づいて1日あたり最低3時間の「オフ」時間で認識できる「オン」および「オフ」期間を経験している患者。

徐放性レボドパ-カルビドパ(Stalevo®)またはレボドパの他の製剤を投与された被験者は、研究への参加を許可されたが、同等用量のLC-IRに変換し、少なくとも4週間は安定した用量で服用している必要があった。

患者がランダム化前に4週間安定した用量を服用し、研究中に用量が変更されなかった場合、併用抗パーキンソン病薬(アポモルフィンを除く)が許可された。

【除外基準】

非定型または続発性パーキンソニズム、パーキンソン病以前の脳神経外科治療、治験責任医師の判断における臨床的に重大な医学的・精神医学的または実験室(検査値)の異常、研究薬物の吸収、分布、代謝、または排泄を妨げる可能性のある状態、または空腸内PEG-Jチューブが留置できない状態。

【批判的吟味】

・ランダム化されているか?

→⭕️ ブロックサイズ2または4の混合ブロックサイズで施設ごとに層別化

・隠蔽化されているか?

→🔺 interactive voice response system (IVRS)を使用しているが、ブロックランダム化の方法にやや問題あり。

・Baselineは同等か?

→著者は同等と主張。レボドパ使用用量や他の抗パーキンソン病薬の用量に差があるように思う。

・交絡因子は網羅的に検討されているか?

→検討されていると思う。ただ体重は必要ないのかしら。

・ITT解析か?

→❌ Full Analysis Set(FAS)。アウトカムに対する影響はないかもしれない。平均値を用いているため。

・脱落はどのくらいか?

→介入群37例中2例(5.4%)、対照群34例中3例(8.8%)

・マスキングされているか?

→🔺 マスキングの完全性を維持するために、両群の患者に対して積極的治療とプラセボ治療の両方の同時タイトレーションが行われたが、被験者と調査員のマスキングは正式には評価されなかった。被験者または調査員のマスキングを評価するための正式な評価は行わなかった。 研究中にマスキング化の報告はなかった。

・サンプルサイズは充分か?

→power =90%, α =0.05% で31例ずつ必要でありサイズは充分。

・結果は?

プライマリーアウトカム

追跡期間:12週間

介入群の発生率:−4.04 (0.65)

対照群の発生率:−2.14 (0.66)

ARR:−1.91 (0.57)

・安全性

→AEは35人(94.6%)のLCIG患者と34人(100%)のLC-IR患者で報告された。両グループの患者がPEG-Jの配置を受けたことに注意する必要がある。

→SAEはそれぞれ13.5%と20.6%で発生した。

→3例のAEにより試験が終了した。 LCIGで治療された1例は精神病であり、LC-IR患者1例は腹膜炎および肺炎であり、LC-IR患者1例は処置後の退院だった。

→ほとんどのAEは外科的処置または装置に関連しており、重症度は軽度から中等度であり、最初の1週間以内にほぼ例外なく発生し、すべての症例で解消した。死亡はなかった。

→ただし、手術の合併症が原因で2/71(2.8%)の患者が試験を中止し、63/71(88.7%)がチューブ脱臼、PEG-J挿入などのデバイス関連の合併症17/71(23.9%)を経験、合併症15/71(21.1%)、ストーマ挿入合併症7/71、ポンプの故障6/71(8.5%)、気腹5/71(7.0%)。

→多発神経障害の可能性と一致する症状が4人の患者(LCIG-1、LC-IR-3)で記録された。ギランバレー症候群の症例は報告されなかった。臨床的に重要な検査室の異常はなかった。


【コメント】

資金提供側の介入が大きく、マスキングが徹底されていない点が気になった。

また経口のレボドパ・カルビドパはレスキューとして両群とも使用できた、という点も気になった。

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